第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

Presentation information

パネルディスカッション

[PD4] PICSの終わりなき挑戦

企画:辻 佐世里(関西医科大学香里病院)

[企画趣旨] PICSの終わりなき挑戦

辻 佐世里1 (1. 関西医科大学香里病院)

Keywords:PICS

 2012年の米国集中治療医学会において集中治療後症候群(post intensive care syndrome:PICS)という概念が提唱され、生還した患者の長期的なQOLや死亡率に関心が向けられるようになり、PICSとは、ICU在室中あるいは退院後に生じる運動機能障害、認知機能障害、精神障害であり、長期予後に影響を与える病態と定義された。PICSは基礎疾患による病態に加えて、医療行為、環境、心的ストレスなどが作用して発症すると考えられ、臨床では、ICUにおける侵襲の長期予後への影響を認識し、予防する対策を講じる必要性が強調されている。近年では、患者家族に対しての精神的影響も含むものとして認識されはじめている。しかしながら、詳細な機序が未だ明確になっておらず、その予防対策にも課題がある。2019年、日本集中治療医学会において、「本邦の診療現場におけるPICSの実態調査に関するアンケート」が実施され、調査結果として、早期リハビリテーションや非薬理学的せん妄ケアを実施している施設が多かったが、PICSの概念の周知は約6割との報告であった。このような現状から、今回は、PICS予防の課題とその解決に向けた糸口となる討議をしていきたい。との思いで企画したが、COVID-19の感染拡大にてディスカッションできないことは残念であるが、COVID-19患者の治療、看護を実施している医療従事者の皆様に敬意を表するとともに、COVID-19の感染による重症肺炎となった患者が一人でも多くPICSを起こすことなく警戒されることを願っている。