The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

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Oral presentation

[PD7] 臓器移植における家族ケア

Sun. Jun 16, 2019 2:30 PM - 3:50 PM 第2会場 (3F 国際会議室)

座長:林 優子(関西医科大学看護学部)、明神 哲也(東京慈恵会医科大学)

3:00 PM - 3:15 PM

[PD7-3] PD7-3

○間 里恵1 (1. 公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク)

Keywords:臓器移植

 1997年10月に脳死後の臓器提供を可能にする「臓器の移植に関する法律」(臓器移植法)が施行された。昨年の臓器提供件数は95件(脳死後66件、心停止後29件)で、2018年末までに565名の方が脳死後に臓器を提供している。一方、昨年の臓器移植件数は358件で、現在も約14,000名の方が移植を希望して待機しているのが現状であり、国内で臓器移植が受けられる確率は、わずか2.5%に留まっている。
 私たちには、臓器移植に関して4つの権利がある。死後に臓器を「提供したい」「提供したくない」、あるいは移植が必要なときに臓器を「移植いたい」「移植したくない」という権利であり、どの考え方も尊重されなければならない。移植コーディネーターは、これら4つの権利が保障されるよう患者や家族に対して、適切な情報を開示し、事実認識に基づいた倫理的価値判断がなされるよう支援することが求められる。
 実際、臓器提供を決断する家族の背景は様々だが、承諾理由としては、「本人の意思を尊重したい」、「人の役に立ちたい、社会貢献をしたい」、「どこかで生き続けてほしい」などの思いが挙げられ、家族が臓器提供を考える際に、本人の意思の存在が頼りになり支えになることもある。
 しかしながら、救命不能と診断される患者は、脳血管障害や事故、自死等、入院当初より重篤な場合が多い。家族にとっては突然の発症で予期せぬ出来事の場合が多く、移植コーディネーターが初めて出会う家族の反応は多岐にわたる。家族の抱える心情は、患者の死因(疾患)や家族構成によって異なり、時に心理的、身体的、社会的問題を複合的に抱えている場合もある。移植コーディネーターは家族への介入の際、あらゆる状況を把握した上での全人的視点から家族の意思決定支援やビリーブメントケアを行う必要があり、そこには患者家族を取り巻く医療者等、多職種との連携が必須となる。
 そこで今回は、家族面談からその後のフォローアップに至るまで、JOTが取り組んでいる臓器提供に関連した家族ケアについて述べるとともに、新たな取り組みと今後の方向性について報告する。