The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

Presentation information

Oral presentation

[P5] その他

Sun. Jun 16, 2019 1:30 PM - 2:10 PM 第7会場 (B1F コンベンションホール)

座長:井野 朋美(熊本赤十字病院)

1:51 PM - 1:58 PM

[P5-4] P5-4

○佐土根 岳5、山田 修平2、中村 公彦3、永野 のぞみ4、高橋 啓太1 (1. 北海道医療大学 看護福祉学部 看護学科 成人看護学講座、2. 北海道科学大学 保健医療学部 看護学科、3. 札幌市立大学大学院 看護学研究科 博士前期課程、4. 国立病院機構 北海道医療センター 看護部、5. 手稲渓仁会病院)

Keywords:クリティカルケア、研究会

【はじめに】
 北海道クリティカルケア研究会(以下,研究会)は,北海道のクリティカルケアの発展を目指し,情報の共有および外部への情報発信を目的として2017年10月に発足した団体である.発足から1年が経過し,活動を見直すことで地域に密着した多施設参加型研究会の課題を検討したため報告する.
【目的】
 北海道クリティカルケア研究会の活動を振り返ることで課題を明らかにし,活動の示唆を得ること.
【方法】
 研究会コアメンバーで活動報告会を開催し,報告会で得られた内容を記述,研究会の目的に照らして分類することで課題について検討した.検討にあたっては結果を公表することをメンバーに周知し,自由意思に基づく参加とし,個人が特定されないように配慮した.
【結果】
 情報の共有に関しては,ワークショップを定期開催することが,「毎回15~30人程度が参加し,情報共有や自施設の課題解決の場として活用されている.」のように活動基盤となっていた. また,「毎月テーマを設定し,事前に年間スケジュールを提示したことで興味に合わせて参加することが出来た.」「専門分野に配慮した輪番制の担当者が研修内容を企画することで,意欲的に取り組むことが出来た.」のように参加者や担当者の関心や専門分野に配慮することで,「会員数は,医療機関16施設20セクション,教育機関3施設から,看護師39名(看護師,大学教員),薬剤師1名(2019年1月現在).」のように道内多施設の現状や課題を共有する場となっていた.しかし,「ビデオ通話やオンラインストレージを活用したが,参加者は政令指定都市に偏在しており,遠隔参加については検討が必要である.」のように,敷地面積が広大である北海道ならではの課題も浮き彫りとなった.外部への情報発信に関しては,「複数のSNSを活用することで,活動の形態に自由度を持たせることが出来た.」「オンラインアンケートを用いて道内のクリティカルケアの現状調査を行い,地域の介入ニーズを把握し学術集会で還元することが出来た.」「計4回の公開セミナーの企画や運営に携わることで,学習ニーズの把握と研究会の周知にも繋がった.」など,活動を限定せずに提案者が自由に研究会を活用することが効果的に働いていた.さらに,「会員から大学院進学や認定看護師を志す声が多数挙がっている.」「医療従事者を志す学生が18名(2019年1月)在籍し,ポジティブな意見が多数聞かれている.」など,会の活動が資格の枠を超えて影響していた.
【考察】
 様々な活動を通して,会員が増加していることが研究会の存在意義を物語っている.北海道は医療拠点が点在しているが,教育セミナーなどの情報源は政令指定都市に偏在している.そのため年間スケジュールの事前提示や各種オンラインサービスを導入することで参加のしやすさに配慮しているが,遠隔地域からの参加方法を確立できていないことが課題と考えられた.また,研究会に参加することで多施設の状況をタイムリーに把握し,自施設の看護を再考するきっかけとなっていることや,キャリアを考える機会にもなっている.しかし,研究会の活動が臨床にどのように還元されているかについて具体的に把握できてないため,検証が必要である.
【結論】
 活動を振り返ることで,地域に密着した多施設参加型研究会の意義が確認された一方で,研究会の活動拠点から遠隔地域に対する活動展開や,日々の看護に研究会活動がどのように寄与しているかを評価することが課題である.