10:46 〜 10:53
[P3-4] 肥満、意識障害患者への呼吸ケアにより再挿管が回避できた一症例
キーワード:呼吸管理
【目的】
当院SCUでは動脈瘤や脳梗塞に対する血栓溶解療法や血管内治療を必要とする患者の割合が多く、人工呼吸管理を必要とする患者は少ない。人工呼吸器管理となった場合は、ケアの経験や知識不足から呼吸ケアに難渋することがある。
今回、肥満体型と意識障害により人工呼吸器離脱後の呼吸管理に難渋したケースを振り返ることで看護への示唆を得ることを目的とした。
【方法】
症例紹介:A氏 60代男性 既往歴:高血圧、狭心症 体型:BMI(body mass index)34
右被殻出血の診断で開頭血腫除去術と外減圧術を施行した後、術後2日目に人工呼吸から離脱、抜管となった。意識レベルⅠ-3 MMT:左上肢1/5、下肢2/5 NIHSS17点。抜管翌日、酸素マスク6L/minでSpO288%に低下、呼吸回数32回/分の頻呼吸、呼吸様式は努力呼吸を呈し、NPPV(noninvasive positive pressure ventilation)が開始となり、再挿管も検討されていた。
研究期間: 平成30年10月~12月
分析方法:介入期間を、抜管直後の時期とリハビリ促進時期に分けて、各期における看護介入について看護記録を元に振り返った。
【倫理的配慮】 院内看護研究倫理委員会の承認を得た。
【結果】
1. 抜管直後の時期
1) 現状に関する情報共有とケア計画の立案
問題点の整理とケア計画の立案を目的とした看護カンファレンスを開催した。カンファレンスでは、現在の問題点として、胸水貯留による圧排性無気肺と心不全併発によるシャント増加と換気血流不均衡、拡散障害に起因する酸素化障害をきたしていること、肥満体型から頭部挙上体位による腹部圧迫から横隔膜が挙上することで有効な呼吸運動を妨げていることを整理することができた。看護計画では、ベッドのローチェア機能を使用した体位の工夫により腹部の圧迫を緩和し、安楽な姿勢を保持した上で、定期的な背面解放を試みること、フローアシスト効果とPeeP様効果を期待して高流量酸素療法と無気肺改善を目的としたNPPVの間歇的な実施を取り入れた。また、ケアを統一するために、ベッドサイドに1日のスケジュールを掲示した。看護計画の評価のためにカンファレンスを繰り返し実施すると、左半身麻痺により体位の保持が困難な状況があることがわかり、枕を使用した体位の保持について看護チームで検討を行なった。
2. リハビリ促進期
1) 日常生活動作の中にリハビリを取り入れる取り組み
術後7日目には、酸素化は安定し始め、同時に意識レベルの改善に伴い少しずつ発語を認める様になったため、嚥下評価ののちに経口摂取の開始が検討されていた。嚥下評価では、水分ではムセがあり、咽頭期の嚥下障害を認めた。左麻痺のある患者では、口腔内左側に食物残渣が残ることが誤嚥に繋がり、呼吸状態の悪化をきたすことが危惧された。そこで、誤嚥予防を看護目標とし、理学療法士や言語聴覚療法士からの助言を得て、食事介助や食後の体位を工夫し、統一したケアができる様に情報共有を行なった。
結果、誤嚥性肺炎を起こすことなく、酸素をOFFしても酸素化を維持することができた。
【考察】
SCU病棟では意識障害が多く機能回復に時間を要す。そのような患者に多職種間で情報共有、カンファレンスを行うことで統一した目標設定、ケアを行うことができる。今回多職種との連携にて個別性あるケアが実施され意識改善・機能回復ができたと考えられる。人工呼吸器管理後に難渋する症例は多くないからこそ、人工呼吸に関連した呼吸ケアの知識向上に努め、個別性あるケアを提供する必要がある。
当院SCUでは動脈瘤や脳梗塞に対する血栓溶解療法や血管内治療を必要とする患者の割合が多く、人工呼吸管理を必要とする患者は少ない。人工呼吸器管理となった場合は、ケアの経験や知識不足から呼吸ケアに難渋することがある。
今回、肥満体型と意識障害により人工呼吸器離脱後の呼吸管理に難渋したケースを振り返ることで看護への示唆を得ることを目的とした。
【方法】
症例紹介:A氏 60代男性 既往歴:高血圧、狭心症 体型:BMI(body mass index)34
右被殻出血の診断で開頭血腫除去術と外減圧術を施行した後、術後2日目に人工呼吸から離脱、抜管となった。意識レベルⅠ-3 MMT:左上肢1/5、下肢2/5 NIHSS17点。抜管翌日、酸素マスク6L/minでSpO288%に低下、呼吸回数32回/分の頻呼吸、呼吸様式は努力呼吸を呈し、NPPV(noninvasive positive pressure ventilation)が開始となり、再挿管も検討されていた。
研究期間: 平成30年10月~12月
分析方法:介入期間を、抜管直後の時期とリハビリ促進時期に分けて、各期における看護介入について看護記録を元に振り返った。
【倫理的配慮】 院内看護研究倫理委員会の承認を得た。
【結果】
1. 抜管直後の時期
1) 現状に関する情報共有とケア計画の立案
問題点の整理とケア計画の立案を目的とした看護カンファレンスを開催した。カンファレンスでは、現在の問題点として、胸水貯留による圧排性無気肺と心不全併発によるシャント増加と換気血流不均衡、拡散障害に起因する酸素化障害をきたしていること、肥満体型から頭部挙上体位による腹部圧迫から横隔膜が挙上することで有効な呼吸運動を妨げていることを整理することができた。看護計画では、ベッドのローチェア機能を使用した体位の工夫により腹部の圧迫を緩和し、安楽な姿勢を保持した上で、定期的な背面解放を試みること、フローアシスト効果とPeeP様効果を期待して高流量酸素療法と無気肺改善を目的としたNPPVの間歇的な実施を取り入れた。また、ケアを統一するために、ベッドサイドに1日のスケジュールを掲示した。看護計画の評価のためにカンファレンスを繰り返し実施すると、左半身麻痺により体位の保持が困難な状況があることがわかり、枕を使用した体位の保持について看護チームで検討を行なった。
2. リハビリ促進期
1) 日常生活動作の中にリハビリを取り入れる取り組み
術後7日目には、酸素化は安定し始め、同時に意識レベルの改善に伴い少しずつ発語を認める様になったため、嚥下評価ののちに経口摂取の開始が検討されていた。嚥下評価では、水分ではムセがあり、咽頭期の嚥下障害を認めた。左麻痺のある患者では、口腔内左側に食物残渣が残ることが誤嚥に繋がり、呼吸状態の悪化をきたすことが危惧された。そこで、誤嚥予防を看護目標とし、理学療法士や言語聴覚療法士からの助言を得て、食事介助や食後の体位を工夫し、統一したケアができる様に情報共有を行なった。
結果、誤嚥性肺炎を起こすことなく、酸素をOFFしても酸素化を維持することができた。
【考察】
SCU病棟では意識障害が多く機能回復に時間を要す。そのような患者に多職種間で情報共有、カンファレンスを行うことで統一した目標設定、ケアを行うことができる。今回多職種との連携にて個別性あるケアが実施され意識改善・機能回復ができたと考えられる。人工呼吸器管理後に難渋する症例は多くないからこそ、人工呼吸に関連した呼吸ケアの知識向上に努め、個別性あるケアを提供する必要がある。