[P2-4] 周手術期における術後疼痛とせん妄に関するレビュー
Keywords:術後疼痛、せん妄
【目的】
2018年に示されたPADISガイドライン(SCCM, 2018)において疼痛の要因、パターンがさまざまであり、患者の痛みの感受性や痛みの耐性幅が大きいため、これらの管理は複雑であり、疼痛評価と管理に対する一貫したアプローチが最も重要と述べられている。先行研究において患者と看護師の痛みの評価に差異が生じ、看護師は患者の痛みを過小評価していることが報告されている。そこで周手術期における疼痛管理とせん妄予防についての文献を概観し、疼痛管理とせん妄予防との関連について検討することを目的とした。
【方法】
データベースは、医学中央雑誌(WEB版)を用いて「術後痛」「鎮痛」「鎮静」「せん妄」をキーワードとして文献検索を行い、2010年~2019年までの10年間に掲載された研究論文を対象とした。術後痛、せん妄の看護系の論文は46件であった。選別された論文を看護で絞り込み最終的に18件を分析対象とした。本研究は、周手術期における疼痛とせん妄に焦点化したため、小児、終末期、精神疾患に関する論文は除外とした。なお、本調査は既に刊行された論文を調査対象としているため、倫理審査は受けていない。
【結果】
分析対象とした文献の研究内訳は(1)術後疼痛管理に関する文献6件(2)せん妄発生要因に関する文献2件(3)せん妄予防ケアに関する文献7件(4)ICU入室による不安に関する文献3件であった。対象文献のうち15件が看護師や医療従事者を対象とした研究で、患者を対象とした研究でその他は看護師や医療者を対象とした研究であった。術後疼痛とせん妄との関連についての結果として、術後痛を客観的に評価していない、術後せん妄のガイドラインの整備が不十分であり、せん妄の評価を行っていない。そのため薬剤の投与がされづらく患者の苦痛が増している。疼痛の緩和を行っていないことによる睡眠リズムの乱れからせん妄を発症している。術後の早期離床や生活リズムを整えせん妄予防を実践し2次的合併症を予防しているなどであった。
【考察】
術後疼痛は最も脅威となる症状の一つであり、不安や恐怖、怒りや抑うつなど患者の精神面へも影響する(井川ら, 2012)と述べているように、術後疼痛の管理は麻酔覚醒から行う必要性を看護師は認識して実践する必要がある。しかし痛みは主観的な訴えであり、患者によって表現や伝達方法が異なるため、看護師が一律に正確に評価することが難しく、看護師は患者の痛みを過小評価する傾向がある。しかし看護師の疼痛や術後せん妄のアセスメントが不十分であり、鎮痛薬の使用は疼痛緩和に効果があると理解していても、その副作用の出現から回復遅延につながることを危惧し使用を控えていることから、術後せん妄の発生を助長させている状況が見て取れる。積極的な疼痛管理の実践が術後せん妄の発生を予防し2次的合併症併発させないために、PADISガイドラインの周知やガイドラインに基づいた看護実践、患者のQOLを見据えたケアに関する教育の必要性が示唆された。また、実態調査や実践報告は発表されているが、その一方で、患者を対象とした研究は少なかったため、今後は患者を対象とした研究や実証研究などの蓄積が必要であると考える。
2018年に示されたPADISガイドライン(SCCM, 2018)において疼痛の要因、パターンがさまざまであり、患者の痛みの感受性や痛みの耐性幅が大きいため、これらの管理は複雑であり、疼痛評価と管理に対する一貫したアプローチが最も重要と述べられている。先行研究において患者と看護師の痛みの評価に差異が生じ、看護師は患者の痛みを過小評価していることが報告されている。そこで周手術期における疼痛管理とせん妄予防についての文献を概観し、疼痛管理とせん妄予防との関連について検討することを目的とした。
【方法】
データベースは、医学中央雑誌(WEB版)を用いて「術後痛」「鎮痛」「鎮静」「せん妄」をキーワードとして文献検索を行い、2010年~2019年までの10年間に掲載された研究論文を対象とした。術後痛、せん妄の看護系の論文は46件であった。選別された論文を看護で絞り込み最終的に18件を分析対象とした。本研究は、周手術期における疼痛とせん妄に焦点化したため、小児、終末期、精神疾患に関する論文は除外とした。なお、本調査は既に刊行された論文を調査対象としているため、倫理審査は受けていない。
【結果】
分析対象とした文献の研究内訳は(1)術後疼痛管理に関する文献6件(2)せん妄発生要因に関する文献2件(3)せん妄予防ケアに関する文献7件(4)ICU入室による不安に関する文献3件であった。対象文献のうち15件が看護師や医療従事者を対象とした研究で、患者を対象とした研究でその他は看護師や医療者を対象とした研究であった。術後疼痛とせん妄との関連についての結果として、術後痛を客観的に評価していない、術後せん妄のガイドラインの整備が不十分であり、せん妄の評価を行っていない。そのため薬剤の投与がされづらく患者の苦痛が増している。疼痛の緩和を行っていないことによる睡眠リズムの乱れからせん妄を発症している。術後の早期離床や生活リズムを整えせん妄予防を実践し2次的合併症を予防しているなどであった。
【考察】
術後疼痛は最も脅威となる症状の一つであり、不安や恐怖、怒りや抑うつなど患者の精神面へも影響する(井川ら, 2012)と述べているように、術後疼痛の管理は麻酔覚醒から行う必要性を看護師は認識して実践する必要がある。しかし痛みは主観的な訴えであり、患者によって表現や伝達方法が異なるため、看護師が一律に正確に評価することが難しく、看護師は患者の痛みを過小評価する傾向がある。しかし看護師の疼痛や術後せん妄のアセスメントが不十分であり、鎮痛薬の使用は疼痛緩和に効果があると理解していても、その副作用の出現から回復遅延につながることを危惧し使用を控えていることから、術後せん妄の発生を助長させている状況が見て取れる。積極的な疼痛管理の実践が術後せん妄の発生を予防し2次的合併症併発させないために、PADISガイドラインの周知やガイドラインに基づいた看護実践、患者のQOLを見据えたケアに関する教育の必要性が示唆された。また、実態調査や実践報告は発表されているが、その一方で、患者を対象とした研究は少なかったため、今後は患者を対象とした研究や実証研究などの蓄積が必要であると考える。