[O7-3] CCU配属1年目看護師教育にリフレクションを導入した効果ー心臓血管外科術後入室場面での気づきと学びー
Keywords:リフレクション、気づき 学び、看護師教育
【目的】
CCU配属1年目看護師(以下1年目看護師と称す)の教育プログラムは、オリエンテーションやシミュレーション、勉強会、指導看護師との日々の振り返りで構成されている。しかし、振り返りは業務内容の確認や反省に留まっており1年目看護師の看護実践能力の成長に繋げられていなかった。そこで、2018年度からリフレクションを導入した。今回は、1年目看護師が不安や緊張、苦手意識を表出することが多い「心臓血管外科患者の術後入室場面」についてリフレクションを行い、得られた気づきと学びを明らかにした。
【方法】
研究同意が得られた1年目看護師2名(A看護師、B看護師)を対象とし、プライバシーが確保される個室でリフレクションを行った。対象者のペースや考えを尊重し、共感的・支持的姿勢で傾聴しながら、必要に応じて表出を促した。会話は同意を得てICレコーダーに録音して逐語録を作成し、気づきと学びについて質的帰納的に分析した。分析の信頼性と妥当性を高めるため研究メンバーで繰り返し検討した。本研究は、所属大学病院倫理審査委員会の承諾を得て実施した。
【結果】
リフレクションの時間は平均56分であった。A看護師は、術後出血の事例のリフレクションを行い「自分は焦ってしまうタイプだが、医師や先輩看護師の助言を受けながら、パラメータや採血データの観察ができ、輸血や薬剤の調整の必要性が考えられた」という語りから【困難な場面の経験が自己の成長に繋がっている】という気づきを得ていた。また「自分は知識量を増やすための勉強は苦手で実践で知識を獲得するタイプだが、医師や先輩看護師の助言で自己の学習不足を痛感した」と繰り返し表出し【経験からの知識の習得には限界があり、学習は大切だ】という学びを得ていた。B看護師は、術後覚醒による血圧上昇で出血が増加した事例のリフレクションを行い「術後合併症は知っていたが、覚醒による血圧の上昇をアセスメントできなかった」と繰り返し表出し、【知識として知っているだけでなく実践から学ぶことも重要である】という気づきを得ていた。また「自分は医師に報告するのが苦手だが、術後の異常を発見し医師に報告し対処したことで、悪循環が断ち切れた」と語り【報告は苦手だが、患者の危機を回避するためには報告は重要】という学びを得ていた。さらに「知識不足のために、医師の指示を理解できず指示の確認もできなかった」と振り返り【知識不足があると患者に適切な看護実践ができない】という学びを得ていた。
【考察】
A・B看護師共に、リフレクションにより自己の性格や学習スタイル、自己の苦手な部分に対する気づきを得ていた。この気づきが、自己の考えや看護実践が正しいか吟味し判断する批判的思考力を高め、苦手意識を克服し報告や学習する重要性を学ぶ自己啓発力に繋がっていた。そして、内発的動機付けとなり看護師としての行動変容をもたらし、さらなる成長に繋がると考える。武藤らは、効果的なリフレクションの促進には先ず「聞くことの保証」が与えられることが必要1)と示している。今回のリフレクションでは、1年目看護師に対する態度や環境に配慮し、支持と傾聴に努めたことで、「聞くことの保証」が提示でき、内発的動機づけとなる気づきや学びが得られたのではないかと考えた。
【引用文献】
1)武藤雅子,前田ひとみ:新人看護職に対する複数回の臨床体験のリフレクション支援の効果,日本看護科学会誌,36,p.85-92,2016
CCU配属1年目看護師(以下1年目看護師と称す)の教育プログラムは、オリエンテーションやシミュレーション、勉強会、指導看護師との日々の振り返りで構成されている。しかし、振り返りは業務内容の確認や反省に留まっており1年目看護師の看護実践能力の成長に繋げられていなかった。そこで、2018年度からリフレクションを導入した。今回は、1年目看護師が不安や緊張、苦手意識を表出することが多い「心臓血管外科患者の術後入室場面」についてリフレクションを行い、得られた気づきと学びを明らかにした。
【方法】
研究同意が得られた1年目看護師2名(A看護師、B看護師)を対象とし、プライバシーが確保される個室でリフレクションを行った。対象者のペースや考えを尊重し、共感的・支持的姿勢で傾聴しながら、必要に応じて表出を促した。会話は同意を得てICレコーダーに録音して逐語録を作成し、気づきと学びについて質的帰納的に分析した。分析の信頼性と妥当性を高めるため研究メンバーで繰り返し検討した。本研究は、所属大学病院倫理審査委員会の承諾を得て実施した。
【結果】
リフレクションの時間は平均56分であった。A看護師は、術後出血の事例のリフレクションを行い「自分は焦ってしまうタイプだが、医師や先輩看護師の助言を受けながら、パラメータや採血データの観察ができ、輸血や薬剤の調整の必要性が考えられた」という語りから【困難な場面の経験が自己の成長に繋がっている】という気づきを得ていた。また「自分は知識量を増やすための勉強は苦手で実践で知識を獲得するタイプだが、医師や先輩看護師の助言で自己の学習不足を痛感した」と繰り返し表出し【経験からの知識の習得には限界があり、学習は大切だ】という学びを得ていた。B看護師は、術後覚醒による血圧上昇で出血が増加した事例のリフレクションを行い「術後合併症は知っていたが、覚醒による血圧の上昇をアセスメントできなかった」と繰り返し表出し、【知識として知っているだけでなく実践から学ぶことも重要である】という気づきを得ていた。また「自分は医師に報告するのが苦手だが、術後の異常を発見し医師に報告し対処したことで、悪循環が断ち切れた」と語り【報告は苦手だが、患者の危機を回避するためには報告は重要】という学びを得ていた。さらに「知識不足のために、医師の指示を理解できず指示の確認もできなかった」と振り返り【知識不足があると患者に適切な看護実践ができない】という学びを得ていた。
【考察】
A・B看護師共に、リフレクションにより自己の性格や学習スタイル、自己の苦手な部分に対する気づきを得ていた。この気づきが、自己の考えや看護実践が正しいか吟味し判断する批判的思考力を高め、苦手意識を克服し報告や学習する重要性を学ぶ自己啓発力に繋がっていた。そして、内発的動機付けとなり看護師としての行動変容をもたらし、さらなる成長に繋がると考える。武藤らは、効果的なリフレクションの促進には先ず「聞くことの保証」が与えられることが必要1)と示している。今回のリフレクションでは、1年目看護師に対する態度や環境に配慮し、支持と傾聴に努めたことで、「聞くことの保証」が提示でき、内発的動機づけとなる気づきや学びが得られたのではないかと考えた。
【引用文献】
1)武藤雅子,前田ひとみ:新人看護職に対する複数回の臨床体験のリフレクション支援の効果,日本看護科学会誌,36,p.85-92,2016