[O10-02] カテーテル治療後の圧迫固定テープによる皮膚障害の検討
Keywords:カテーテル検査、皮膚障害
【背景(目的)】当院では心臓カテーテル検査(以下 CAG)および経皮的冠動脈形成術(以下 PCI)、脳血 管内治療にて、鼠径動脈穿刺時には圧迫止血綿の上からエラテックス®・S(アルケア)を使 用し圧迫固定を行っている。これら CAG,PCI、脳血管内治療後に HCU 入室となる患者の 大半は緊急で行うため、事前にアレルギー反応の有無を把握することは困難であり、圧迫に おける皮膚障害の予防を検討していく必要があると判断した。皮膚障害が発生した症例の 要因を明らかにし、今後の皮膚障害の発生予防につなげていきたいと考えた。
【方法および分析の概要】期間は、2018 年 1 月 1 日~2021 年 1 月 31 日とした。研究対象は、HCU 内にて CAG ま たは PCI 施行後、脳血管内治療後の圧迫固定テープで皮膚障害が発生した患者。分析方法は、検査および治療後に HCU 入室した患者のカルテより、剥離された部位、テ ープ除去時の処置方法、その後の発赤の有無、入院時の浮腫や皮膚の菲薄化などの皮膚脆弱 の有無、BMI に対して Excel にて単純集計を行った。
倫理的配慮は、電子カルテからデータを収集する時に個人が特定されないように暗号化 した。所属施設の倫理委員会の承認を得ている。
【結果/経過】調査期間中院内での検査件数は CAG 664 件、PCI253 件、脳血管内治療は 10 件であっ た。CAG、PCI、脳血管内治療後 HCU へ入室した件数 132 件中、圧迫固定による皮膚障害 を認めた患者は 23 件(17.4%)であった。年度別にみると 2018 年 39 件中 3 件(7%)、 2019 年 36 件中 9 件(25%)、2020 年 56 件中 11 件(19.6%)、この調査期間中に皮膚障 害を認めた 7 件は圧迫固定解除時に剥離剤の使用や愛護的にテープ除去を行ったが皮膚障 害が発生した。圧迫固定解除後の皮膚障害が発生していた。症例も踏まえ、皮膚障害を起こ した患者のデータから、4 点が明らかとなった。
・入院時に皮膚が脆弱と判断されたのは皮膚障害を認めた 23 件中 5 件(22%)
・2 件中 1 件パッチテストでは反応はなかったが、圧迫解除後に皮膚障害が発生した
・圧迫固定の起点となる腸骨に皮膚障害が起きていたのは 23 件中 18 件(78%)
・BMI は 18.5~25 未満の普通体重の患者が多く 23 件中 20 件(86.9%)
【考察】入院時に皮膚脆弱であると判断された患者ほど圧迫解除後の皮膚障害件数が少なかった のは、皮膚脆弱であるということが医師、看護師が圧迫を解除する時の皮膚損傷予防に対す る意識が高まっていたと考えられる。また 2018 年に比べ 2019 年は発生件数が増えている が、CAG、PCI 後、脳血管内治療後の圧迫解除後の皮膚に対する記録も写真の添付と共に 詳細にかかれており、スタッフの皮膚障害に対する意識が高まったと考える。スタッフから 圧迫解除前に剥離剤の使用の声掛けにより主治医からも圧迫固定解除時にすぐにテープを 外すのではなく、愛護的に外すなど協力を得ることが増えたことも影響していると考える。
今回の調査では、一般病棟へ転室した後の経過が記録から把握することができず、治癒の 経過を追うことができない状態で退院となってしまっているケースが多くあった。転室時、 申し送りで情報共有はしているが、皮膚損傷に関する看護計画が立案されておらず統一し て観察できていないと考える。皮膚障害が発生した時点で皮膚の観察、処置を含めた看護計 画を立案し、継続した看護を行う必要がある。引き続き症例を振り返り、現在施行中の圧迫 固定方法においての問題点の把握を行い、改善策を試み、皮膚障害を減らしていきたい。
【方法および分析の概要】期間は、2018 年 1 月 1 日~2021 年 1 月 31 日とした。研究対象は、HCU 内にて CAG ま たは PCI 施行後、脳血管内治療後の圧迫固定テープで皮膚障害が発生した患者。分析方法は、検査および治療後に HCU 入室した患者のカルテより、剥離された部位、テ ープ除去時の処置方法、その後の発赤の有無、入院時の浮腫や皮膚の菲薄化などの皮膚脆弱 の有無、BMI に対して Excel にて単純集計を行った。
倫理的配慮は、電子カルテからデータを収集する時に個人が特定されないように暗号化 した。所属施設の倫理委員会の承認を得ている。
【結果/経過】調査期間中院内での検査件数は CAG 664 件、PCI253 件、脳血管内治療は 10 件であっ た。CAG、PCI、脳血管内治療後 HCU へ入室した件数 132 件中、圧迫固定による皮膚障害 を認めた患者は 23 件(17.4%)であった。年度別にみると 2018 年 39 件中 3 件(7%)、 2019 年 36 件中 9 件(25%)、2020 年 56 件中 11 件(19.6%)、この調査期間中に皮膚障 害を認めた 7 件は圧迫固定解除時に剥離剤の使用や愛護的にテープ除去を行ったが皮膚障 害が発生した。圧迫固定解除後の皮膚障害が発生していた。症例も踏まえ、皮膚障害を起こ した患者のデータから、4 点が明らかとなった。
・入院時に皮膚が脆弱と判断されたのは皮膚障害を認めた 23 件中 5 件(22%)
・2 件中 1 件パッチテストでは反応はなかったが、圧迫解除後に皮膚障害が発生した
・圧迫固定の起点となる腸骨に皮膚障害が起きていたのは 23 件中 18 件(78%)
・BMI は 18.5~25 未満の普通体重の患者が多く 23 件中 20 件(86.9%)
【考察】入院時に皮膚脆弱であると判断された患者ほど圧迫解除後の皮膚障害件数が少なかった のは、皮膚脆弱であるということが医師、看護師が圧迫を解除する時の皮膚損傷予防に対す る意識が高まっていたと考えられる。また 2018 年に比べ 2019 年は発生件数が増えている が、CAG、PCI 後、脳血管内治療後の圧迫解除後の皮膚に対する記録も写真の添付と共に 詳細にかかれており、スタッフの皮膚障害に対する意識が高まったと考える。スタッフから 圧迫解除前に剥離剤の使用の声掛けにより主治医からも圧迫固定解除時にすぐにテープを 外すのではなく、愛護的に外すなど協力を得ることが増えたことも影響していると考える。
今回の調査では、一般病棟へ転室した後の経過が記録から把握することができず、治癒の 経過を追うことができない状態で退院となってしまっているケースが多くあった。転室時、 申し送りで情報共有はしているが、皮膚損傷に関する看護計画が立案されておらず統一し て観察できていないと考える。皮膚障害が発生した時点で皮膚の観察、処置を含めた看護計 画を立案し、継続した看護を行う必要がある。引き続き症例を振り返り、現在施行中の圧迫 固定方法においての問題点の把握を行い、改善策を試み、皮膚障害を減らしていきたい。