[O3-1] 重症患者におけるフレイルとせん妄日数の関連性の検討
Keywords:フレイル、せん妄
【背景】
近年、集中治療室(ICU)に入室する重症患者の中にもフレイル患者が一定数存在し、入院日数の延長、死亡率の上昇など、患者アウトカムの悪化と関連することが示されている。さらに、人工呼吸日数の延長やせん妄発症など、ICUに関連したアウトカムの悪化とも関連するという報告もある。しかし、せん妄発症率やせん妄日数について一定の見解は得られていない。我々は、虚弱性を示すフレイルは、せん妄の発症やせん妄日数の遷延を引き起こすのではないかと考えた。
【目的】
重症患者におけるフレイルの有無とせん妄の関連性を検討すること。
【方法】
2018年9月から2019年8月までにICUに入室した患者のうち人工呼吸管理を24時間以上必要とする成人患者を対象とした。除外基準は、入室前24時間以上の人工呼吸管理、フレイル判定困難、終末期に該当するCFS8以上、脳血管疾患・精神疾患の既往、心肺蘇生後の患者とした。
フレイルの判定はCFS(Clinical Frailty Scale)を用いて、CFS1-4を非フレイル群、CFS5-7をフレイル群と分類した。併せて、認知症の簡易尺度としてAD8J(Alzheimer Disease 8 Japanese)を測定した。
せん妄の評価はCAM-ICUを用いて判定し、ICU入室後から7日間は継続して定時に評価を行った。
多変量解析にて主要評価項目であるフレイルとせん妄日数との関連性を求めた。
本研究は筑波大学附属病院臨床研究倫理審査委員会の承認を受けて実施した。対象患者または代諾者より研究参加の同意を取得した。
【結果】
研究期間中のICU入室患者は622名のうち、除外基準に該当する患者を除外し、対象患者84名を解析した。CFSの分布はCFS1;10名(12%), CFS2;17名(20%), CFS3;16名(19%), CFS4;21名(25%), CFS5;15名(18%), CFS6;4名(5%), CFS7;1名(1%)となった。
フレイルの有無で分類し、患者基本属性を比較すると、年齢(非フレイル群54[38,71]歳 vs フレイル群60[59,74]歳 p = 0.764)、男性(46名(72%) vs 14名(70%)p = 0.871)には有意差はなく、重症度を示すAPACHEⅡスコア(28[26,31]点 vs 28[23,33]点 p = 0.046)には両群で有意差がみられた。
臨床アウトカムに関してフレイルの有無で比較すると、ICU入室後7日間のせん妄日数 (1.0[1.0,2.5]日 vs 2.0[0.5,3.5]日,p < 0.039)に有意差がみられた。
多変量解析にてICU入室後7日間のせん妄日数に影響を与える因子を解析し、年齢(B=0.032:95%CI[0.007,0.057],p = 0.012)、APACHEⅡ(B=0.051:95%CI[0.009,0.093],p = 0.019)、フレイル(B=1.001:95%CI[0.249,1.754],p = 0.01)は、せん妄日数を遷延させる要因として抽出された。
【考察】
年齢、重症度とともにフレイルの有無はせん妄日数を延長させる要因であった。フレイル患者では、全身の炎症が遷延しやすいといわれており、せん妄日数の遷延と関連した可能性が考えられた。
【結論】
重症患者におけるフレイルはせん妄日数を遷延させる可能性が示唆された。入院時の問診や医療記録からフレイルは簡易的に判定できるため、重症患者のフレイルを認識し、重点的な介入が必要だと考えられる。
近年、集中治療室(ICU)に入室する重症患者の中にもフレイル患者が一定数存在し、入院日数の延長、死亡率の上昇など、患者アウトカムの悪化と関連することが示されている。さらに、人工呼吸日数の延長やせん妄発症など、ICUに関連したアウトカムの悪化とも関連するという報告もある。しかし、せん妄発症率やせん妄日数について一定の見解は得られていない。我々は、虚弱性を示すフレイルは、せん妄の発症やせん妄日数の遷延を引き起こすのではないかと考えた。
【目的】
重症患者におけるフレイルの有無とせん妄の関連性を検討すること。
【方法】
2018年9月から2019年8月までにICUに入室した患者のうち人工呼吸管理を24時間以上必要とする成人患者を対象とした。除外基準は、入室前24時間以上の人工呼吸管理、フレイル判定困難、終末期に該当するCFS8以上、脳血管疾患・精神疾患の既往、心肺蘇生後の患者とした。
フレイルの判定はCFS(Clinical Frailty Scale)を用いて、CFS1-4を非フレイル群、CFS5-7をフレイル群と分類した。併せて、認知症の簡易尺度としてAD8J(Alzheimer Disease 8 Japanese)を測定した。
せん妄の評価はCAM-ICUを用いて判定し、ICU入室後から7日間は継続して定時に評価を行った。
多変量解析にて主要評価項目であるフレイルとせん妄日数との関連性を求めた。
本研究は筑波大学附属病院臨床研究倫理審査委員会の承認を受けて実施した。対象患者または代諾者より研究参加の同意を取得した。
【結果】
研究期間中のICU入室患者は622名のうち、除外基準に該当する患者を除外し、対象患者84名を解析した。CFSの分布はCFS1;10名(12%), CFS2;17名(20%), CFS3;16名(19%), CFS4;21名(25%), CFS5;15名(18%), CFS6;4名(5%), CFS7;1名(1%)となった。
フレイルの有無で分類し、患者基本属性を比較すると、年齢(非フレイル群54[38,71]歳 vs フレイル群60[59,74]歳 p = 0.764)、男性(46名(72%) vs 14名(70%)p = 0.871)には有意差はなく、重症度を示すAPACHEⅡスコア(28[26,31]点 vs 28[23,33]点 p = 0.046)には両群で有意差がみられた。
臨床アウトカムに関してフレイルの有無で比較すると、ICU入室後7日間のせん妄日数 (1.0[1.0,2.5]日 vs 2.0[0.5,3.5]日,p < 0.039)に有意差がみられた。
多変量解析にてICU入室後7日間のせん妄日数に影響を与える因子を解析し、年齢(B=0.032:95%CI[0.007,0.057],p = 0.012)、APACHEⅡ(B=0.051:95%CI[0.009,0.093],p = 0.019)、フレイル(B=1.001:95%CI[0.249,1.754],p = 0.01)は、せん妄日数を遷延させる要因として抽出された。
【考察】
年齢、重症度とともにフレイルの有無はせん妄日数を延長させる要因であった。フレイル患者では、全身の炎症が遷延しやすいといわれており、せん妄日数の遷延と関連した可能性が考えられた。
【結論】
重症患者におけるフレイルはせん妄日数を遷延させる可能性が示唆された。入院時の問診や医療記録からフレイルは簡易的に判定できるため、重症患者のフレイルを認識し、重点的な介入が必要だと考えられる。