[O2-8] 補助人工心臓(VAD)の装着患者に対する看護に関する文献レビュー
Keywords:補助人工心臓、看護、文献レビュー
【目的】
日本では1968年に初めて心臓移植が実施されたが、約20年前に臓器移植法が制定され法律下の心臓移植が開始した。重症心不全に対する植込型補助人工心臓治療ガイドラインによれば、日本の心臓移植の待機期間は2年以上に渡っており、90%以上が補助人工心臓(Ventricular Assist Device:VAD)を用いた橋渡し医療を必要とし、看護師を含むチーム医療体制や患者・家族指導が必要と示唆されている(日本循環器学会/日本心臓血管外科学会2011-2012年度合同研究班,2013)。看護師は、VADの装着患者が重篤疾患を有することからモニタリングといった周術期管理やデバイス管理、さらにセルフチェックを含む退院後支援に至るまで、継続的で質の高い看護の提供が求められる。VAD装着実施施設は2019年4月現在で、成人47施設、小児13施設とその数は決して十分とはいえない(日本臨床補助人工心臓研究会HP,2020年2月28日閲覧)。今後、VAD装着患者が増加することが予測されることから、より質の高い看護実践が求められると考えられる。
そこで、本研究では、日本におけるVAD装着患者に対する看護実践に関するこれまでの動向を明らかにし、課題を検討することを目的として文献レビューを実施した。
【方法】
医学中央雑誌Web版を用いて、検索キーワードを「心臓補助機器/TH or補助人工心臓/AL」「看護/TH or 看護/AL」とし、「PT=原著論文」で絞り込んだ(検索日:2020年3月2日現在)。過去10年の検索を行い、VAD装着患者とその家族に関わる看護職の看護実践に関する論文22件を抽出し、対象が該当外、実践者が作業療法士である、登録システムなど看護実践と関連のみられなかった論文4件を除外した合計18件について、その研究デザインと具体的な看護実践の内容を整理した。
【結果】
論文18件の研究デザインについて、「症例報告」が12件、「症例集積(ケースシリーズ)研究」4件、「混合(ミックスメソッド)研究」1件、「文献研究」1件であった。症例報告として患者(あるいは家族)1名(1組)が対象となっていた論文は10件で、10代の患者の例が4件含まれていた。複数人の患者(あるいは家族)が対象となっていた論文は4件で対象人数は3から29名であった。さらに、看護師を対象とした論文は3件で対象人数は合計1から6名であった。
具体的には【VAD装着患者やその家族・介護者への療養支援】【安全なリハビリテーション】【患児・家族への関わり】【チーム医療における看護師の役割】【緊急入院・病棟受け入れ・病棟外出への対応】【VAD関連の看護実践(挿管チューブ固定法等)】【思い・価値観やQOLへの支援】【退院支援】【外出プログラム】に関する内容であった。
【考察】
日本における過去10年間のVAD装着患者に対する看護実践について文献レビューしたところ事例報告が最も多かったが、論文数は十分とはいえない。今後、橋渡し医療としてVAD装着患者の増加が見込まれることから、系統的、かつ適切な看護支援体制の構築のために、看護研究の推進がさらに必要と考える。
日本では1968年に初めて心臓移植が実施されたが、約20年前に臓器移植法が制定され法律下の心臓移植が開始した。重症心不全に対する植込型補助人工心臓治療ガイドラインによれば、日本の心臓移植の待機期間は2年以上に渡っており、90%以上が補助人工心臓(Ventricular Assist Device:VAD)を用いた橋渡し医療を必要とし、看護師を含むチーム医療体制や患者・家族指導が必要と示唆されている(日本循環器学会/日本心臓血管外科学会2011-2012年度合同研究班,2013)。看護師は、VADの装着患者が重篤疾患を有することからモニタリングといった周術期管理やデバイス管理、さらにセルフチェックを含む退院後支援に至るまで、継続的で質の高い看護の提供が求められる。VAD装着実施施設は2019年4月現在で、成人47施設、小児13施設とその数は決して十分とはいえない(日本臨床補助人工心臓研究会HP,2020年2月28日閲覧)。今後、VAD装着患者が増加することが予測されることから、より質の高い看護実践が求められると考えられる。
そこで、本研究では、日本におけるVAD装着患者に対する看護実践に関するこれまでの動向を明らかにし、課題を検討することを目的として文献レビューを実施した。
【方法】
医学中央雑誌Web版を用いて、検索キーワードを「心臓補助機器/TH or補助人工心臓/AL」「看護/TH or 看護/AL」とし、「PT=原著論文」で絞り込んだ(検索日:2020年3月2日現在)。過去10年の検索を行い、VAD装着患者とその家族に関わる看護職の看護実践に関する論文22件を抽出し、対象が該当外、実践者が作業療法士である、登録システムなど看護実践と関連のみられなかった論文4件を除外した合計18件について、その研究デザインと具体的な看護実践の内容を整理した。
【結果】
論文18件の研究デザインについて、「症例報告」が12件、「症例集積(ケースシリーズ)研究」4件、「混合(ミックスメソッド)研究」1件、「文献研究」1件であった。症例報告として患者(あるいは家族)1名(1組)が対象となっていた論文は10件で、10代の患者の例が4件含まれていた。複数人の患者(あるいは家族)が対象となっていた論文は4件で対象人数は3から29名であった。さらに、看護師を対象とした論文は3件で対象人数は合計1から6名であった。
具体的には【VAD装着患者やその家族・介護者への療養支援】【安全なリハビリテーション】【患児・家族への関わり】【チーム医療における看護師の役割】【緊急入院・病棟受け入れ・病棟外出への対応】【VAD関連の看護実践(挿管チューブ固定法等)】【思い・価値観やQOLへの支援】【退院支援】【外出プログラム】に関する内容であった。
【考察】
日本における過去10年間のVAD装着患者に対する看護実践について文献レビューしたところ事例報告が最も多かったが、論文数は十分とはいえない。今後、橋渡し医療としてVAD装着患者の増加が見込まれることから、系統的、かつ適切な看護支援体制の構築のために、看護研究の推進がさらに必要と考える。