第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題(口演)

[O3] せん妄ケア

[O3-6] ICU入室患者における睡眠バンドルを用いたせん妄軽減への介入効果

○三浦 駿1 (1. 岩手県立中央病院ICU)

Keywords:睡眠促進バンドル

【はじめに】ICUではせん妄が多く発症するため、予防が重要となる。せん妄はICUの滞在日数の延長や治療のアドヒアランスの低下などを引き起し、予後にも影響することが知られている。A病院ICUでは早期離床など予防効果があるとされているケアを実践しているが、過去1年間のせん妄発症率は約22%で推移しており、それ以下にはならない現状にある。そこで、予防効果が示唆される睡眠促進バンドルを導入することで、せん妄発症率の更なる低減ができるのではないかと考えた。

【目的】ICU入院患者における睡眠バンドルを用いたせん妄軽減への介入効果を検証する。

【方法】20XX年4ヶ月間にA病院ICUに48時間以上入院した患者60名。コントロール群を睡眠バンドルによる介入を受けていない患者、介入群をPatelらにより報告された睡眠促進バンドルをA病院ICUに合わせて改訂し、介入を受けた患者とした。せん妄判定にはIntensive Care Delirium Screening Checklist (以下ICDSCとする)を用い、各群のせん妄発症率をχ²検定を使用し比較した。A病院の倫理審査委員会の承認を得て実施した。

【結果】コントロール群の平均年齢は69.5歳(SD±12.5)、男女比は男性26人で女性4人、入院区分は予定入院14人で緊急入院16人、ICU滞在日数の平均は8.7日、人工呼吸器装着日数の平均は4.4日、せん妄期間の平均は2.8日であった。介入群の平均年齢は69.5歳(SD±9.1)、男女比は男性19人で女性11人、入院区分は予定入院29人で緊急入院1人、ICU滞在日数の平均は7.1日、人工呼吸器装着日数の平均は3.4日、せん妄期間の平均は1.2日であった。男女比、入院区分において有意差がみられた。コントロール群のせん妄発症率は20.4%、介入群は10.4%であった。せん妄の発症率が低減した。

【考察】看護師が睡眠バンドルを活用し、統一したせん妄予防ケアを実施することで、ICUでの療養環境が整い、患者の睡眠が促進されたことが要因と考える。今回、コントロール群と介入群において年齢に差はなかったが、男女の差がみられた。男性であることはせん妄発症の要因とされている。コントロール群において男性の比率が多かったことでせん妄発症率が高かった可能性が考えられる。人工呼吸器装着日数の平均に大きな差はなく、ICU滞在日数の平均においては約1日の差があった。せん妄発症が軽減されたことにより、ICUの滞在日数も減り早期にICUを退室できた可能性も考えられる。せん妄期間においても約2日の差がみられ、せん妄が発症した患者に対しても看護ケアや医学的介入の見直しを医師と協力して行うことによりせん妄の期間を短くできたと考える。入院区分ではコントロール群の緊急入院が多く、介入群は予定入院が多かった。経験上、緊急入院の患者はせん妄を発症する確率が高い傾向にある。挿管等の急な状態変化や緊急を要する手術により自身の病状や状態について充分に理解できていないことが要因であると考えられる。

【結論】睡眠促進バンドルを用いて睡眠を促進したことで、せん妄の発症軽減に効果があった。