[O3-4] 心臓血管外科の開胸術後患者とその家族に対する効果的なせん妄予防のための看護実践
キーワード:せん妄予防、看護実践
Ⅰ.研究目的
心臓血管外科の開胸術を受ける患者とその家族に対する効果的なせん妄予防のための看護実践を明らかにする。
Ⅱ.用語の定義
せん妄予防:せん妄の危険因子に介入しせん妄を発症させない一次予防、せん妄ハイリスク状態の早期発見と介入によりせん妄を発症させない二次予防、せん妄の診断後の生活障害を減少させ早期にせん妄から回復させる三次予防(Caplan,1964参考)
Ⅲ.研究方法
1.事例研究
2.対象者:一施設の特定機能病院で心臓血管外科の開胸術後に人工呼吸器管理が行われたCardiac Care Unit(以下:CCU)に入室した患者とその家族2事例。
3.データ収集期間:2018年5月8日~2018年7月31日
4.データ収集方法:専門看護師養成教育課程の看護実習記録より、患者の基礎情報・せん妄に関する情報・看護師が行った看護実践を収集。
5.分析方法:事例毎に実習記録を熟読し、入院から退院までの治療やせん妄に関する徴候について経過表にし、せん妄予防のための看護実践が必要な期間を限定。この期間に行われたせん妄予防に関するすべての看護実践を抽出し時系列にした。次に、これらをまとめて場面を構成。文献(E.W.E,2016;Morandi.A,2017;布宮,2014;菅原,2011)を踏まえたせん妄予防のための看護実践のリストに基づき、せん妄予防のための看護実践を抜き出した。その看護実践の意図を明確にし、各実践に「意味付け」を作成。それを類似性にまとめ『意味のまとまり』にした。各『意味のまとまり』を〖ABCDEFバンドル(以下:バンドル)の実践〗と〖バンドル以外の実践〗に分類した。各類似性に沿ってまとまったものを【カテゴリー】、一つ前を〈サブカテゴリー〉とした。
6.倫理的配慮:所属する大学臨床研究等倫理審査委員会承認(臨大18-057号)
Ⅳ.結果
1.概要:A氏、B氏共に無職、現病歴に心不全、せん妄診断なし、人工呼吸器装着48時間。
2.抽出されたせん妄予防のための看護実践
A氏、B氏は三次予防のカテゴリーは抽出されなかった。
1)A氏:70場面。一次予防〖バンドルの実践〗は【患者・家族から患者の痛みの感じやすさを確認した】【対話の中で患者の認知能力を確認した】などの4つ。〖バンドル以外の実践〗は【看護師が術前にオリエンテーションをすることで手術に対する不安を残さないようにした】。
二次予防〖バンドルの実践〗は、【患者の状態から疼痛を把握し緩和した】【早期人工呼吸器離脱を目指し医師・看護師が介入した】【せん妄の兆しを察知し悪化しないよう対処した】【良質な睡眠がとれるように介入した】【身体的負荷を考えながら、身体感覚を刺激した】【家族に患者の容態を説明して患者の傍にいられるようにした】などの7つ。〖バンドル以外の実践〗は【非侵襲的陽圧換気によって生じる患者の息苦しさを医師・看護師間で協働して緩和した】【よく観察し密なケアを提供することで不安を軽減した】【回復への気力を高めた】などの7つ。
Ⅴ.考察 せん妄予防のための看護実践は以下の3つが効果があると考えられた。
1.術前のオリエンテーション時にせん妄予防に関わる情報を把握し術後のケアに繋げる。術前から術後にケアを担当する看護師が患者と関わり患者の不安に寄り添ったオリエンテーションを行う。
2.バンドルの実施率を上げるために、医師や看護師にバンドルの知識の提供し、バンドルの看護実践を患者家族に行う。
3.開胸術後の患者の体験を理解し、患者の意向を確認しながら苦痛を取り除く、患者が現状や治療に対して納得できるようにする。
心臓血管外科の開胸術を受ける患者とその家族に対する効果的なせん妄予防のための看護実践を明らかにする。
Ⅱ.用語の定義
せん妄予防:せん妄の危険因子に介入しせん妄を発症させない一次予防、せん妄ハイリスク状態の早期発見と介入によりせん妄を発症させない二次予防、せん妄の診断後の生活障害を減少させ早期にせん妄から回復させる三次予防(Caplan,1964参考)
Ⅲ.研究方法
1.事例研究
2.対象者:一施設の特定機能病院で心臓血管外科の開胸術後に人工呼吸器管理が行われたCardiac Care Unit(以下:CCU)に入室した患者とその家族2事例。
3.データ収集期間:2018年5月8日~2018年7月31日
4.データ収集方法:専門看護師養成教育課程の看護実習記録より、患者の基礎情報・せん妄に関する情報・看護師が行った看護実践を収集。
5.分析方法:事例毎に実習記録を熟読し、入院から退院までの治療やせん妄に関する徴候について経過表にし、せん妄予防のための看護実践が必要な期間を限定。この期間に行われたせん妄予防に関するすべての看護実践を抽出し時系列にした。次に、これらをまとめて場面を構成。文献(E.W.E,2016;Morandi.A,2017;布宮,2014;菅原,2011)を踏まえたせん妄予防のための看護実践のリストに基づき、せん妄予防のための看護実践を抜き出した。その看護実践の意図を明確にし、各実践に「意味付け」を作成。それを類似性にまとめ『意味のまとまり』にした。各『意味のまとまり』を〖ABCDEFバンドル(以下:バンドル)の実践〗と〖バンドル以外の実践〗に分類した。各類似性に沿ってまとまったものを【カテゴリー】、一つ前を〈サブカテゴリー〉とした。
6.倫理的配慮:所属する大学臨床研究等倫理審査委員会承認(臨大18-057号)
Ⅳ.結果
1.概要:A氏、B氏共に無職、現病歴に心不全、せん妄診断なし、人工呼吸器装着48時間。
2.抽出されたせん妄予防のための看護実践
A氏、B氏は三次予防のカテゴリーは抽出されなかった。
1)A氏:70場面。一次予防〖バンドルの実践〗は【患者・家族から患者の痛みの感じやすさを確認した】【対話の中で患者の認知能力を確認した】などの4つ。〖バンドル以外の実践〗は【看護師が術前にオリエンテーションをすることで手術に対する不安を残さないようにした】。
二次予防〖バンドルの実践〗は、【患者の状態から疼痛を把握し緩和した】【早期人工呼吸器離脱を目指し医師・看護師が介入した】【せん妄の兆しを察知し悪化しないよう対処した】【良質な睡眠がとれるように介入した】【身体的負荷を考えながら、身体感覚を刺激した】【家族に患者の容態を説明して患者の傍にいられるようにした】などの7つ。〖バンドル以外の実践〗は【非侵襲的陽圧換気によって生じる患者の息苦しさを医師・看護師間で協働して緩和した】【よく観察し密なケアを提供することで不安を軽減した】【回復への気力を高めた】などの7つ。
Ⅴ.考察 せん妄予防のための看護実践は以下の3つが効果があると考えられた。
1.術前のオリエンテーション時にせん妄予防に関わる情報を把握し術後のケアに繋げる。術前から術後にケアを担当する看護師が患者と関わり患者の不安に寄り添ったオリエンテーションを行う。
2.バンドルの実施率を上げるために、医師や看護師にバンドルの知識の提供し、バンドルの看護実践を患者家族に行う。
3.開胸術後の患者の体験を理解し、患者の意向を確認しながら苦痛を取り除く、患者が現状や治療に対して納得できるようにする。