16:55 〜 17:10
[PD4-2] その安全・安心は誰のためですか?ー認知症看護の視点からー
キーワード:認知症、高齢者、安心
高齢社会白書によると2018年度の高齢化率は27.7%であり、我が国は超高齢化社会に突入した。団塊の世代が75歳以上になる2025年には、認知症の患者数は700万人に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占めると言われている。そのため、今後は急性期医療を必要とする認知症高齢者の増加が予測される。しかし、認知症高齢者が入院することは本人にとっては認識しづらい体験を受けるチャレンジとなり、ケア側も特別な配慮や対応を引き受けるチャレンジとなる。2016年度診療報酬改定では、一般病院における認知症患者への適切な医療の提供や認知症ケアの質向上を目的とした、「認知症ケア加算1・2」が新設され、一般病院における看護師の認知症ケアに対する知識や技術の向上が期待されている。
認知症高齢者には、入院の目的となる疾患回復に向けたケアと急な環境の変化や治療の開始による苦痛などで認知症症状を悪化させないためのケアが必要である。急性期医療を受ける認知症高齢者の「安全」を守るためのケアについて、現状や取り組み、今後の課題を認知症看護認定看護師の立場から考えたい。
当院では入院時のスクリーニング結果により多職種からなる認知症ケアチームが介入する仕組みになっている。症状から認知症のタイプや病期を予測しケアの検討や実践、環境調整、薬剤の見直しや変更について提案している。介入内容の上位3つはせん妄、入院後の混乱、不眠である。
認知機能低下のある患者は、中核症状により現実認識がさらに難しく、環境から受けるストレスの閾値も低くなるため、日常生活とかけ離れた入院環境下では不安や恐怖、緊張から行動・心理症状を起こしやすい。さらに認知症高齢者は、自分自身の力だけで安全で安心感のある環境を整える事が困難となる。認知症患者の「安全」を守るためには「安心感」を得られる環境調整や関わりが必要である。
また、集中治療室では様々なラインやチューブ類の挿入がされており、自己抜去により生命を脅かされることもある。薬剤による鎮静や身体拘束の実施がやむを得ない状況もあるが身体拘束は、認知症を進行させる要因や廃用性の筋力低下など身体疾患の回復にも影響を与えかねない。身体拘束を必要最小限にすることも課題である。
急性期医療を受ける認知症高齢者が、根拠を持った意味のあるケアを受けられ、漠然と身体拘束を継続されない事で、一日の中で少しでも「安心感」を得られる時間を作るためのチャレンジを続けて行きたい。
認知症高齢者には、入院の目的となる疾患回復に向けたケアと急な環境の変化や治療の開始による苦痛などで認知症症状を悪化させないためのケアが必要である。急性期医療を受ける認知症高齢者の「安全」を守るためのケアについて、現状や取り組み、今後の課題を認知症看護認定看護師の立場から考えたい。
当院では入院時のスクリーニング結果により多職種からなる認知症ケアチームが介入する仕組みになっている。症状から認知症のタイプや病期を予測しケアの検討や実践、環境調整、薬剤の見直しや変更について提案している。介入内容の上位3つはせん妄、入院後の混乱、不眠である。
認知機能低下のある患者は、中核症状により現実認識がさらに難しく、環境から受けるストレスの閾値も低くなるため、日常生活とかけ離れた入院環境下では不安や恐怖、緊張から行動・心理症状を起こしやすい。さらに認知症高齢者は、自分自身の力だけで安全で安心感のある環境を整える事が困難となる。認知症患者の「安全」を守るためには「安心感」を得られる環境調整や関わりが必要である。
また、集中治療室では様々なラインやチューブ類の挿入がされており、自己抜去により生命を脅かされることもある。薬剤による鎮静や身体拘束の実施がやむを得ない状況もあるが身体拘束は、認知症を進行させる要因や廃用性の筋力低下など身体疾患の回復にも影響を与えかねない。身体拘束を必要最小限にすることも課題である。
急性期医療を受ける認知症高齢者が、根拠を持った意味のあるケアを受けられ、漠然と身体拘束を継続されない事で、一日の中で少しでも「安心感」を得られる時間を作るためのチャレンジを続けて行きたい。