第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題(口演)

[O10] その他

[O10-3] 日本語版COMHON-Indexの開発と測定者間信頼性の検証

○宮﨑 直美1、小木曽 雄大1、内和田 寵児1、森田 有紀子1、村瀬 未菜美1、池松 裕子2 (1. 名古屋大学医学部附属病院看護部、2. 名古屋大学大学院医学系研究科看護学専攻)

Keywords:COMHON-Index、褥瘡リスクアセスメント、ICU

【目的】
 スペインで開発され英語版が作成された、クリティカルな状態の患者に特化した褥瘡リスクアセスメントツールであるCOMHON-Indexの日本語版を作成し、評価者間信頼性を検証することを目的とした。

【方法】
 スペイン語版および英語版の作者の承諾を得た後、日本クリティカルケア看護学会国際交流委員会および研究者らで英語版の翻訳を行った。日本語版草案を海外でICUに勤務する日本人看護師2名に逆翻訳してもらい、齟齬を調整し、暫定日本語版COMHON-Indexを作成した。
 外科系ICUに入室した患者から25の患者・日カルテを無作為に抽出した。研究者5名(臨床経験3~16年のICU看護師)それぞれにてカルテレビューを行い、13時時点における暫定日本語版COMHON-Indexを測定した。測定結果より、級内相関係数(2,1)を算出した。
 本研究は日本クリティカルケア看護学会および研究実施施設の研究倫理委員会の承認を得て行った。

【結果】
 患者の性別は男性18名/女性7名、平均年齢±標準偏差は61.5±14.6歳、11例(44%)が心臓外科手術後であった。
 暫定日本語版COMHON-Index合計点の級内相関係数は0.948であった。指標項目それぞれの級内相関係数は、“意識レベル”は0.928、“活動性”は0.694、“血行動態”は0.876、“酸素化”は0.936、“栄養状態”は0.821であった。

【考察】
 暫定日本語版COMHON-Index合計点の級内相関係数は英語版よりも高い結果となった。
 指標項目の中で級内相関係数が最も高かったのは“酸素化”であった。この項目は呼吸管理方法および吸入酸素濃度で構成されており、判断基準が明白であったためと考える。逆に最も低かったのは“活動性”であった。本研究では13時時点を評価対象としたが、リハビリ等の活動記録は定時記録されるものではなく、研究者によって前日や13時以降のリハビリ記録から測定していたことが影響したと考えられる。“栄養状態”についても、本研究での級内相関係数は目立って低いものではなかったものの、どの範囲での情報から測定すべきか、また“十分に”という文言をどのように解釈すべきか困惑したという研究者からの意見が多く、さらなる検証による改良が必要であると考えられる。
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