[O3-05] 当院ICUにおけるせん妄発生と疼痛関連因子の影響
Keywords:せん妄日数、関連因子、ICU、疼痛、倦怠感
【目的】2014年にJ-PADガイドラインが発表され、鎮痛の重要性とせん妄管理について広く認知された。当院では2017年にCAM-ICUの導入を行い、導入後1年6ヶ月間のせん妄発生率は16.6%であった。当院ICUの入室患者のうち、術後入室は約80%であり、せん妄患者の大半が術後患者であることが推測される。術後疼痛管理として、手術室より継続して、オピオイドを経静脈あるいは硬膜外より持続投与しているが、覚醒確認等の理由により、早期に終了することがあるため、術後せん妄の発症要因として、不十分な鎮痛が考えられると感じた。
そこで、当院ICUでの術後患者のせん妄と疼痛の影響について明らかにすることを本研究の目的とした。
【方法】研究デザイン:観察研究。研究対象:2017年7月~2018年12月までに当院ICUに3日以上入室した術後の患者。調査項目:オピオイドの中断の有無、倦怠感を訴えた回数、呼吸苦を訴えた回数、疼痛を訴えた回数、屯用鎮痛剤の使用の有無、入室日数、年齢、診療科とせん妄の関係。分析方法:解析ソフトEZR(V1.41)を使用による線形回帰分析。有意水準;P値0.05未満。倫理的配慮:本研究は所属大学倫理委員会(R2369-1)の承認を得た上で実施した。
【結果】対象患者125名のうちせん妄発症者は29名(23.2%)。せん妄と各症状における結果は、オピオイドの中断(Estimate: 0.05, 95%CI:-0.2-0.3)、倦怠感を訴えた回数(Estimate: 0.15, 95%CI:0-0.3)であり、呼吸苦を訴えた回数(Estimate: 0.16, 95%CI:-0.07-0.39)、疼痛を訴えた回数(Estimate: 0.07, 95%CI:-0.09-0.23)、屯用鎮痛剤の使用の有無(Estimate: -0.03, 95%CI:-0.1-0.04)、入室日数(Estimate: 0.01, 95%CI:-0.01-0.03)、年齢(Estimate: 0.01, 95%CI:0-0.02)診療科:心臓血管外科(Estimate: -0.19, 95%CI:-0.94-0.56)、診療科:呼吸器外科(Estimate: -0.47, 95%CI:-1.48-0.76)、診療科:麻酔科(Estimate: -0.23, 95%CI:-1.04-0.58)。せん妄日数との関係において優意に影響を与えた症状は倦怠感であった。また、患者背景である年齢にも優意な影響が認められた。
【考察】本研究においてせん妄日数と疼痛には有意な関連性は認められなかった。理由として、当院ICUでは術後のオピオイド中断は行われているものの、疼痛スケールを活用し、鎮痛剤を投与するというケアの実践で、有意差がでなかったのではないかと考える。このことは先行研究の、浅鎮静によるコミュニケーションが可能なことが疼痛に対応でき、せん妄発症を予防できるという結果と一致すると考える。今回有意な関連を認めた年齢は、高齢はせん妄の危険因子としても認知されており、これまでの研究と同様の結果となった。もう1つの有意差を認めた倦怠感においては、倦怠感とせん妄との関連性についての文献はなく、本調査における新たな知見といえる。倦怠感における観察ならびにケアについては、確立されたものがなく、今後の課題であると考える。
【結論】本施設で術後3日以上ICUに入室している患者において、せん妄発生に年齢と倦怠感において関連性を認めた。
そこで、当院ICUでの術後患者のせん妄と疼痛の影響について明らかにすることを本研究の目的とした。
【方法】研究デザイン:観察研究。研究対象:2017年7月~2018年12月までに当院ICUに3日以上入室した術後の患者。調査項目:オピオイドの中断の有無、倦怠感を訴えた回数、呼吸苦を訴えた回数、疼痛を訴えた回数、屯用鎮痛剤の使用の有無、入室日数、年齢、診療科とせん妄の関係。分析方法:解析ソフトEZR(V1.41)を使用による線形回帰分析。有意水準;P値0.05未満。倫理的配慮:本研究は所属大学倫理委員会(R2369-1)の承認を得た上で実施した。
【結果】対象患者125名のうちせん妄発症者は29名(23.2%)。せん妄と各症状における結果は、オピオイドの中断(Estimate: 0.05, 95%CI:-0.2-0.3)、倦怠感を訴えた回数(Estimate: 0.15, 95%CI:0-0.3)であり、呼吸苦を訴えた回数(Estimate: 0.16, 95%CI:-0.07-0.39)、疼痛を訴えた回数(Estimate: 0.07, 95%CI:-0.09-0.23)、屯用鎮痛剤の使用の有無(Estimate: -0.03, 95%CI:-0.1-0.04)、入室日数(Estimate: 0.01, 95%CI:-0.01-0.03)、年齢(Estimate: 0.01, 95%CI:0-0.02)診療科:心臓血管外科(Estimate: -0.19, 95%CI:-0.94-0.56)、診療科:呼吸器外科(Estimate: -0.47, 95%CI:-1.48-0.76)、診療科:麻酔科(Estimate: -0.23, 95%CI:-1.04-0.58)。せん妄日数との関係において優意に影響を与えた症状は倦怠感であった。また、患者背景である年齢にも優意な影響が認められた。
【考察】本研究においてせん妄日数と疼痛には有意な関連性は認められなかった。理由として、当院ICUでは術後のオピオイド中断は行われているものの、疼痛スケールを活用し、鎮痛剤を投与するというケアの実践で、有意差がでなかったのではないかと考える。このことは先行研究の、浅鎮静によるコミュニケーションが可能なことが疼痛に対応でき、せん妄発症を予防できるという結果と一致すると考える。今回有意な関連を認めた年齢は、高齢はせん妄の危険因子としても認知されており、これまでの研究と同様の結果となった。もう1つの有意差を認めた倦怠感においては、倦怠感とせん妄との関連性についての文献はなく、本調査における新たな知見といえる。倦怠感における観察ならびにケアについては、確立されたものがなく、今後の課題であると考える。
【結論】本施設で術後3日以上ICUに入室している患者において、せん妄発生に年齢と倦怠感において関連性を認めた。