第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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シンポジウム

[SY4] クリティカルケア領域で働く看護師の育成-エキスパートの役割機能を活かした全人的な育成のワザと実践-

企画:川島 孝太(りんくう総合医療センター)

[SY4-3] 看護師長の立場から全人的に育成するワザと実践

○茂呂 悦子1 (1. 自治医科大学附属病院)

Keywords:キャリア開発、目標管理面接、意思決定支援

私は、大学病院のICUで看護師長として勤務しています。看護部の人財育成tとして、キャリアラダーと年3回の目標管理面接を行っています。

私が部署の人財育成で大切にしているのはキャリア相談の機会となっている目標管理面接です。キャリア相談の内容はワークライフバランスやキャリアビジョンがもてない、進学・資格を取得したいなど様々ですが、傾聴・共感・支持的に関わり、スタッフが自分の考えを整理し、自分にあったキャリ開発の方法を見出せるよう支援することを心掛けています。具体的には、勤務シフトの調整や部署異動・勤務形態の変更、私の経験を踏まえた研鑽・資格取得に関する情報提供などを行っています。また、どのようなことに興味・関心をもてるのか一緒に考えたり、セミナーや学会への参加を促したりしています。

「看護師のキャリアとは、個人がライフステージとの関連でとらえた職業上の経験の積み重ねによって累積していく能力の変化であり、生涯を通じた継続的な自己実現に向けての一連の行動」1)と定義されています。しかし、看護師長としては、部署や病院全体の発展のための人財育成も考慮する必要があり、目標管理面接では個人のニーズと組織のニーズの融和・統合も求められます。そのため、自己実現のための個々のニーズを理解し、ニーズを満たすための支援を基盤として、組織ニーズとの融和・統合ができること望ましいのではないかと考えます。また、自己実現に向けた行動には自律した意思決定が必要であり、意思決定支援にはキャリア・アンカーの理解も重要と考えます。キャリアアンカーは、他者との対話によって浮かび上がるといわれています。目標管理面接を通して、個々のスタッフが、前進するだけでなく、立ち止まって考えをまとめたり、進む方向を変更したり、休息したりするなど、その時々の自分にとって最善の選択をしながらキャリア開発していけるよう支援していきたいと考えています。

看護師長としての経験は浅く、人財育成におけるワザというのはおこがましい内容ですが、一例として私の実践と課題を紹介し、会場の皆様と課題達成のための対策を考える機会にしたいと考えています。

1) 萩原桂子,野田部 他,わが国における看護師のキャリア自律の概念に関する文献検討,大阪市立大学看護学雑誌第10巻,p35‐40,2014.