[O2-2] 在宅から救急搬送される循環器内科疾患患者の在宅内での初期症状と経過について
Keywords:在宅、救急搬送、初期症状と経過
【目的】
高齢化と医療の進歩により、循環器疾患を持つ患者は増加している。救急や集中治療を受ける患者に加え、在宅治療を受ける患者も増加しており、今後「心不全パンデミック」が起こると言われている。2018年の大阪府の循環器系内科の搬送件数は4位であり、重症度・死亡率では1位となっている(救急年報、2018)。循環器疾患患者の救急搬送防止には、初期症状の見極めと早期対応が必要である。本研究は、循環器疾患増悪時の初期症状と救急搬送までの経過から、看護師のアセスメントと早期対応の重要性を明らかにすることが目的である。
【方法】
対象は在宅看護で受け持った患60名中で既往に循環器疾患を持ち、救急搬送から入院治療を受けた患者9名。期間:2019年8月~2020年1月。調査方法は9名の既往歴・内服薬・初期症状・入院に至るまでの期間・入院に至った病態を調査し考察した。倫理的配慮として、本研究に関しては施設の責任者と対象者に、研究の主旨・方法・匿名性・情報の取り扱い・本研究以外でデータを使用しない・研究終了後には施設名や個人が特定されないよう論文として公表する・研究終了後はデータを破棄する・研究協力者にいかなる場合も不利益を与えない。以上を口頭と文書で説明し施設の倫理委員会承諾を得た。
【結果】
1)既往歴。心室拡張不全30%、弁膜症30%、洞不全症候群23%、高血圧17%、腹部大動脈瘤17%、心房細動17%。2)内服薬。カルシウム桔抗薬55%、利尿薬45%、抗凝固薬42%、アンジオテンシンⅡ受容体桔抗薬23%、抗不整脈薬・ab遮断薬・強心薬3%。3)初期症状。微熱100%、鬱症状90%、食欲不振70%、咳嗽60%、冷感60%、倦怠感30%、傾眠30%。4)入院に至るまでの期間。当日2名、1週間3名、2週間1名、3週間2名、4週間1名。5)入院に至った病態。症例1から3は、当初は尿路感染と診断され微熱と食欲不振。抗生剤内服と水分摂取を促し、不足分は輸液で水分管理。入院時は血菅内脱水と胸水貯留あり。症例4は鬱症状と食欲減退。認知症もあり、鬱との区別がつかずに経過観察。入浴時に血圧低下し心肺停止。蘇生後入院、うっ血性心不全。食事・飲水量減少も降圧剤は内服継続していた。症例5は既往に徐脈あり。徐々に食欲減退。食事介助と輸液管理。循環変動に注意していたが、早朝に意識消失。高度徐脈。症例6は感冒罹患、咳嗽持続も自覚症状なく経過観察。喘息症状が数日かけて増悪。入院時診断は心臓喘息。症例7は既往に心房細動。感冒罹患に解熱剤投与で経過観察。早朝に血圧低下。脱水からの心房性頻脈あり。症例8は微熱と倦怠感持続も食欲有り。循環変動もなく経過観察。抗凝固内服中。食事中に意識レベル低下。入院時ヘモグロビン5g/dl。血尿が続いていたと事後報告あり。症例9は不顕性誤嚥にて咳嗽出現し食事量減少。輸液、抗生剤、安静、経口栄養食で対処。7日後に痰増多で呼吸困難出現。入院時ヘモグロビン6g/dl。
【考察 】
高齢者は水分摂取量減少や免疫力低下により、感冒罹患や尿路感染を起こし易い。初期症状は微熱や食欲減退であり、抗生剤や輸液で経過を観ることがある。循環器疾患により、貧血や脱水や水分過負荷、現状では適さない定期処方など、日常の軽労作で容易に循環変動を起こす。心不全に合併する鬱症状も見逃され、病状が緩やかで自覚症状も少なく、早期発見や早期対応を遅れさせる。循環変動時には、肺炎や心不全が重篤な状態まで進行している。食欲減退・咳嗽・微熱・鬱症状などは、循環器疾患増悪の初期症状と考え難い。これらの初期症状を経過観察ではなく早期対応することにより、在宅の循環器疾患患者の急変を未然に防ぐ可能性は高くなると考える。
高齢化と医療の進歩により、循環器疾患を持つ患者は増加している。救急や集中治療を受ける患者に加え、在宅治療を受ける患者も増加しており、今後「心不全パンデミック」が起こると言われている。2018年の大阪府の循環器系内科の搬送件数は4位であり、重症度・死亡率では1位となっている(救急年報、2018)。循環器疾患患者の救急搬送防止には、初期症状の見極めと早期対応が必要である。本研究は、循環器疾患増悪時の初期症状と救急搬送までの経過から、看護師のアセスメントと早期対応の重要性を明らかにすることが目的である。
【方法】
対象は在宅看護で受け持った患60名中で既往に循環器疾患を持ち、救急搬送から入院治療を受けた患者9名。期間:2019年8月~2020年1月。調査方法は9名の既往歴・内服薬・初期症状・入院に至るまでの期間・入院に至った病態を調査し考察した。倫理的配慮として、本研究に関しては施設の責任者と対象者に、研究の主旨・方法・匿名性・情報の取り扱い・本研究以外でデータを使用しない・研究終了後には施設名や個人が特定されないよう論文として公表する・研究終了後はデータを破棄する・研究協力者にいかなる場合も不利益を与えない。以上を口頭と文書で説明し施設の倫理委員会承諾を得た。
【結果】
1)既往歴。心室拡張不全30%、弁膜症30%、洞不全症候群23%、高血圧17%、腹部大動脈瘤17%、心房細動17%。2)内服薬。カルシウム桔抗薬55%、利尿薬45%、抗凝固薬42%、アンジオテンシンⅡ受容体桔抗薬23%、抗不整脈薬・ab遮断薬・強心薬3%。3)初期症状。微熱100%、鬱症状90%、食欲不振70%、咳嗽60%、冷感60%、倦怠感30%、傾眠30%。4)入院に至るまでの期間。当日2名、1週間3名、2週間1名、3週間2名、4週間1名。5)入院に至った病態。症例1から3は、当初は尿路感染と診断され微熱と食欲不振。抗生剤内服と水分摂取を促し、不足分は輸液で水分管理。入院時は血菅内脱水と胸水貯留あり。症例4は鬱症状と食欲減退。認知症もあり、鬱との区別がつかずに経過観察。入浴時に血圧低下し心肺停止。蘇生後入院、うっ血性心不全。食事・飲水量減少も降圧剤は内服継続していた。症例5は既往に徐脈あり。徐々に食欲減退。食事介助と輸液管理。循環変動に注意していたが、早朝に意識消失。高度徐脈。症例6は感冒罹患、咳嗽持続も自覚症状なく経過観察。喘息症状が数日かけて増悪。入院時診断は心臓喘息。症例7は既往に心房細動。感冒罹患に解熱剤投与で経過観察。早朝に血圧低下。脱水からの心房性頻脈あり。症例8は微熱と倦怠感持続も食欲有り。循環変動もなく経過観察。抗凝固内服中。食事中に意識レベル低下。入院時ヘモグロビン5g/dl。血尿が続いていたと事後報告あり。症例9は不顕性誤嚥にて咳嗽出現し食事量減少。輸液、抗生剤、安静、経口栄養食で対処。7日後に痰増多で呼吸困難出現。入院時ヘモグロビン6g/dl。
【考察 】
高齢者は水分摂取量減少や免疫力低下により、感冒罹患や尿路感染を起こし易い。初期症状は微熱や食欲減退であり、抗生剤や輸液で経過を観ることがある。循環器疾患により、貧血や脱水や水分過負荷、現状では適さない定期処方など、日常の軽労作で容易に循環変動を起こす。心不全に合併する鬱症状も見逃され、病状が緩やかで自覚症状も少なく、早期発見や早期対応を遅れさせる。循環変動時には、肺炎や心不全が重篤な状態まで進行している。食欲減退・咳嗽・微熱・鬱症状などは、循環器疾患増悪の初期症状と考え難い。これらの初期症状を経過観察ではなく早期対応することにより、在宅の循環器疾患患者の急変を未然に防ぐ可能性は高くなると考える。