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[SY6-4] SY6-4
Keywords:クリティカルケア 臨床判断 特定行為研修
クリティカルケアは医療の高度化に伴い、侵襲的治療が多く、医療スタッフには様々な知識や技術が要求されている。1995年には日本看護協会により救急看護認定看護師の分野特定がされ、1997年には重症集中ケア認定看護師(現集中ケア認定看護師)の分野特定がされた。また2004年には、クリティカルケア看護専門看護師(現急性・重症患者看護専門看護師)の分野が特定され、より複雑で解決困難な看護問題の解決のために活躍することが求められてる。ここ20年以上の人材育成の過程で、クリティカル領域の看護の質が向上したのは明白であり、より専門性の高い知識と技術をもった看護師が全国で活躍している。2011年には、厚生労働省の「チーム医療の推進会議」において、チーム医療のキーパーソンとなる特定看護師(仮称)の創設が検討されたが、最終的に「看護師の特定行為に係る研修制度」となり、資格認定制度ではなく、「手順書に基づいて特定行為を実施する看護師は、所定の研修を受けなければならない。」とされている。特定行為研修では、臨床推論といった診断プロセスを学ぶことが規定されており、高度な臨床実践に医学的知識を付与し、医師と同じ思考プロセスで患者を評価する看護師を育成することを目的としている。特定行為研修の内容は、本来、臨床看護師に必要な基本的知識であり、専門職として責任をもって患者を診るために備えておくべき技術でもある。展望も含めて言えば、本制度は、現任教育に留まらず看護の基礎教育にも大きな影響を及ぼすものとなるであろう。クリティカルケア領域の医療では、患者を単独の疾患別、臓器別に診るのではなく、全身を総合的に評価し、患者家族のケアなど社会的な背景を考慮して介入することが必要である。医師の負担軽減、働き方改革の中、臨床現場で医師が少なくなることが予想されるため、クリティカル領域の看護師には、より高い臨床判断能力や調整能力のほかに、侵襲的な手技を安全に行うこと、患者家族への丁寧な説明を行うことが求められている。医師と協働し、医学的判断を行い、治療ケアの質を担保することが、患者が安全に早期回復することにつながることは理解できるが、資格認定制度以降、看護師の臨床実践は大きく変化しているとはいえない。私達看護師が自覚と責任を持って患者のために必要な新たなスキルを模索する段階にきているのではないだろうか。そのために必要な教育、臨床実践、組織体制のあり方について検討する。