[O4-5] 当院の集中治療領域におけるNurse Practitionerの役割と特定行為の実施状況
Keywords:Nurse Practitioner、特定行為、診療看護師
【目的・背景】
米国では集中治療領域のNurse Practitioner(以下:NP)及びPhysician Assistantの研究レビューが発表された。その中で各研究、施設でのNPの役割が不明確であり、標準化されていない事が課題として挙げられた。日本では集中治療に関わるNPは年々増加していると思われるが、活動内容は明確化されていない。そこで集中治療領域のNPの役割を明確化する一助となることを期待し、当院集中治療室におけるNPの活動をまとめ報告する。
当院のNPは21区分の特定行為の研修を終了しており実施可能である。特定行為における手順書を使用せず、医師の直接指示のもと活動している。NPの活動を特定行為区分で集計することでその分野での資料となることを期待する。
NPの定義、用語に関しては本邦では明確に設定されておらず、ここでは日本NP教育大学院協議会のNP資格認定試験合格者をNPと定義する。
【方法】
当院の集中治療室で勤務するNP1名の活動に関して、2019年4月〜2019年12月のカルテ履歴より実施内容を単純集計した。本研究は当院の倫理委員会より承認を得て進めた。
【結果】
当院集中治療室でのNPは、重症患者をBy systemにてアセスメント、プランニングを行い、多職種回診にてプレゼンテーションを実施。最終的に医師が判断、指示を行い、NPが実践していく。
集中治療室での平均の担当患者は1.36名/日であり、主に心臓血管外科、内科、外科の患者である。直接指示での活動を特定行為区分で分類した場合、侵襲的陽圧換気設定の変更(3.07回/日)、脱水に対する輸液補正の実施(1.89回/日)が多く、鎮静剤の調整、持続投与中の持続降圧薬、カリウム製剤の調整は看護指示プロトコルでの調整のため実施していない。カテコラミンの投与量調整に関してもプロトコルのあるノルアドレナリンの調整はなく、ドブタミンの調整(1.64回/日)のみであった。
【考察】
当院におけるNPは医師におけるシニアレジデント(研修医3年目)と同様の活動をしており、医師の判断のもと実践者として活動している。集中治療領域でのNPの役割は世界的にも標準化されおらず、施設によって活動内容の相違はある。NPの特徴は高度実践看護師の中でも医学的な教育を集中的に受けているところであり、臨床では治療介入の評価や判断する場面が多い。治療介入の「開始」を判断することが多いため、集中治療室だけでなく人員が少ない一般病棟など、集中治療室外での活動を増やすことでその価値が高まる可能性がある。
特定行為区分では侵襲的陽圧換気設定の変更と輸液が多く、実施がない項目は、看護指示プロトコルにて調整されていたものであった。医師の直接指示のもとではあるが、自身でアセスメント、プランニングを行っており治療介入の必要性、前記のとおり「介入の開始」を判断をすることが多く、これは看護指示によるプロトコルでは対応できない部分である。今後、看護指示と特定行為の手順書による実施の差別化を図るため、「調整」だけでなく「開始」が特定行為に含まれることが肝要である。今後、集中治療領域でのNPと特定行為の役割が明確化し、標準化していくことが望まれる。
米国では集中治療領域のNurse Practitioner(以下:NP)及びPhysician Assistantの研究レビューが発表された。その中で各研究、施設でのNPの役割が不明確であり、標準化されていない事が課題として挙げられた。日本では集中治療に関わるNPは年々増加していると思われるが、活動内容は明確化されていない。そこで集中治療領域のNPの役割を明確化する一助となることを期待し、当院集中治療室におけるNPの活動をまとめ報告する。
当院のNPは21区分の特定行為の研修を終了しており実施可能である。特定行為における手順書を使用せず、医師の直接指示のもと活動している。NPの活動を特定行為区分で集計することでその分野での資料となることを期待する。
NPの定義、用語に関しては本邦では明確に設定されておらず、ここでは日本NP教育大学院協議会のNP資格認定試験合格者をNPと定義する。
【方法】
当院の集中治療室で勤務するNP1名の活動に関して、2019年4月〜2019年12月のカルテ履歴より実施内容を単純集計した。本研究は当院の倫理委員会より承認を得て進めた。
【結果】
当院集中治療室でのNPは、重症患者をBy systemにてアセスメント、プランニングを行い、多職種回診にてプレゼンテーションを実施。最終的に医師が判断、指示を行い、NPが実践していく。
集中治療室での平均の担当患者は1.36名/日であり、主に心臓血管外科、内科、外科の患者である。直接指示での活動を特定行為区分で分類した場合、侵襲的陽圧換気設定の変更(3.07回/日)、脱水に対する輸液補正の実施(1.89回/日)が多く、鎮静剤の調整、持続投与中の持続降圧薬、カリウム製剤の調整は看護指示プロトコルでの調整のため実施していない。カテコラミンの投与量調整に関してもプロトコルのあるノルアドレナリンの調整はなく、ドブタミンの調整(1.64回/日)のみであった。
【考察】
当院におけるNPは医師におけるシニアレジデント(研修医3年目)と同様の活動をしており、医師の判断のもと実践者として活動している。集中治療領域でのNPの役割は世界的にも標準化されおらず、施設によって活動内容の相違はある。NPの特徴は高度実践看護師の中でも医学的な教育を集中的に受けているところであり、臨床では治療介入の評価や判断する場面が多い。治療介入の「開始」を判断することが多いため、集中治療室だけでなく人員が少ない一般病棟など、集中治療室外での活動を増やすことでその価値が高まる可能性がある。
特定行為区分では侵襲的陽圧換気設定の変更と輸液が多く、実施がない項目は、看護指示プロトコルにて調整されていたものであった。医師の直接指示のもとではあるが、自身でアセスメント、プランニングを行っており治療介入の必要性、前記のとおり「介入の開始」を判断をすることが多く、これは看護指示によるプロトコルでは対応できない部分である。今後、看護指示と特定行為の手順書による実施の差別化を図るため、「調整」だけでなく「開始」が特定行為に含まれることが肝要である。今後、集中治療領域でのNPと特定行為の役割が明確化し、標準化していくことが望まれる。