[O3-03] 心臓血管外科術後患者の睡眠障害とせん妄への影響について
キーワード:睡眠覚醒リズム、Actigraph、せん妄
【目的】心臓大血管手術後せん妄の頻度は3〜57%と非心臓大血管手術の5〜28%より高く、術後せん妄の発症因子には高齢、腎不全、視覚障害、大動脈瘤手術、緊急手術などが報告されている。集中治療室における睡眠障害はせん妄への影響が指摘されるが、侵襲の大きい心臓外科術後患者の睡眠とせん妄の関係は十分に検討されていない。本研究は、心臓血管外科術後患者における人工呼吸器離脱後の睡眠障害によるせん妄への影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】 対象者は心臓血管外科術後患者6名。データ収集は人工呼吸器離脱後にActigraphを4日間非利き腕に装着し睡眠の量について客観的評価を行った。せん妄評価はCAM-ICUを使用した。Actigraphによる睡眠変数は専用ソフトAW2により解析し記述統計を行い、事例ごとに睡眠覚醒リズムの影響を検討した。福岡大学医に関する倫理委員会の承認(承認番号U-19-06-008)を得た。
【結果】対象者は平均年齢69.3±2.3歳、人工心肺使用4名。手術時間7時間18.1±1時間49.9分、麻酔時間9時間6.6±1時間46.5分、SICU入室時のAPACHEⅡスコア21.5±5.6点、人工呼吸時間31時間10.8±15時間37.5分であった。SICU+CCU在室時間4日間+10時間29分±21時間34.7分、在院日数30.3±7.71日であった。Actigraphによる睡眠変数の平均値は、静止時間帯の睡眠時間252.8±155.7分、5分以上の覚醒回数8.2(±5.2)回、覚醒時間36.1±21.4分、入眠潜時13.1±24.4分。活動時間帯の睡眠時間288.6±159分。総睡眠時間541.4±314.7分であった。夜間は患者6名とも人工呼吸器離脱後よりオレキシン受容体拮抗薬やα2作動性鎮痛剤を用いていたが、静止時間帯の睡眠時間が減少し、活動時間帯の睡眠時間が多く睡眠覚醒リズムの乱れが5名に認めた。そのうちCAM-ICU陽性が2名にあり、1名は静止時間帯と活動時間帯が不明瞭で、連続した2時間以上の睡眠が確保されず、他の1名は人工呼吸器離脱後2日目に睡眠時間が全くとれていなかった。せん妄の直接因子である、人工呼吸器時間やAPACHEⅡスコア、炎症所見等の値はせん妄発症患者の方が低かった。
【考察】本研究では、静止時間帯の入眠潜時は短いが覚醒回数が8.2回と多く、睡眠時間の不足を活動時間帯で確保し、総睡眠時間は正常範囲であるが睡眠覚醒リズムは乱れ、PADISガイドラインに示される重症患者の睡眠の特徴と一致していた。Actigraphでは睡眠の深さを評価できないが、一晩に2回以上目が覚める中途覚醒は、小さな物音や少しの刺激で覚醒してしまい熟眠感が得にくい睡眠障害である。せん妄を発症した患者は、睡眠覚醒リズムが乱れていたが、他のせん妄の直接因子の値は低く、睡眠覚醒リズムの乱れによる睡眠への影響が推測された。しかし、症例数が少なく関連要因の分析には十分ではない。人工呼吸器装着中は浅い鎮静が行われ、概日リズムに基づく睡眠覚醒リズムが変化しており、正常な睡眠覚醒リズムを早期に戻せる援助が重要である。
【結論】心臓血管外科術後患者の人工呼吸器離脱後は、静止時間帯の覚醒回数が多く睡眠時間が短く、活動時間帯の睡眠時間が多く睡眠覚醒リズムが乱れていた。せん妄を発症した患者は睡眠覚醒リズムが乱れ、睡眠時間が短くなっていた。
【方法】 対象者は心臓血管外科術後患者6名。データ収集は人工呼吸器離脱後にActigraphを4日間非利き腕に装着し睡眠の量について客観的評価を行った。せん妄評価はCAM-ICUを使用した。Actigraphによる睡眠変数は専用ソフトAW2により解析し記述統計を行い、事例ごとに睡眠覚醒リズムの影響を検討した。福岡大学医に関する倫理委員会の承認(承認番号U-19-06-008)を得た。
【結果】対象者は平均年齢69.3±2.3歳、人工心肺使用4名。手術時間7時間18.1±1時間49.9分、麻酔時間9時間6.6±1時間46.5分、SICU入室時のAPACHEⅡスコア21.5±5.6点、人工呼吸時間31時間10.8±15時間37.5分であった。SICU+CCU在室時間4日間+10時間29分±21時間34.7分、在院日数30.3±7.71日であった。Actigraphによる睡眠変数の平均値は、静止時間帯の睡眠時間252.8±155.7分、5分以上の覚醒回数8.2(±5.2)回、覚醒時間36.1±21.4分、入眠潜時13.1±24.4分。活動時間帯の睡眠時間288.6±159分。総睡眠時間541.4±314.7分であった。夜間は患者6名とも人工呼吸器離脱後よりオレキシン受容体拮抗薬やα2作動性鎮痛剤を用いていたが、静止時間帯の睡眠時間が減少し、活動時間帯の睡眠時間が多く睡眠覚醒リズムの乱れが5名に認めた。そのうちCAM-ICU陽性が2名にあり、1名は静止時間帯と活動時間帯が不明瞭で、連続した2時間以上の睡眠が確保されず、他の1名は人工呼吸器離脱後2日目に睡眠時間が全くとれていなかった。せん妄の直接因子である、人工呼吸器時間やAPACHEⅡスコア、炎症所見等の値はせん妄発症患者の方が低かった。
【考察】本研究では、静止時間帯の入眠潜時は短いが覚醒回数が8.2回と多く、睡眠時間の不足を活動時間帯で確保し、総睡眠時間は正常範囲であるが睡眠覚醒リズムは乱れ、PADISガイドラインに示される重症患者の睡眠の特徴と一致していた。Actigraphでは睡眠の深さを評価できないが、一晩に2回以上目が覚める中途覚醒は、小さな物音や少しの刺激で覚醒してしまい熟眠感が得にくい睡眠障害である。せん妄を発症した患者は、睡眠覚醒リズムが乱れていたが、他のせん妄の直接因子の値は低く、睡眠覚醒リズムの乱れによる睡眠への影響が推測された。しかし、症例数が少なく関連要因の分析には十分ではない。人工呼吸器装着中は浅い鎮静が行われ、概日リズムに基づく睡眠覚醒リズムが変化しており、正常な睡眠覚醒リズムを早期に戻せる援助が重要である。
【結論】心臓血管外科術後患者の人工呼吸器離脱後は、静止時間帯の覚醒回数が多く睡眠時間が短く、活動時間帯の睡眠時間が多く睡眠覚醒リズムが乱れていた。せん妄を発症した患者は睡眠覚醒リズムが乱れ、睡眠時間が短くなっていた。