第17回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題

[O6] チーム医療

[O6-03] 特定行為研修修了生によるRRS活動の報告
- 一般病棟リーダー看護師へのアンケート結果から-

○宮城 絵美1、古謝 真紀1、安里 宏美1、松永 宏美1 (1. 浦添総合病院 看護部)

Keywords:RRS活動、特定行為研修修了生

【背景(目的)】当院では、患者の急変・重篤化の予防を目的に、Rapid Response System(以下、RRS)活動として、特定行為研修修了生が平日定時に一般病棟へ出向き、日々の一般病棟リーダー看護師から患者情報を得ている。その件数は平均3~4件/日である。一般病棟リーダー看護師から得た患者情報は、特定行為研修修了生からその日のベッド調整担当者へ引き継ぎ、24時間継続して患者管理ができるよう繋げている。今回、RRS活動に対する一般病棟リーダー看護師の受け止めを明らかにし、今後の活動方法の示唆を得ることを目的とした。
【方法および分析の概要】一般病棟リーダー看護師55名を対象に、無記名自記式アンケート用紙を配布し、留め置き法で回収した。なお、調査協力の諾否によって対象者が不利益を被らないことを文書で説明し同意を得た。質問内容は、①RRS活動の認知、②相談内容、③一般病棟リーダー看護師の不安軽減への効果、④今後のRRS活動への期待であった。結果は、単純集計、及び、自由記述より分析を行った。
【結果/経過】50名から回答を得た(回収率91%)。臨床経験年数は3年から33年(平均12.1±7.2年)、一般病棟リーダー看護師経験年数は1年から17年(平均5±4.3年)であった。一般病棟リーダー看護師の98%がRRS活動を知っていた。「何か気になる、または看護師が不安に思った」「酸素化・呼吸が気になる」場合、80%の一般病棟リーダー看護師が相談していた。また、測定値のうち、患者の「意識レベル」「呼吸数」「HR」「SpO2」が変化した場合は相談すべき項目として認識していた。一方で、測定値の「血圧」「尿量」の変化は相談への認識が低かった。一般病棟リーダー看護師の約80%がRRS活動により不安が軽減したと回答した。その理由の6割が「観察項目・ケアのアドバイスがもらえた」「アセスメントが承認してもらえた」であった。その他、気になっていることが特定行為研修修了生によって言語化されて医師への報告につながった、患者情報がベッド調整担当者にも伝わっていて負担が軽減された、等があった。今後の期待として、人工呼吸器管理に関する実践、医師とのかけ橋になってほしいが上位にあった。
 何か気になる等、曖昧な内容が相談項目の多くを占めていたことは、特定行為研修修了生が同じ職種の看護師であるため、曖昧さを表現することに迷いが少なかったからであろう。また、特定行為研修修了生以外にも、相談した患者の情報が伝わった実感は、不安の軽減につながっていた。今回、「血圧」「尿量」の変化に関し、相談すべき認識が低かった理由として「血圧90以下」という質問項目を、いつもと状態の変化がないため相談すべきでない事と捉えた可能性があること、一般病棟での精密な時間尿量管理の経験が多くないことが要因と考える。そのため、特定行為研修修了生が意図的に一般病棟リーダー看護師から情報を引き出し、ともに患者アセスメントのプロセスをたどる必要性が示唆された。本研究は、一般病棟リーダー看護師からの回答であるため、院内看護師の全体は反映していない。
【結論】RRS活動は、一般病棟リーダー看護師に周知されていた。RRS活動は、言語化しにくい状態の患者の相談先として機能し、一般病棟リーダー看護師の心理的支援につながっていた。今後、急変予測の視点が意識化できるよう介入の工夫が必要である。