The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

Presentation information

Oral presentation

[P4] せん妄ケア・リハビリテーション

Sun. Jun 16, 2019 11:10 AM - 11:50 AM 第7会場 (B1F コンベンションホール)

座長:月俣 夏織(済生会八幡総合病院)

11:24 AM - 11:31 AM

[P4-3] P4-3

○藤田 杏莉1、三浦 未菜1 (1. 市立釧路総合病院 ICU病棟)

Keywords:早期リハビリテーション、せん妄、精神的援助

【目的】
 ICU入室患者の早期離床のためには、適切な鎮痛・鎮静を図り、せん妄を予防し早期からリハビリテーション(以下リハビリとする)を介入することが重要とされている。今回適切な鎮痛・鎮静・せん妄管理を行うことで、早期からリハビリを可能にし、早期離床に繋がった症例を振り返り、今後の看護援助に活かせるよう本研究に取り組んだ。【患者紹介】A氏、女性、間質性肺炎、急性呼吸促迫症候群により人工呼吸器装着。第17病日目に抜管。翌日に呼吸状態悪化あり再挿管。第28病日目に再抜管、翌日に一般病棟へ退室。
【方法】
 対象者の診療緑・看護記録・リハビリ記録から情報収集を行い、関わった援助内容について抽出し振り返り、文献を使用して客観的に分析を行う。医師指示では疼痛時NRS>4、CPOT>3でフェンタニルクエン酸塩を1時間量早送り、10分後に再評価。不穏時はRASS+1以上で介入、RASS目標-1~0、夜間-3~-1、20時~6時はデクスメデトミジン塩酸塩を使用し就眠を促進。せん妄はCAM-ICUで評価し、発症時は指示薬使用。
【倫理的配慮】
 対象者へ研究目的・方法・個人情報の保護、研究参加の有無により対象者が不利益を被らないことを文書と口頭で説明し同意を得た。所属施設の倫理審査委員会を通し承認を得て実施した。
【結果】
 入室時より医師の指示通り、適切な鎮痛・鎮静が図れるよう薬剤や環境の調整を行った。また保清や口腔ケアの方法をA氏と相談しながら行うことで満足感が得られ、ICU在室期間はせん妄を発症せず経過でき、ストレスの増強はなくリハビリに対しても初期から意欲的な言動が聞かれた。主治医や理学療法士らと多職種間でカンファレンスや情報交換を行い、その日のA氏の状態やリハビリの予定や方針について話し合い、連携を図った。またA氏を交えて目標を設定し、入室翌日からリハビリを開始し筋力低下はなく、段階的に端坐位や立位を行った。第24病日目にはキャスターを使用して歩行訓練を開始し、継続して行うことができ早期離床に繋がった。
【考察】
 早期リハビリとは疾患の新規発症、手術または急性憎悪から48時間以内には開始するリハビリのことであり、A氏は入院翌日からリハビリを介入することができていた。ICUに入室するすべての重症患者において適切な鎮痛・鎮静管理、認知機能が維持されることで、積極的な早期リハビリを取り入れることが容易になるとされている。A氏に対して適切な鎮痛・鎮静管理やせん妄の予防を行い、セルフケアや日常生活動作の低下がないようにA氏と相談し統一した援助を行った。その結果、認知機能の維持に繋がり早期からのリハビリを可能にしたと考える。集中治療における早期リハビリテーション~根拠に基づくエキスパートコンセンサス~では、看護師の役割は、「安全かつ効果的に早期リハビリテーションを行うための環境を整備し、患者の日常生活を支援すること」としている。A氏に対して、主体的にリハビリが取り組めるよう計画を立て、目標をA氏や多職種と共有することで主体性を重視した関わりとなり、安全で効果的なリハビリに繋がったと考える。また保清や口腔ケアなど日常生活動作の支援を行うことで満足感が得られ精神的援助となり、リハビリに対する意欲へ繋がったと考える。
【結論】
 早期離床を容易にするために適切な鎮痛・鎮静、せん妄管理を行い、多職種と連携を図ることや精神的援助が重要であると再認識し、今回の結果を通し、今後ICUに入室する患者に対して効果的な援助ができるよう活かしたいと考える。