[O10-06] 集中治療領域における高齢者の活動と休息のバランス
-日中の活動量や仮眠と夜間睡眠との関連性-
Keywords:早期リハビリテーション、睡眠、心臓血管外科術後、高齢者
【目的】集中治療領域における高齢患者を対象とし、OSA睡眠調査票(MA版)を用いた夜間睡眠の主観的満足感と、日中の活動量及び仮眠の実態調査を行い、夜間睡眠との関連性を明らかにすることである。
【方法】対象:2019年1月24日〜2020年4月30日に入室した65歳以上の心臓血管外科術後患者。調査項目:《基礎情報》年齢・性別・疾患・術式・術後鎮静期間・SOFAスコア・術前の睡眠状況《術後経過》術翌日より毎日、仮眠の有無・リハビリテーションの時間帯・リハビリテーション強度を記録し、起床時夜間睡眠の満足感を評価した。評価にはOSA睡眠調査票(起床時の睡眠内省を評価する心理尺度で5因子形16項目構成)を用いた。分析方法:OSA睡眠調査票を用い得点化し使用した比率尺度であり、正規分布を仮定しており、①仮眠の有無②リハビリテーション時間帯③リハビリテーション強度、の3項目と睡眠評価得点について対応のないt検定、または一元配置分散分析を実施し、有意水準は5%とした。本研究は、所属施設研究倫理委員会の承認を得て実施した。対象者へ文書を用いて説明を行い、協力の諾否によって不利益を被らないことを説明した上で、同意を得た。
【結果】対象27名(男性19名、女性8名)、年齢75.4±6.2歳。①術後1日目は全例が「仮眠有」であった。術後2、3日目は「仮眠有」「仮眠無」の2群で睡眠評価得点に有意差は認めなかった。②『起床時眠気』の項目で術後2日目は「午後」「午前午後」の2群で、「午後」のみリハビリテーションを実施した群が有意に高得点だったが(p=0.03)、術後3日目は「午前午後」とリハビリテーションを実施した群の方が高得点だった(p=0.007)。③術後1日目「床上ROM」「端坐位」「立位・足踏み」「室内歩行」の4群間で『入眠と睡眠維持(p=0.02)』と『睡眠時間(p=0.03)』の項目で有意差があり、多重比較で「端坐位」レベルが「立位・足踏み」に比較し有意に点数が低かった(入眠と睡眠維持p=0.032) (睡眠時間p=0.04)。術後3日目『睡眠時間』の項目で「立位・足踏み」「室内歩行」の2群間のうち「室内歩行」レベルが有意に高得点だった(p=0.001)。
【考察】①術後1日目では全例が仮眠しており、術後2日目以降も仮眠の有無は、夜間睡眠の主観的満足感に影響しないと示唆された。術後数日は、神経・内分泌反応やサイトカイン誘発反応、エネルギー代謝などの様々な変化から睡眠の質は低下し、概日リズムが阻害されることを前提とし、日中の仮眠も侵襲からの回復に向けての“必要な休息”だと捉えられる。②③リハビリテーションの時間帯と強度については、同じ術後日数であっても主観的睡眠感に差があった。術後早期は、麻酔や手術による侵襲に加え、治療的・身体的苦痛が最も強い時期にあり、リハビリテーションの時間や強度が過負荷となり、夜間睡眠の質を落としている可能性が考えられた。今後、リハビリテーションや看護について、適切な介入ができているか、『活動と休息のバランス』を評価し、主観的睡眠感を“休息の質の評価”とし、重症度などに関して層別化した一定の重症患者群において、更なる比較検討を重ねていく必要がある。
【結論】術後1日目は全例が日中仮眠をとっている状況にあり、術後2日目、3日目においても仮眠の有無は主観的睡眠感に影響を与えていなかった。日中の仮眠は夜間の睡眠に影響していないということが示唆された。また、同じ術後日数であっても、リハビリテーションの時間帯や強度によって主観的睡眠感に差があることがわかった。
【方法】対象:2019年1月24日〜2020年4月30日に入室した65歳以上の心臓血管外科術後患者。調査項目:《基礎情報》年齢・性別・疾患・術式・術後鎮静期間・SOFAスコア・術前の睡眠状況《術後経過》術翌日より毎日、仮眠の有無・リハビリテーションの時間帯・リハビリテーション強度を記録し、起床時夜間睡眠の満足感を評価した。評価にはOSA睡眠調査票(起床時の睡眠内省を評価する心理尺度で5因子形16項目構成)を用いた。分析方法:OSA睡眠調査票を用い得点化し使用した比率尺度であり、正規分布を仮定しており、①仮眠の有無②リハビリテーション時間帯③リハビリテーション強度、の3項目と睡眠評価得点について対応のないt検定、または一元配置分散分析を実施し、有意水準は5%とした。本研究は、所属施設研究倫理委員会の承認を得て実施した。対象者へ文書を用いて説明を行い、協力の諾否によって不利益を被らないことを説明した上で、同意を得た。
【結果】対象27名(男性19名、女性8名)、年齢75.4±6.2歳。①術後1日目は全例が「仮眠有」であった。術後2、3日目は「仮眠有」「仮眠無」の2群で睡眠評価得点に有意差は認めなかった。②『起床時眠気』の項目で術後2日目は「午後」「午前午後」の2群で、「午後」のみリハビリテーションを実施した群が有意に高得点だったが(p=0.03)、術後3日目は「午前午後」とリハビリテーションを実施した群の方が高得点だった(p=0.007)。③術後1日目「床上ROM」「端坐位」「立位・足踏み」「室内歩行」の4群間で『入眠と睡眠維持(p=0.02)』と『睡眠時間(p=0.03)』の項目で有意差があり、多重比較で「端坐位」レベルが「立位・足踏み」に比較し有意に点数が低かった(入眠と睡眠維持p=0.032) (睡眠時間p=0.04)。術後3日目『睡眠時間』の項目で「立位・足踏み」「室内歩行」の2群間のうち「室内歩行」レベルが有意に高得点だった(p=0.001)。
【考察】①術後1日目では全例が仮眠しており、術後2日目以降も仮眠の有無は、夜間睡眠の主観的満足感に影響しないと示唆された。術後数日は、神経・内分泌反応やサイトカイン誘発反応、エネルギー代謝などの様々な変化から睡眠の質は低下し、概日リズムが阻害されることを前提とし、日中の仮眠も侵襲からの回復に向けての“必要な休息”だと捉えられる。②③リハビリテーションの時間帯と強度については、同じ術後日数であっても主観的睡眠感に差があった。術後早期は、麻酔や手術による侵襲に加え、治療的・身体的苦痛が最も強い時期にあり、リハビリテーションの時間や強度が過負荷となり、夜間睡眠の質を落としている可能性が考えられた。今後、リハビリテーションや看護について、適切な介入ができているか、『活動と休息のバランス』を評価し、主観的睡眠感を“休息の質の評価”とし、重症度などに関して層別化した一定の重症患者群において、更なる比較検討を重ねていく必要がある。
【結論】術後1日目は全例が日中仮眠をとっている状況にあり、術後2日目、3日目においても仮眠の有無は主観的睡眠感に影響を与えていなかった。日中の仮眠は夜間の睡眠に影響していないということが示唆された。また、同じ術後日数であっても、リハビリテーションの時間帯や強度によって主観的睡眠感に差があることがわかった。