[O5-01] 患者の意思を尊重したEnd of Life Care:クリティカルケア領域の看護師が語り合うことを通して
Keywords:患者の意思、End of Life Care、クリティカルケア、フォーカスグループインタビュー
【目的】クリティカルケア領域は、患者の意思の把握が困難なため、患者の意思を尊重したEnd of Life Care [EOLC] を実践することが難しい。フォーカスグループインタビュー(Focus Group Interview ; 以下、FGI)を用いた語り合うことを通して、クリティカルケア領域における患者の意思を尊重したEOLCを明らかにすることを目的とし、それらを実践するための示唆を得たいと考えた。
【方法】FGIを用いた質的記述的研究である。研究参加者は7名で、救急ICUやICU、専門看護師などのスペシャリストであった。患者の意思を尊重したEOLCを主題とした。主題が複雑な出来事や経験であるため、FGIを2~3か月ごとに3回行った。分析は、文脈の意図を損なわないようFGIごとにカテゴリーを抽出した。その後、FGI1~3回目を比較検討し、全体の流れをつかみながら各FGIの特徴や流れをテーマとして表した。所属大学の研究倫理審査委員会の承認(承認番号2019-010)を得て実施した。
【結果】
FGI1回目:患者や家族の心情に寄り添うために視野を広げる
看護師は、患者を良かれと思い車椅子に乗せたが、心肺蘇生法をしないと決めた家族には、患者が元気で強く生きようとしていると映り、家族に泣かれた経験を語った。この経験から看護師は、患者や家族が意思決定した背景を把握するなど、善意が擦れ違わないよう患者や家族の心情に寄り添うことの重要性を確認し合っていた。そしてタイミングを逃さず、患者の最期の思いに応えていた。
FGI2回目:看護の原点に立ち返って患者や家族に寄り添うことを探求する
看護師は、患者の最期が近いことを認識できるよう患者や家族の心の機微に触れ、家族の思いを尊重し、患者を気遣う家族の思いに応えていた。また、患者や家族、医療者のそれぞれが認識している思いを受け止めながら、そのずれに気付いたタイミングを逃さず関わるなど、看護師が患者や家族、医療者間の認識のずれに対し、それぞれが歩み寄っていけるよう関わっていた。
FGI3回目:救急外来を患者と家族が最期を過ごす大切な空間に変えていく
看護師は、家族が全員揃うまで、すぐに霊安室に移動せず、患者が急激な死を辿った状況を家族が感じ取ることができるよう敢えて救急外来の空間に居てもらっていた。救急外来に患者が次々に搬送され、ずっと関わることが困難な状況であるからこそ、患者と家族が居たたまれない様子を捉え、折に触れて声を掛けるなど、患者と家族に関心を寄せていることが伝わるよう関わっていた。
【考察】クリティカルケア領域は、患者の意思を把握することが難しく、専門性の高い治療やケアが行われているため、看護師が他者に代わって引き受けることによって、患者や家族の思いとかけ離れた配慮にもなりかねない。そのため、クリティカルケア領域の看護師は、患者や家族がありたい姿でいられるよう支えていく配慮が重要であることを確認し合っていたと考える。また、患者が急激な死を辿った場所であるからこそ、クリティカルケア領域の看護師は、敢えて家族がその状況を感じ取ることができるよう知りたいニーズに応え、救急外来の空間に居ることの意味を最大に活かしていたと考える。
【結論】クリティカルケア領域の看護師は、善意が擦れ違わないよう患者や家族の心情に寄り添うことを探求し、関わっていたことが明らかになった。また、救急外来の場を患者と家族が最期を過ごす大切な空間に変えていたことが明らかになった。
【方法】FGIを用いた質的記述的研究である。研究参加者は7名で、救急ICUやICU、専門看護師などのスペシャリストであった。患者の意思を尊重したEOLCを主題とした。主題が複雑な出来事や経験であるため、FGIを2~3か月ごとに3回行った。分析は、文脈の意図を損なわないようFGIごとにカテゴリーを抽出した。その後、FGI1~3回目を比較検討し、全体の流れをつかみながら各FGIの特徴や流れをテーマとして表した。所属大学の研究倫理審査委員会の承認(承認番号2019-010)を得て実施した。
【結果】
FGI1回目:患者や家族の心情に寄り添うために視野を広げる
看護師は、患者を良かれと思い車椅子に乗せたが、心肺蘇生法をしないと決めた家族には、患者が元気で強く生きようとしていると映り、家族に泣かれた経験を語った。この経験から看護師は、患者や家族が意思決定した背景を把握するなど、善意が擦れ違わないよう患者や家族の心情に寄り添うことの重要性を確認し合っていた。そしてタイミングを逃さず、患者の最期の思いに応えていた。
FGI2回目:看護の原点に立ち返って患者や家族に寄り添うことを探求する
看護師は、患者の最期が近いことを認識できるよう患者や家族の心の機微に触れ、家族の思いを尊重し、患者を気遣う家族の思いに応えていた。また、患者や家族、医療者のそれぞれが認識している思いを受け止めながら、そのずれに気付いたタイミングを逃さず関わるなど、看護師が患者や家族、医療者間の認識のずれに対し、それぞれが歩み寄っていけるよう関わっていた。
FGI3回目:救急外来を患者と家族が最期を過ごす大切な空間に変えていく
看護師は、家族が全員揃うまで、すぐに霊安室に移動せず、患者が急激な死を辿った状況を家族が感じ取ることができるよう敢えて救急外来の空間に居てもらっていた。救急外来に患者が次々に搬送され、ずっと関わることが困難な状況であるからこそ、患者と家族が居たたまれない様子を捉え、折に触れて声を掛けるなど、患者と家族に関心を寄せていることが伝わるよう関わっていた。
【考察】クリティカルケア領域は、患者の意思を把握することが難しく、専門性の高い治療やケアが行われているため、看護師が他者に代わって引き受けることによって、患者や家族の思いとかけ離れた配慮にもなりかねない。そのため、クリティカルケア領域の看護師は、患者や家族がありたい姿でいられるよう支えていく配慮が重要であることを確認し合っていたと考える。また、患者が急激な死を辿った場所であるからこそ、クリティカルケア領域の看護師は、敢えて家族がその状況を感じ取ることができるよう知りたいニーズに応え、救急外来の空間に居ることの意味を最大に活かしていたと考える。
【結論】クリティカルケア領域の看護師は、善意が擦れ違わないよう患者や家族の心情に寄り添うことを探求し、関わっていたことが明らかになった。また、救急外来の場を患者と家族が最期を過ごす大切な空間に変えていたことが明らかになった。