10:55 AM - 11:10 AM
[PD1-2] PD1-2
Keywords:生活支援、睡眠支援、活動促進
「環境は変われど、療養環境も患者にとっては生活の場」…臨床やカンファレンスにおいてこのような言葉をよく口にします。クリティカルケアが必要な重症患者の方々は、ベッド上に横たわっている“現在”以外に前後の長いストーリーがあって、“現在”はそのストーリーの中の”点”にすぎないのです。医療者として、この前提を強く意識しておくべきだと考えます。そのような対象の生活を守るためにどのようなケアを実践しているのか述べていきたいと思います。
生活を送る上では、十分な睡眠と活動が必要です。まず近年のトピックスのひとつでもある睡眠についてですが、睡眠を適切に評価するためには定量的な評価が必要だといわれています。ポリソムノグラフィーのような正確なモニタリングは臨床では困難ですので、当院ICUでは患者の主観的な評価(睡眠充足度)と医療者の客観的な評価(夜間睡眠度、昼間覚醒度)を毎日測定し、多職種回診の中で患者ごとにグラフ化された画面を共有したうえで睡眠と活動におけるディスカッションをおこなっています。具体的には、①患者の夜間睡眠環境を整えるための方略は徹底されているか(光や音、夜間の刺激への対策)、②睡眠薬の使用状況と変更についてはどうか(薬剤師を中心に検討)、③日中の活動についてはどうか(理学療法士を中心に検討)、④睡眠グラフに変化があった時の状況変化や対応についてはどうか(せん妄得点の動きや対策も含む)、などの検討と対策を行っています。
次に日中の活動(早期離床)についてですが、睡眠と同様に多職種カンファレンスの中で毎日評価・検討されています。ここでは、患者の安静度や活動耐容能にとどまらず、患者とともに目標設定して適切に動機づけをして実施できるように心がけています。患者にとって必要な活動やケアが何かということを“患者と家族を含んだ多職種チーム”で共有すること、これが患者の安楽を守るという点においてとても重要なことだと考えます。療養環境において、患者は自身のコントロール感を失うことの連続の中にいます。その為、離床の目標だけでなく、日々のプランを共有したうえで全身清拭の時間をいつするか、どこの部分浴を希望するか、何時のTV番組をみたいからそこは外してほしいなど、可能な範囲で患者のニードを確認しながらケア計画と提供をおこなっていきます。
冒頭で述べた「療養環境も患者にとっては生活の場」であるという前提に戻ると、患者の従来の生活リズムを確認したうえでのケア提供は必須です。そして、生活に戻るためにどのような機能が損なわれないように努めるのか、もしくはどのような機能の再獲得を目指すのか、当たり前に考えているはずなのに集中治療室という特殊環境によって徐々にフィルターがかかってしまいがちな「患者の生活」に焦点を当て続けることが大切なことなのだと考えます。今後の課題としては、そのような「前後のストーリーのある患者の生活」を想像する力を養い続けることもひとつ挙げられると考えています。
生活を送る上では、十分な睡眠と活動が必要です。まず近年のトピックスのひとつでもある睡眠についてですが、睡眠を適切に評価するためには定量的な評価が必要だといわれています。ポリソムノグラフィーのような正確なモニタリングは臨床では困難ですので、当院ICUでは患者の主観的な評価(睡眠充足度)と医療者の客観的な評価(夜間睡眠度、昼間覚醒度)を毎日測定し、多職種回診の中で患者ごとにグラフ化された画面を共有したうえで睡眠と活動におけるディスカッションをおこなっています。具体的には、①患者の夜間睡眠環境を整えるための方略は徹底されているか(光や音、夜間の刺激への対策)、②睡眠薬の使用状況と変更についてはどうか(薬剤師を中心に検討)、③日中の活動についてはどうか(理学療法士を中心に検討)、④睡眠グラフに変化があった時の状況変化や対応についてはどうか(せん妄得点の動きや対策も含む)、などの検討と対策を行っています。
次に日中の活動(早期離床)についてですが、睡眠と同様に多職種カンファレンスの中で毎日評価・検討されています。ここでは、患者の安静度や活動耐容能にとどまらず、患者とともに目標設定して適切に動機づけをして実施できるように心がけています。患者にとって必要な活動やケアが何かということを“患者と家族を含んだ多職種チーム”で共有すること、これが患者の安楽を守るという点においてとても重要なことだと考えます。療養環境において、患者は自身のコントロール感を失うことの連続の中にいます。その為、離床の目標だけでなく、日々のプランを共有したうえで全身清拭の時間をいつするか、どこの部分浴を希望するか、何時のTV番組をみたいからそこは外してほしいなど、可能な範囲で患者のニードを確認しながらケア計画と提供をおこなっていきます。
冒頭で述べた「療養環境も患者にとっては生活の場」であるという前提に戻ると、患者の従来の生活リズムを確認したうえでのケア提供は必須です。そして、生活に戻るためにどのような機能が損なわれないように努めるのか、もしくはどのような機能の再獲得を目指すのか、当たり前に考えているはずなのに集中治療室という特殊環境によって徐々にフィルターがかかってしまいがちな「患者の生活」に焦点を当て続けることが大切なことなのだと考えます。今後の課題としては、そのような「前後のストーリーのある患者の生活」を想像する力を養い続けることもひとつ挙げられると考えています。