第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

シンポジウム

[SY2] 質の高い家族看護実践へのチャレンジ

企画:林 みよ子(静岡県立大学)

[SY2-1] 質の高い家族看護実践へのチャレンジ
-学士課程・高度実践看護師教育課程の実習における家族看護実践-

○明石 惠子1 (1. 名古屋市立大学大学院看護学研究科)

キーワード:学士課程、高度実践看護師教育課程、家族看護実践

 クリティカルケア看護領域では、重篤な患者への全人的な看護と同時に家族への看護が行われている。以下に示す本学の学士課程と高度実践看護師教育課程の実習を通して、質の高い家族看護実践に必要な教育を議論したい。

1.学士課程の実習における家族看護実践
 本学におけるクリティカルケア看護領域の実習は、外科系病棟で周術期看護を学修する3年次の「クリティカルケア系」と救急・集中治療部門で緩和ケアを学修する4年次の「緩和・終末期系」の2科目(各2単位)である。ここでは後者における家族看護に関する特徴的な取り組みを紹介する。
 「緩和・終末期系」の実習では、1学年80名が「がん看護学領域」と「クリティカルケア看護学領域」に分かれて実習している。「クリティカルケア看護学領域」における家族看護については、患者と家族が体験する全人的苦痛に焦点を当ててアセスメントし、その苦痛を緩和するための計画を立案する。学生は、家族がどのような苦痛を感じているかを考えて介入方法を検討し、実習指導者に見守られながら患者・家族と関わっている。また、実習中に学生が感じた倫理的問題について症例検討シートで情報を整理し、具体的な対策を検討している。倫理的問題として家族による代理意思決定場面が取り上げられることもあり、家族からの情報収集の必要性や家族の思いを理解することの重要性を学修する機会となっている。
 救急病棟や集中治療室では家族の面会時間が限られる。実習時間中に家族と関われない学生も少なくないが、全人的苦痛と倫理的問題を実習カンファレンスで議論することで、学生の学びとしている。

2.高度実践看護師教育課程(専門看護師)の実習における家族看護実践
 本学は2007年にクリティカルケア看護専門看護師教育コースを設置し、現在は高度実践看護師教育課程(専門看護師38単位)として認定されている。実習は10単位であり、集中治療室を中心とする「クリティカルケア看護実習Ⅰ」3単位、救急初療室を中心とする「クリティカルケア看護実習Ⅱ」3単位、クリティカルケアとポストクリティカルケアを中心とする「クリティカルケア看護実習Ⅲ」4単位で構成されている。
 学生は、実習要項に示された実習目標・到達目標に沿って実習計画書を作成して実習に臨む。実習計画書には行動計画や実習記録用紙が含まれ、これらを作成すること自体も専門看護師の学修と捉えている。家族看護は各実習の到達目標の一つであり、学生は、集中治療や救急医療を必要とする患者の家族の特徴をふまえてアセスメントの枠組みや介入方法を考える。学士課程との違いは、理論やモデルなどの活用である。学生は、家族ストレス理論、カルガリー家族看護モデル、危機理論、家族のニード&コーピングスケールなどを用いて家族看護を行う。また、治療方針の代理意思決定が家族に委ねられる場合は、意思決定モデルを用いて介入することもある。
 また、実習部署の課題を見つけ、それに焦点を当てた組織分析を行い、課題解決に向けた具体的な方法を提案して実施することも課している。その一部として家族看護を取り上げ、集中治療室から一般病棟までの継続した家族看護をテーマとする学習会を企画した学生もいた。高度実践看護師教育課程の実習は、学生自身の学修にとどまらず、実習部署の課題解決の一助になることが期待されている。