第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

アドバンスセミナー

[AS4] コンフォート理論の実践への活かし方

演者:江川 幸二(神戸市看護大学)

[AS4] コンフォート理論の実践への活かし方

○江川 幸二1 (1. 神戸市看護大学 急性期看護学分野)

キーワード:コンフォート理論、キャサリン・コルカバ、実践活用

 クリティカルケアの場における患者は、侵襲的な治療を受けるため多大な身体的・心理的およびスピリチュアルな面での苦痛を体験する。キャサリン・コルカバが提唱しているコンフォート理論は、こうした苦痛を緩和し患者のコンフォートを増進するためのヒントを提供してくれる。
 コルカバはコンフォートの状態には「緩和」、「安心」、「超越」の3種類があるとしている。特にクリティカルケアの場では、気管内吸引のように合併症予防のために必要な看護ケア自体が、患者にとって大きな苦痛をもたらす場合もある。また数多くの侵襲的なチューブ・ルート類の挿入も、治療上必要なものであり、大きな苦痛をもたらす。そのため、クリティカルケアの場では「緩和」や「安心」といったコンフォートの状態を達成することは難しい。しかし、そうした状況にあっても「超越」の状態をもたらすことは可能であると、コルカバ自身が述べている。コンフォート理論では、「超越」とは「問題や苦痛を克服した状態」であると説明しているが、この説明ではどのような状態が「超越」なのかがわかりにくい。
 本セミナーでは、まずコンフォート理論の概要を説明し、クリティカルケア看護で特に求められる「超越」とはどのような状態なのかをわかりやすく解説する。またクリティカルケア看護において、どのようにしてこの理論を実践に活かすことができるのか、「超越」をもたらすためには何が必要なのか、などについて事例を用いながら解説する。