第15回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

パネルディスカッション

[PD7] 臓器移植における家族ケア

2019年6月16日(日) 14:30 〜 15:50 第2会場 (3F 国際会議室)

座長:林 優子(関西医科大学看護学部)、明神 哲也(東京慈恵会医科大学)

14:30 〜 14:45

[PD7-1] 脳死下臓器提供における看護師の家族ケアの実際と今後の課題

○山本 小奈実1 (1. 山口大学大学院医学系研究科)

キーワード:脳死下臓器提供、家族ケア、多職種連携

 脳死下臓器提供は、本人の意志または本人の推定意思を踏まえた家族の意志で提供されている。
 国内の脳死下臓器提供数は徐々に増加している。その背景には、家族の同意のみで臓器提供が可能になったことがある。脳死下臓器提供数が増加した現在、提供施設での看護師の役割が重要とされているが、年間提供数からみても臓器提供に関わる看護師は少なく、経験したことのない看護師も多い。また脳死患者家族は、大切な家族員の死に直面する中で、臓器提供について意思決定しなければならないことでさらなる心理的負担を抱えることになる。深い悲しみの中で、臓器提供をするのか、しないのかという重大な決断に苦悩する家族を側で支える看護師の役割は重要である。
 これまでに、脳死下臓器提供における看護師の実践についていくつかの研究を行ってきた。そのひとつの成果として、看護師の役割ガイドライン(案)を作成した。このガイドライン(案)作成や実際の現状を通して、看護師が実践できている項目と実践できていない項目が明確になった。看護師は、患者と家族の意思を尊重したいという思いと同時に、経験の少ない臓器提供のプロセスが始まることへの緊張や、知識不足を背景とした不安を抱えていた。また、臓器提供する家族へのケアは、看護師だけでなく多職種と連携しながら家族を支えていくことも必要である。
 今回は、脳死下臓器提供における家族ケアの実践と課題について報告する。