第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題(示説)

[P5] 医療安全、呼吸・循環、看護管理

[P5-6] 看護系大学を卒業した新人クリティカルケア看護師の専門性獲得と職業継続に関する現状

○茂田 玲子1、矢富  有見子1、森下 純子1、冨田 亜沙子2、矢澤 祐貴3 (1. 国立看護大学校、2. 元 国立看護大学校、3. 元 国立看護大学校 研究課程部 後期課程)

Keywords:クリティカルケア、新人看護師、専門性獲得、職業継続

【背景】本邦では超高齢化社会の到来や医療の高度化を背景に、クリティカルケア看護師の確保が質ならびに量ともに一層求められている。2010年に卒後臨床研修が努力義務化されたことにより、新人看護師全体の離職防止に一定の効果を得たものの、クリティカルケア看護師のストレスの高さやバーンアウトなどは依然課題となっている。大学基礎教育では幅広い内容の教育を行う必要があるため、クリティカルケア看護に関する専門的な教育はほとんど行われていない。しかし、大学基礎教育と臨床が連携し早期にクリティカルケア看護教育を行うことによって、専門性の高いクリティカルケア看護師の育成と新人のリアリティショックへの対応や早期離職の防止につながることが予想される。

【目的】クリティカルケア領域における大学基礎教育からのキャリア開発支援システムの構築に向け、新人クリティカルケア看護師の専門性獲得や職業継続に関する現状を明らかにし、大学基礎教育の充実を図るための示唆を得る。

【方法】対象は、看護系大学を卒業後、新卒でクリティカルケア領域に配属され、現在も病院のクリティカルケア領域に属する看護師とした。Webによるアンケート調査を実施した。質問内容は、看護師1年目に習得した技術や、卒後1・2年目に専門性獲得に向けて役立った取り組みや困難、職業継続の要因などである。倫理的配慮として、本研究は所属する施設の倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。事前に看護系大学卒業の新人看護師をクリティカルケア領域に配属している病院に研究協力の承諾を得たうえで、対象者にアンケート調査を依頼し無記名での実施とした。

【結果】1.対象者:461名に送付し105名から回答が得られた。そのうち有効回答数は92であった(有効回答率20%)。回答者の看護師経験年数は平均2.6年目、所属部署は集中治療室(ICU)56名、救急救命室(ER)・救命救急センター16名、高度治療室(HCU)13名、心疾患集中治療室(CCU)6名、その他1名であった。2.Webアンケート調査結果:1)看護師1年目に習得した技術として80%以上の回答者が答えた項目は30項目中17項目であり、「吸引の実施(口腔・気管内)」「生体モニターの管理」「動脈ライン採血」などであった。2)1・2年目に専門性獲得に向け自身が行ったことで、とても役に立った、またはある程度役に立ったと80%以上の回答者が答えた項目は、「先輩看護師への相談」「部署内での勉強会への参加」「同僚看護師への相談」などであった。3) 専門性獲得や職業継続における困難として、とても困難、またはやや困難と80%以上の回答者が答えた項目は、「急変時の対応」「疾患や治療などの幅広い知識の理解」「根拠に基づく的確なアセスメント」などであった。

【考察】新人看護師は、クリティカルケア領域に特徴的な多くの技術を1年目で習得していた。また、専門性獲得に向けた取り組みは、直属の先輩看護師への相談や部署内での勉強会への参加などが多く、それらは配属部署で求められる実践に即するためと考えられる。専門性獲得や職業継続において示された困難には、緊迫した環境や看護を提供する対象者の特殊性、クリティカルケア領域特有の多重課題や迅速な判断が求められることなどが反映されていると考える。本研究で明らかになった新人クリティカルケア看護師の専門性獲得と職業継続に関する現状は、大学基礎教育の充実を図る一助となると考える。