第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題(示説)

[P4] 家族看護、看護倫理、理論・概念

[P4-4] クリティカルケアで活用できる臨床倫理分析ツール“ACTce-CCM”の作成

○山勢 博彰1、立野 淳子2、田戸 朝美1、山本 小奈実1、佐伯 京子3 (1. 山口大学大学院医学系研究科、2. 小倉記念病院、3. 山口大学医学部附属病院)

キーワード:臨床倫理分析、ツール作成

【目的】
 クリティカルケアで生じる倫理上の問題について分析し、問題を適切に導くことができる臨床倫理分析ツールACTce-CCM(Analysis and Coordination Tools of Clinical Ethics in Critical Care Medicine)の作成。
【方法】
 ACTce-CCMの構成概念の設定とプロトタイプ版の作成、架空事例への適用、フォーカスグループインタビューと質問紙調査による内容的妥当性を検討した。
〔構成概念の設定とプロトタイプ版の作成〕倫理分析方法について、原則論、物語論、手順論の側面から構成概念を設定し、プロトタイプ版を作成した。
〔プロトタイプ版による架空事例への適用〕2つの架空事例について、プロトタイプ版による分析と計画立案を研究者内で実施した。
〔フォーカスグループインタビュー〕急性・重症患者看護専門看護師(以下CCNS)、救急看護/集中ケア認定看護師等20名を対象にした倫理上の問題と倫理調整の実際をフォーカスグループインタビューにて調査した。
〔質問紙調査〕CCNS 43名を対象に、臨床で生じる倫理上の問題とそれに対する看護師の倫理調整の実際を調査した。
 各研究は所属機関の研究倫理審査委員会から承認を受けた。フォーカスグループインタビューでの発言者は匿名化し、質問紙調査は無記名調査とした。
【結果・考察】
 網羅的に情報整理ができる手順論による手法を採用し、「医学的適応」、「患者の意向」、「QOL/QOD(Quality of Death)」、「家族の心理・社会的状況」、「医療チームの状況」、「周囲の状況」の6分割表で構成されるプロトタイプ版を作成した。
 プロトタイプ版による2事例を適用した結果、6分割表によって適切な情報整理と分析ができた。問題抽出と目標設定では、患者・家族側と医療者側の問題を容易にリストすることができた。ケア立案では、問題リスト毎にケアのポイントを整理することができた。
 フォーカスグループインタビューでは、6分割毎に問題が整理されることが確認でき、構成概念の内容的妥当性があることが裏付けられた。
 質問紙調査では、臨床で生じる倫理上の問題と解決のための倫理調整の実際をリストした。実際の倫理上の問題は6分割毎に整理することができ、倫理調整による解決法を導けることが確認できた。
【結論】
 ACTce-CCMは、倫理分析の枠組みを提供し、倫理上の問題を適切に見出し、クリティカルケアのさまざまなシーンで起こる倫理上の問題解決を支援するツールとして活用可能である。