第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題(示説)

[P1] 看護教育

[P1-3] 病院救急車に同乗する看護師の課題の明確化と教育支援の検討

○北村 健1、切手 純代1、三木 珠美2 (1. 医療法人社団永生会 南多摩病院、2. 創価大学 看護学部)

キーワード:病院救急車、看護教育

【目的】
 我が国の救急車による救急出動件数は、過去最多となり多くの問題を抱えている。これに対し東京都八王子市では、1753機関からなる「高齢者救急医療体制広域連絡会」を設立し、公的に運用する病院救急車による患者救急搬送システムを2014年に開始し6年目を迎える。
 本研究の目的は、病院救急車にて患者救急搬送時に同乗する看護師に必要とされる知識やスキルを明確化し、教育支援について検討することである。

【研究方法】
1.調査方法と内容:
①2018年10月~2019年9月の過去1年間におけるA病院救急車の搬送内容
②2019年10月にA病院救急車に同乗したことのある看護師32名を対象に「病院救急車に同乗する上で不明なことや不安なことと必要な教育」についてアンケートによる調査を実施した。
2.分析方法:①②とも単純集計し、自由記載については内容分析を行った。
3.倫理的配慮:本研究は対象施設倫理委員会の承認を得た上で実施し、搬送データは番号で取り扱い、また質問紙は無記名で実施し、個人が特定できないよう配慮した。調査協力の諾否によって対象者が不利益を被らないことを説明した。

【結果】 
1.年間搬送件数は527件、搬送時間の中央値は19分、搬送機関はA病院から他院の搬送が183件(35%)で最多であり、その他には在宅からA病院や他院から他院の搬送などもみられた。年齢層は1~104歳であり、80歳代が201件(38%)で最多であった。搬送先受け入れ科は内科が223件(42%)で最多であり、疾患では胸腰椎骨折が38件、次いで気管支炎・肺炎が28件と多かった。
2.アンケートの有効回答率は62.5%(n=20)であった。ER・HCU・訪問診療の部署の看護師が同乗しており、過去の同乗回数は10回未満が6名、10回以上が14名であった。病院救急車内で必要とされる実践において、不明もしくは不安な項目について調査した結果、『搬送時における患者の状態変化の連絡方法や手順』、『患者移動に使用する搬送器材の選択と使用方法』、『車内物品補充内容と方法』、『在宅医療資器材(シリンジポンプ・人工呼吸器など)の操作と管理』、『車内における一次救命処置(BLS)』、『搬送途上の事故対応』において、回答者の7割以上が不明なままもしくは不安を抱えたまま同乗していると回答していた。
3.自由記載では、「同乗における改善点」について10項目が抽出され、『情報と実際の患者の容態が違っていることもあるため情報伝達と準備に関すること』や『救急救命士と看護師の役割や責任の明確化』などが含まれていた。「必要な教育」においては11項目が抽出され、『車内の急変時の対応』や『車内機材や物品の正しい使用方法』などが含まれていた。
「同乗に関する思い」では、病院救急車による事業取り組みに対し、同乗看護師は不安だけではなく、魅力も感じており、同乗し院外の環境下で活動することによって看護師としてより経験知が深まると肯定的に捉えていることが分かった。

【考察】
 同乗看護師の実践に関する不安や不明な部分を解決するために優先される内容は、同乗看護師の役割(業務)の明確化と病院救急車の同乗マニュアルの整備である。また、同乗する看護師が病院救急車内の設備や使用方法について、画像などでいつでも繰り返し見ることができるようなシステムも必要と言える。教育支援として、在宅医療機器に関する取り扱いや急変時の対応マニュアル作成とシミュレーション教育が必要である。さらに定期的に搬送患者の症例検討や実際の活動のリフレクションや情報共有する場を設けることで、安全・安楽な病院救急車における患者搬送に繫がると考える。