第17回日本クリティカルケア看護学会学術集会

Presentation information

一般演題

[O2] 鎮痛・鎮静管理

[O2-04] ICU入室患者へ日本語版RCSQを用いた睡眠の実態調査

○村田 洋章1、山口 庸子2 (1. 防衛医科大学校 看護学科、2. 東京慈恵会医科大学附属病院 看護部)

Keywords:睡眠、RCSQ、ICU

【目的】ICUに入室する重症患者の多くは、睡眠の質が障害されることがpolysomnography等を用いた客観的データから分かりつつある。しかし、侵襲的な治療や環境等が患者の主観的な睡眠感へどの様に影響しているかは不明瞭である。そこで本研究では、ICU入室患者の主観的睡眠状況を酸素療法や人工呼吸療法毎に明示することを目的とした。
【方法】対象はA大学附属病院ICUに入室し、自ら意思を表出でき本研究への同意が得られた患者を対象とした。睡眠の実態調査は、研究者2名で患者が目覚めた午前中に日本語版The Richards-Campbell Sleep Questionnaire (日本語版RCSQ)を使用しデータ収集した。収集したデータは、患者が受けている酸素療法や人工呼吸療法別に群分けし分散分析を行った。主効果で有意差があった際、どの療法間に差があるかを確認するためにBonferroni法による多重比較を行うこととした。なお、本研究は対象施設の倫理審査委員会の承認を得た上で実施した研究であり、本研究に関連する利益相反は無い。
【結果】対象者は124名(男性91名・女性33名)、年齢は66.8±12.5歳であった。また、酸素療法や人工呼吸療法別では、「経鼻酸素カニューレや酸素マスク群」72名、「高流量鼻カニューレ(HFNC)群」23名、「気管挿管群」10名、「非侵襲的陽圧換気(NPPV)群」19名であった。
 対象者全体の日本語版RCSQのtotal scoreは、45.6±22.9であった。酸素療法や人工呼吸療法別では、「経鼻酸素カニューレや酸素マスク群」48.3±22.4、「HFNC群」52.2±19.1、「気管挿管群」44.6±19.3、「NPPV群」27.9±23.3であった。また、一元配置分散分析の結果、酸素療法や人工呼吸療法別による主効果がp<0.01で有意であった。さらに、Bonferroni法による多重比較を行ったところ、「経鼻酸素カニューレや酸素マスク群」と「NPPV群」、「HFNC群」と「NPPV群」間にp<0.01で有意差を認めた。
【考察/結論】本研究では、対象者が少数ではあるがICU入室患者の主観的睡眠状況を酸素療法や人工呼吸療法毎に明示することができた。その中でも、「NPPV群」が他の療法に比べ主観的睡眠感で低いことが分かった。今後、「NPPV群」で主観的睡眠感が低い要因を探索しつつ、睡眠の質向上に向けた看護や医療の提供に努める必要がある。
O2-04