[O1-01] 心臓血管外科手術後患者の術後体位変換で生じる血圧低下に関連したリスク因子の検討
Keywords:体位変換、血圧、心臓血管外科
【目的】心臓血管外科手術後患者を対象に,術後体位変換に伴う血圧低下の発生頻度と関連したリスク因子を明らかにする.
【方法】A病院で2018年に心臓血管外科手術を行った患者を対象とした.術前情報,手術関連情報,術後情報を診療支援端末および日本成人心臓血管外科手術データベースより収集し,血圧低下イベント発生の有無を確認した.イベント発生の定義は,体位変換前,血圧に影響を及ぼす薬剤投与量の変更を行っていない状況下で,仰臥位から左右側臥位への体位変換後,血圧低下が起こり,それが持続したため,治療的介入を行った場合とした.イベントの発生頻度を算出し,多変量解析によるリスク因子の評価を行った.倫理委員会の承認後、HPにて研究内容を公表した。
【結果】心臓血管外科手術後患者155名を解析対象とした.イベント発生は41名(26.5%)であり,その内イベントの再発を認めたのは24名(63.4%)であった.イベント発症時の側臥位の向きは左側臥位が21名(51.2%),右側臥位が20名(48.8%)であった. イベントなし群と比較して,イベント発生群は年齢が有意に高く,特に70歳以上の患者の割合が大きかった.手術関連情報で,両群の術式や手術時間,人工心肺装着時間,出血量に差は認めなかった.術後情報では,イベント発症群で収縮期肺動脈圧が高く,持続緩徐式血液濾過透析,一酸化窒素,カテコラミン製剤2種併用を行っている割合が有意に大きかった.イベント発生群の集中治療部滞在期間,初回端座位や初回立位までの期間は有意に延長していた.血圧低下イベントに関連するリスク因子として,70歳以上,持続緩徐式血液濾過透析,一酸化窒素, カテコラミン製剤2種併用の4つが抽出された.これら因子が重なるに従いイベント発生率は高くなった.
【考察】70歳以上は加齢による心機能低下に関連し,持続緩徐式血液濾過透析や一酸化窒素の使用は肺うっ血や肺高血圧の存在を反映するため,循環動態への影響が予想される.また,カテコラミン製剤2種併用は循環動態の不安定性を示す.これら4つの因子が重複する場合,患者は循環動態の変調を来しやすい状態であると想定できる.
【結論】心臓血管外科手術後患者の術後体位変換時の血圧低下イベントの発生率は26.5%であった.リスク因子は70歳以上,持続緩徐式血液濾過透析の使用,一酸化窒素の使用,2種類のカテコラミン製剤併用であり,これらのリスク因子が重なると血圧低下イベントの発生率は上昇することが示唆された.
【方法】A病院で2018年に心臓血管外科手術を行った患者を対象とした.術前情報,手術関連情報,術後情報を診療支援端末および日本成人心臓血管外科手術データベースより収集し,血圧低下イベント発生の有無を確認した.イベント発生の定義は,体位変換前,血圧に影響を及ぼす薬剤投与量の変更を行っていない状況下で,仰臥位から左右側臥位への体位変換後,血圧低下が起こり,それが持続したため,治療的介入を行った場合とした.イベントの発生頻度を算出し,多変量解析によるリスク因子の評価を行った.倫理委員会の承認後、HPにて研究内容を公表した。
【結果】心臓血管外科手術後患者155名を解析対象とした.イベント発生は41名(26.5%)であり,その内イベントの再発を認めたのは24名(63.4%)であった.イベント発症時の側臥位の向きは左側臥位が21名(51.2%),右側臥位が20名(48.8%)であった. イベントなし群と比較して,イベント発生群は年齢が有意に高く,特に70歳以上の患者の割合が大きかった.手術関連情報で,両群の術式や手術時間,人工心肺装着時間,出血量に差は認めなかった.術後情報では,イベント発症群で収縮期肺動脈圧が高く,持続緩徐式血液濾過透析,一酸化窒素,カテコラミン製剤2種併用を行っている割合が有意に大きかった.イベント発生群の集中治療部滞在期間,初回端座位や初回立位までの期間は有意に延長していた.血圧低下イベントに関連するリスク因子として,70歳以上,持続緩徐式血液濾過透析,一酸化窒素, カテコラミン製剤2種併用の4つが抽出された.これら因子が重なるに従いイベント発生率は高くなった.
【考察】70歳以上は加齢による心機能低下に関連し,持続緩徐式血液濾過透析や一酸化窒素の使用は肺うっ血や肺高血圧の存在を反映するため,循環動態への影響が予想される.また,カテコラミン製剤2種併用は循環動態の不安定性を示す.これら4つの因子が重複する場合,患者は循環動態の変調を来しやすい状態であると想定できる.
【結論】心臓血管外科手術後患者の術後体位変換時の血圧低下イベントの発生率は26.5%であった.リスク因子は70歳以上,持続緩徐式血液濾過透析の使用,一酸化窒素の使用,2種類のカテコラミン製剤併用であり,これらのリスク因子が重なると血圧低下イベントの発生率は上昇することが示唆された.