[O9-2] 看護師Numeric Rating Scale評価と鎮痛介入の実態調査研究
Keywords:鎮痛管理、NRS、看護師経験年数
Ⅰ、目的
ICUに入院する患者のせん妄発症は予後不良の独立危険因子であり、予防として疼痛コントロールを適切に行うことが有効だとされる。疼痛評価のツールとして、主観的評価のNRS、客観的評価のCPOTの有用性は証明されており、当院のICUでも3年前より独自のPADケアバンドルを作成し、NRS及びCPOTを6時~21時までの間3時間毎に評価している。しかし、PADケアバンドルではNRS≧4にて疼痛コントロールの介入を推奨しているものの、実際は患者がNRS≧4と訴えても鎮痛剤使用や疼痛緩和の介入がなされていない場面が見受けられる。その為、本研究はNRS評価のタイミングや看護師の主観的判断と疼痛管理における患者の満足度を明らかにすることを目的として取り組んだ。
Ⅱ、方法
1.研究デザイン:量的記述的研究
2.対象:ICU、外科HCU病棟に在籍し研究協力を得られた看護師39名。ICU、外科HCU病棟に入室し研究協力を得られた患者100名
3.実施期間:2019年6月~12月
4.データ収集:NRS評価の実施率及び鎮痛介入方法を看護記録から後ろ向き調査し、データ収集をした。看護師に対しNRS評価に関する意識の構造化面接し、データ収集をした。患者に対して質問紙調査方法を用いてデータ収集した。
5.データ分析:コーディングとカテゴリー分類
6.倫理的配慮
本研究は東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会の承認を得て実施。
Ⅲ、結果
NRS評価の3時間毎実施率は57%であった。5年目以下看護師の44%は痛みが発生した際に評価及び介入し、リハビリ実施など痛みが予測される際に評価、介入しているのは5%であった。それに対し6年目以上看護師26%は痛みが予測される際に評価、介入していた。3時間毎に評価していない理由として、6年目以上看護師はあえて評価していないが67%と最も多く、患者の表情やその他生体モニターなどモニタリングによる客観的評価を指標にしていた。鎮痛介入方法は74%が薬物介入、非薬物介入は6%だった。また、99%の患者がICU入室中になんらかの鎮痛ケアを受けたと答え、痛みが増強する場面として、咳が続くとき、寝る前、安静時、の順で多かったが看護師が、疼痛出現予測として挙げたリハビリ時は5番目に多い結果であった。さらに、32%の患者が痛みをNRSで表すことが難しいと答えた。
Ⅳ、考察
看護師経験年数により評価及び鎮痛介入のタイミングが異なった要因としては、経験豊富な看護師は、現状では痛がっていない患者でも予測をたて予防介入が出来ているのだと考えられる。ベナーは達人レベルの看護師は自分の状況把握を適切な行動に結びつけるのに、もはや分析的な原則である規則、ガイドライン、格率には頼らないと述べており、クリティカル領域である程度経験を重ねたことで、数値だけに頼ることなく、患者の苦痛を予測出来る能力が養われ、それが経験年数によって差をもたらしたと考える。疼痛に対する介入として非薬物療法が6%という結果に関しては、非薬物効果の場合、鎮痛効果が明確でない、物理的に時間がない、緩和について知識と技術がない、疼痛コントロールに関しての学習経験がないことなどが予測される。
また、32%の患者が痛みを数値化することが難しいと感じており、これは普段から疼痛を数値化することに慣れていないこと以外に、看護師が痛みの表現を的確に説明出来ていないことも考えられ、この点が今後の課題と捉える。
Ⅴ結語
NRS評価、鎮痛介入は看護師の主観と経験により左右された。疼痛に対し看護師の介入の判断と患者の希望には乖離があった。看護師の鎮痛介入はほとんどが薬物に頼っていた。患者は疼痛をNRSで表現することの困難さがあった。
ICUに入院する患者のせん妄発症は予後不良の独立危険因子であり、予防として疼痛コントロールを適切に行うことが有効だとされる。疼痛評価のツールとして、主観的評価のNRS、客観的評価のCPOTの有用性は証明されており、当院のICUでも3年前より独自のPADケアバンドルを作成し、NRS及びCPOTを6時~21時までの間3時間毎に評価している。しかし、PADケアバンドルではNRS≧4にて疼痛コントロールの介入を推奨しているものの、実際は患者がNRS≧4と訴えても鎮痛剤使用や疼痛緩和の介入がなされていない場面が見受けられる。その為、本研究はNRS評価のタイミングや看護師の主観的判断と疼痛管理における患者の満足度を明らかにすることを目的として取り組んだ。
Ⅱ、方法
1.研究デザイン:量的記述的研究
2.対象:ICU、外科HCU病棟に在籍し研究協力を得られた看護師39名。ICU、外科HCU病棟に入室し研究協力を得られた患者100名
3.実施期間:2019年6月~12月
4.データ収集:NRS評価の実施率及び鎮痛介入方法を看護記録から後ろ向き調査し、データ収集をした。看護師に対しNRS評価に関する意識の構造化面接し、データ収集をした。患者に対して質問紙調査方法を用いてデータ収集した。
5.データ分析:コーディングとカテゴリー分類
6.倫理的配慮
本研究は東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会の承認を得て実施。
Ⅲ、結果
NRS評価の3時間毎実施率は57%であった。5年目以下看護師の44%は痛みが発生した際に評価及び介入し、リハビリ実施など痛みが予測される際に評価、介入しているのは5%であった。それに対し6年目以上看護師26%は痛みが予測される際に評価、介入していた。3時間毎に評価していない理由として、6年目以上看護師はあえて評価していないが67%と最も多く、患者の表情やその他生体モニターなどモニタリングによる客観的評価を指標にしていた。鎮痛介入方法は74%が薬物介入、非薬物介入は6%だった。また、99%の患者がICU入室中になんらかの鎮痛ケアを受けたと答え、痛みが増強する場面として、咳が続くとき、寝る前、安静時、の順で多かったが看護師が、疼痛出現予測として挙げたリハビリ時は5番目に多い結果であった。さらに、32%の患者が痛みをNRSで表すことが難しいと答えた。
Ⅳ、考察
看護師経験年数により評価及び鎮痛介入のタイミングが異なった要因としては、経験豊富な看護師は、現状では痛がっていない患者でも予測をたて予防介入が出来ているのだと考えられる。ベナーは達人レベルの看護師は自分の状況把握を適切な行動に結びつけるのに、もはや分析的な原則である規則、ガイドライン、格率には頼らないと述べており、クリティカル領域である程度経験を重ねたことで、数値だけに頼ることなく、患者の苦痛を予測出来る能力が養われ、それが経験年数によって差をもたらしたと考える。疼痛に対する介入として非薬物療法が6%という結果に関しては、非薬物効果の場合、鎮痛効果が明確でない、物理的に時間がない、緩和について知識と技術がない、疼痛コントロールに関しての学習経験がないことなどが予測される。
また、32%の患者が痛みを数値化することが難しいと感じており、これは普段から疼痛を数値化することに慣れていないこと以外に、看護師が痛みの表現を的確に説明出来ていないことも考えられ、この点が今後の課題と捉える。
Ⅴ結語
NRS評価、鎮痛介入は看護師の主観と経験により左右された。疼痛に対し看護師の介入の判断と患者の希望には乖離があった。看護師の鎮痛介入はほとんどが薬物に頼っていた。患者は疼痛をNRSで表現することの困難さがあった。