第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題(口演)

[O3] せん妄ケア

[O3-2] ICU看護師のせん妄ケアにおける臨床判断

○馬屋原 健裕1、大川 宣容2 (1. 熊本赤十字病院、2. 高知県立大学 看護学部)

Keywords:ICU、看護師、せん妄ケア、臨床判断

【目的】
集中治療の場において、患者の生命を守ることが優先されることで、患者の生活に関して多くの制限が生じている。そのような制限がある中でも、ICU看護師は患者の個別性をとらえてせん妄ケアを実践している。本研究では、ICU看護師のせん妄ケアにおける臨床判断を明らかにし、せん妄ケアにおける看護への示唆を得ることを目的とした。なお本研究では臨床判断を「患者のせん妄の症状の緩和もしくは離脱に向け、患者の反応を把握し今後を予測したことを解釈し、患者に適切だと思われるケアを考え実践する、また実践したことについて振り返ること」とした。
【方法】
研究デザインは質的帰納的研究デザインを用いた。研究協力者は、県内外の急性期病院のICUに勤務する5年目以上の看護師(管理者を除く)とした。研究方法は、Tannerの臨床判断モデルを元に作成したインタビューガイドを使用し、半構造的面接を実施しデータを得た。分析方法はICU看護師のせん妄ケアにおける臨床判断の内容をコード化し、類似したコードからカテゴリー化を行った。本研究は、所属大学の倫理委員会の承認を得た上で実施した。
【結果】
研究協力者は、2県3施設に所属するICU経験年数5〜25年の看護師計6名であった。分析の結果、ICU看護師のせん妄ケアにおける臨床判断として、3つの本質的要素と9つのカテゴリーが抽出された(表)。
【考察】
ICU看護師は、患者の小さな変化や少ない情報をもとに、患者のせん妄を予測または症状の出現に早期に気づき、せん妄症状の増悪を抑制することでケアによる効果を高めていたと考えられた。また集中治療を受ける患者の全身状態を把握し、患者の治療管理と生活のバランスをみることで、患者にとってより効果的なケアの方法を選択していた。さらにせん妄ケアを振り返る中、患者のみならず、ケアを実践する自身と向き合い整えることで、せん妄ケアの成果を出そうしていた。
【結論】
以上の結果から、ICU看護師のせん妄ケアの臨床判断とは、「ICU看護師がせん妄ケアについて常に振り返る中で、患者の反応を細やかにとらえ、得た情報を統合し意味づけしたことに対して、成果を見通し、治療管理と生活のバランスを整えることで、患者にとって安全で効果的なせん妄ケアを選択すること」と再定義された。
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