第17回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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教育講演

[EL5] パンデミック時代&人工知能時代の医療・ヘルスケアってどうなる?:輝く未来の医療を創るために 演者:小林泰之先生(聖マリアンナ医科大学病院 医学研究科)

[EL5-01] [教育講演] パンデミック時代&人工知能時代の医療・ヘルスケアってどうなる?:輝く未来の医療を創るために

○小林 泰之1 (1. 聖マリアンナ医科大学大学院 医学研究科)

Keywords:デジタルトランスフォーメーション、人工知能、医療・ヘルスケア


 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、社会や経済、働き方や生活様式、そして個人の嗜好や生き方に至るまであらゆるものが大きく変化する大変革期が到来している。COVID-19が終息したとしても次の新たな感染症が登場するようなパンデミック時代に突入する可能性も指摘されている。COVID-19はこれまでのデジタル・トランスフォーメーションのスピードを大きく加速させるとされるが、残念ながら日本は他国の後塵を拝しており、この領域に医療従事者がもっと関わっていくことが必要である。

 AI(Artificial Intelligence)をはじめとした様々な最新のICT(Information and Communication Technology)が医療の世界にも急速に導入されていく。人間がAIに絶対にかなわない能力として、① 無制限の集中力と持続力、②超高速の論理的思考力、③膨大な記憶力と検索力があり、さらに将来的には④直観的判断力、⑤(大量生産後には)低コストが挙がる。人間がAIを使いこなしてAIができることはAIに任せることで、これまで余裕がなくて現実的に行えなかった「人間でしかできない仕事」に我々は集中することができるようになる。これがAIの本質である。「AIを活用することにより医学は飛躍的に進歩するとともに、医療従事者が時間的・精神的余裕を獲得することにより医療の原点“人を癒す”に立ち返ることができる」とされる。ObermeyerらがNEJMの論文の結論で、“他の領域と同様に医療の世界でもAI導入により勝者と敗者が出現するが、AIが医療を変革することによる最大の勝者が患者さんであることは間違いない”と述べている。非常に重要な指摘であり、我々がこのような世界にしていかなければならない。
      
 
 さて、これからの社会はどう変わっていくであろうか?「破壊的イノベーション」という言葉を御存じであろうか?破壊的イノベーションとは市場における既存のルールを根本的に覆し、そこにまったく新しい価値を創出するイノベーションのことである。「破壊的イノベーション」は我々の世界を大きく変えている。たとえば、Uber, Uber Eats, Airbnb, NetFlixなど既存の構造を大きく破壊して社会が進化している。医療の世界での「破壊的イノベーション」とは?米国ではBedを持たないVirtual Hospitalが登場している。世界は我々の想像をはるかに超えて進化し続けている。私たちが前進するためには、今、世の中にどんな変化の波が起きてどんな風が吹いているかを知って、時代や社会の変化を追い風にする必要がある。私達、医療従事者はAIをはじめとした様々なICTを最大限活用して患者さんや国民に真に向かい合った次世代医療を一緒に作り上げていく必要がある。
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