[O8-01] A病院におけるCOVID-19肺炎患者に対するハイフローセラピーの実施状況
キーワード:ハイフローセラピー、COVID-19
【背景(目的)】A病院は2020年1月より12月末日までに585名のCOVID-19肺炎患者を受け入れている.当初は新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引きをもとに,高流量酸素投与が必要な場合,早期に挿管・人工呼吸器管理が実施されていたが,挿管を回避しリザーバーマスクによる酸素投与で治療を継続した場合でも予後が良好であるケースが散見した.これらを背景にA病院では,高流量かつ高濃度酸素を安定して投与できるハイフローセラピーをCOVID-19肺炎患者へ実施するようになった.また,呼吸ケアや患者の苦痛緩和へのケアとともにハイフローセラピーの導入,設定の調整,離脱の過程で,医師の指示をもとに看護師が主体となって介入を図った.以下にその実施状況について報告する.
【方法および分析の概要】1.対象者:COVID-19肺炎によりA病院でハイフローセラピーを受けた患者28名.2.データ収集・分析方法:後方視的に患者年齢・性別・ハイフローセラピー後の転機・SpO2・心拍数(以下,HR)または脈拍数(以下,PR)・呼吸数(以下,RR)を集計し記述統計量を算出した.SpO2・RR(実測値またはインピーダンス法による計測値),FiO2からハイフローセラピー導入時・2時間後・6時間後・12時間後のROX index(SpO2/FiO2/RR)を算出し,ハイフローセラピー離脱群(以下,離脱群)と死亡群にわけて一元配置分散分析を用いてROX indexの平均値の推移を分析した.統計処理はStatcel4を使用した.3.倫理的配慮:本調査はA病院ホームページ上に掲載している個人情報保護の内容にもとづき,個人が特定できないようデータを加工し,インターネット接続がされていないパソコンでデータ収集・分析を行った.本調査の公表について研究者所属施設の看護研究倫理審査部会の承認を得た.
【結果】対象者の平均年齢は68.2±10.2歳,男性:22名(78.6%),女性:6名(21.4%)であった.2020年12月末日時点でハイフローセラピー離脱:17名(60.7%),気管挿管への移行:2名(7.1%),死亡:6名(21.4%),ハイフローセラピー継続中:3名(10.7%)であった.ハイフローセラピー導入時・2時間後・6時間後・12時間後のSpO2・RRが記録されていた患者は17名で,そのうち転帰が判明している患者14名を離脱群(10名)・死亡群(4名)にわけてROX indexの平均値を算出した.その結果,離脱群のROX indexは導入時:4.47,2時間値:6.60,6時間値:6.52,12時間値:6.59であった.死亡群では導入時:5.36,2時間値:5.31,6時間値:4.23,12時間値:4.19であった.各群のROX index平均値の推移は,一元配置分散分析で5%水準で有意差は認められなかった。
【考察】各群のROX index平均値の推移に有意差はなかったが,離脱群では導入時から2時間後値が上昇している傾向が認められた.それに対し,死亡群では顕著な変化は認められず経時的に数値が低下している傾向が認められた.本調査では,RRは実測値のみならずインピーダンス法による計測値であったため,データの精度が低い可能性が考えられる.ハイフローセラピー実施後の評価として,SpO2の推移のみならず,RRをはじめとする呼吸状態の評価を確実に行っていくことが必要である.
【結論】ハイフローセラピーを実施したCOVID-19肺炎患者のうち約6割が離脱できた.離脱群・死亡群のROX indexの平均値の推移では統計学的有意差はなかったが,離脱群で導入時から2時間後値が上昇している傾向が認められ,死亡群では顕著な変化は認められず経時的に数値が低下した.
【方法および分析の概要】1.対象者:COVID-19肺炎によりA病院でハイフローセラピーを受けた患者28名.2.データ収集・分析方法:後方視的に患者年齢・性別・ハイフローセラピー後の転機・SpO2・心拍数(以下,HR)または脈拍数(以下,PR)・呼吸数(以下,RR)を集計し記述統計量を算出した.SpO2・RR(実測値またはインピーダンス法による計測値),FiO2からハイフローセラピー導入時・2時間後・6時間後・12時間後のROX index(SpO2/FiO2/RR)を算出し,ハイフローセラピー離脱群(以下,離脱群)と死亡群にわけて一元配置分散分析を用いてROX indexの平均値の推移を分析した.統計処理はStatcel4を使用した.3.倫理的配慮:本調査はA病院ホームページ上に掲載している個人情報保護の内容にもとづき,個人が特定できないようデータを加工し,インターネット接続がされていないパソコンでデータ収集・分析を行った.本調査の公表について研究者所属施設の看護研究倫理審査部会の承認を得た.
【結果】対象者の平均年齢は68.2±10.2歳,男性:22名(78.6%),女性:6名(21.4%)であった.2020年12月末日時点でハイフローセラピー離脱:17名(60.7%),気管挿管への移行:2名(7.1%),死亡:6名(21.4%),ハイフローセラピー継続中:3名(10.7%)であった.ハイフローセラピー導入時・2時間後・6時間後・12時間後のSpO2・RRが記録されていた患者は17名で,そのうち転帰が判明している患者14名を離脱群(10名)・死亡群(4名)にわけてROX indexの平均値を算出した.その結果,離脱群のROX indexは導入時:4.47,2時間値:6.60,6時間値:6.52,12時間値:6.59であった.死亡群では導入時:5.36,2時間値:5.31,6時間値:4.23,12時間値:4.19であった.各群のROX index平均値の推移は,一元配置分散分析で5%水準で有意差は認められなかった。
【考察】各群のROX index平均値の推移に有意差はなかったが,離脱群では導入時から2時間後値が上昇している傾向が認められた.それに対し,死亡群では顕著な変化は認められず経時的に数値が低下している傾向が認められた.本調査では,RRは実測値のみならずインピーダンス法による計測値であったため,データの精度が低い可能性が考えられる.ハイフローセラピー実施後の評価として,SpO2の推移のみならず,RRをはじめとする呼吸状態の評価を確実に行っていくことが必要である.
【結論】ハイフローセラピーを実施したCOVID-19肺炎患者のうち約6割が離脱できた.離脱群・死亡群のROX indexの平均値の推移では統計学的有意差はなかったが,離脱群で導入時から2時間後値が上昇している傾向が認められ,死亡群では顕著な変化は認められず経時的に数値が低下した.