第15回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

プラクティスセミナー

[PS3] 画像の見方

2019年6月15日(土) 15:30 〜 16:30 第6会場 (B1F 小会議室2・3)

演者:林 尚三(有隣厚生会富士病院)

15:30 〜 16:30

[PS3] 画像の見方

○林 尚三1 (1. 公益社団法人 有隣厚生会 富士病院)

キーワード:画像 レントゲン エコー 若手看護師

 「我々クリティカルケア看護師は、画像を読める必要がありますか?」と聞かれたら、あなたは何と答えますか?
 今や画像診断は、単純X線より情報量の多いCTに頼ることが増えてきているのではないでしょうか。しかし、クリティカルケア領域においては、その患者の特徴から今すぐにCT撮影ができる場面は多くなく、未だ、単純X線に頼ることが多い領域と言えます。クリティカルケア看護は、「生命を脅かす健康問題に対する人間の反応について取り扱う看護の専門分野」(AACN)であり、合併症の予防、回復への支援が継続的に必要な領域です。画像から診断に結び付け、治療を行うことが我々看護師の役目ではありません。しかし診断に至らないにしても、我々の得意とする身体診察技術と画像診断技術が融合した時、患者へ提供するケアは確実に最適なものになるでしょう。我々クリティカルケア看護師にX線写真を読む技術は必須ではないでしょうか。そうです、冒頭の質問の答えは「Yes!」でしょう。
 さて、第15回日本クリティカルケア看護学会学術集会のメインテーマは「叡智とワザの化学反応 ~新たな時代をここから刻む~」です。大会長の清村紀子先生が学術集会長挨拶(公式HP)で述べている、高齢多死、老々医療社会、そして在宅医療は時代のキーワードであり、今はまさに転換期に違いありません。新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会でも提言されている「タスクシフティング、タスクシェアリング」という言葉からも、我々医療従事者の働き方が変わるだろうと予測ができ、これからの時代、もしかしたら看護師が新たな役割を担うことが出てくるかもしれません。
 ここまで読み進めると、私たち看護師は、技術・能力を高めていかなければいけないと想像できるのではないでしょうか。
 新たな時代をここから刻む。患者のために看護師の動きを変える。今こそ私たちは患者のために変化する時です。しかし、何をどう変化させるのでしょうか。多くを変化させる必要はありません。今までと同じく、身体診察技術と画像診断技術を持って患者の合併症の予防と早期回復の支援を行えばよいのです。ただ緊急と重症が表裏一体でスピードを要求される領域においては、画像診断技術にエコーを加えることで新たな価値を提供できると考えます。
 近年point-of-care ultrasound(POCUS)という概念が広まってきました。エコーはポケットに入る大きさまでとなり、低侵襲でありCT室へ移動しなくてもサッと体内を可視化できます。エコー検査を身体診察の一部として私たち看護師が行うべきと考えます。
 本プラクティスセミナー「画像の見方」は、若手看護師を対象に、胸部X線の基本的読み方の獲得とエコー画像の基本的な読み方を知ることを目的とし、明日からの看護ケアの向上を目指すものとします。
 X線の発見から約125年。聴診器の発明から約200年。そして私たち看護師はエコープローブを手に、今こそ叡智とワザの化学反応を起こす時だ。