[O8-05] COVID-19重症患者に対する腹臥位療法時の皮膚障害予防ケアの実践報告
Keywords:腹臥位療法、皮膚障害、COVID-19
【背景(目的)】COVID-19患者に対する腹臥位療法は肺傷害を改善するために行う治療の一つで、連続12時間を超える腹臥位療法は皮膚障害が生じやすく、患者の苦痛を増強させるため予防対策は重要である。A病院では2020年3月から連続16時間の腹臥位療法を行うCOVID-19 重症患者に対して皮膚障害予防対策マニュアルを作成し実践してきた。そこで、COVID-19患者に対する腹臥位療法時の皮膚障害予防ケアの実践内容とその効果及び皮膚障害のリスク因子について報告する。
【実践内容】2020年2月、COVID-19重症患者に対する腹臥位療法実施時の皮膚障害予防ケアについてマニュアルを作成し、A病院高度救命救急センター看護師に周知した。内容は、①空気流動型ベッド導入、②クッション使用方法、③皮膚障害好発部位に対する被覆材の使用方法、④挿管チューブ、胃管カテーテルと皮膚接触部に対するシリコンジェルシートの使用方法、⑤皮膚と接触する部分の除圧の間隔と方法である。これらについてベッドサイドでの継続的な実践指導を行った。
【方法および分析の概要】対象は、2020年3月から2021年1月までにA病院高度救命救急センターで腹臥位療法を行ったCOVID-19患者である。分析方法は、皮膚障害の発生の有無で2群とし、2群における対象患者の背景、腹臥位実施日数、Alb、T.P、Hb、BMI、褥瘡ハイリスク患者ケア加算項目の該当数、褥瘡/MDRPUの新規発生件数についてMann–Whitney U testおよび×2乗検定を用いて比較検討した。全ての項目に関して、有意水準は5%とした。統計解析にはSPSS ver. 27を用いた。本実践報告は報告に際して、患者あるいは家族の同意を得ており、開示すべきCOIはない。
【結果/経過】対象患者43例のうち、皮膚障害発生群は8例、未発生群は35例だった。年齢、性別、BMI、Alb、T.P、BMI、腹臥位実施日数に両群で有意差はなかった。褥瘡ハイリスク患者ケア加算項目の該当数に有意差を認めた(4.3 vs 3.1 p=0.013)。皮膚障害新規発生件数は褥瘡8件、MDRPU3件だった。発生部位は、膝蓋7件(5月までに6件、6月以降1件)、肩、鼠径部、鼻翼、足関節がそれぞれ1件で、皮膚障害深達度はDESIGN-Rでd1~d2だった。
【考察】腹臥位療法時の皮膚障害新規発生率は高いが、先行研究と比較した発生率は18%と低い。要因として、減圧目的で導入した空気流動型ベッドの使用、好発部位と創傷被覆材の特徴を考慮した使用、再現性のあるケア方法の構築と手技定着までの継続的指導が効果的だったと考える。発生頻度が高い膝蓋は、足背部にクッションを使用した影響で下腿に角度がつき荷重が増加したためと推測された。多層性フォーム使用とクッション使用方法を変更したことで減圧・摩擦軽減につながり、発生頻度が減少したと考える。皮膚障害発生群で褥瘡ハイリスク患者ケア加算項目の該当数が有意に高かった。すべての患者に該当した「麻薬・鎮痛剤使用」「特殊体位」「医療関連機器装着」の外的要因に、「ショック状態」「末梢循環不全」など内的要因の該当項目が加わると皮膚障害発生リスクがさらに高まること予測された。
【結論】腹臥位療法中の皮膚トラブルは先行研究と比較して低い発生率で抑えることができた。腹臥位療法時の空気流動型ベッド、シリコンジェルドレッシング、シリコンゲルシート、多層性フォームの使用と、再現性のあるケア方法の構築と手技獲得までのベッドサイドでの指導が効果的だった。皮膚障害ハイリスク患者を理解し予防ケアを強化する必要がある。
【実践内容】2020年2月、COVID-19重症患者に対する腹臥位療法実施時の皮膚障害予防ケアについてマニュアルを作成し、A病院高度救命救急センター看護師に周知した。内容は、①空気流動型ベッド導入、②クッション使用方法、③皮膚障害好発部位に対する被覆材の使用方法、④挿管チューブ、胃管カテーテルと皮膚接触部に対するシリコンジェルシートの使用方法、⑤皮膚と接触する部分の除圧の間隔と方法である。これらについてベッドサイドでの継続的な実践指導を行った。
【方法および分析の概要】対象は、2020年3月から2021年1月までにA病院高度救命救急センターで腹臥位療法を行ったCOVID-19患者である。分析方法は、皮膚障害の発生の有無で2群とし、2群における対象患者の背景、腹臥位実施日数、Alb、T.P、Hb、BMI、褥瘡ハイリスク患者ケア加算項目の該当数、褥瘡/MDRPUの新規発生件数についてMann–Whitney U testおよび×2乗検定を用いて比較検討した。全ての項目に関して、有意水準は5%とした。統計解析にはSPSS ver. 27を用いた。本実践報告は報告に際して、患者あるいは家族の同意を得ており、開示すべきCOIはない。
【結果/経過】対象患者43例のうち、皮膚障害発生群は8例、未発生群は35例だった。年齢、性別、BMI、Alb、T.P、BMI、腹臥位実施日数に両群で有意差はなかった。褥瘡ハイリスク患者ケア加算項目の該当数に有意差を認めた(4.3 vs 3.1 p=0.013)。皮膚障害新規発生件数は褥瘡8件、MDRPU3件だった。発生部位は、膝蓋7件(5月までに6件、6月以降1件)、肩、鼠径部、鼻翼、足関節がそれぞれ1件で、皮膚障害深達度はDESIGN-Rでd1~d2だった。
【考察】腹臥位療法時の皮膚障害新規発生率は高いが、先行研究と比較した発生率は18%と低い。要因として、減圧目的で導入した空気流動型ベッドの使用、好発部位と創傷被覆材の特徴を考慮した使用、再現性のあるケア方法の構築と手技定着までの継続的指導が効果的だったと考える。発生頻度が高い膝蓋は、足背部にクッションを使用した影響で下腿に角度がつき荷重が増加したためと推測された。多層性フォーム使用とクッション使用方法を変更したことで減圧・摩擦軽減につながり、発生頻度が減少したと考える。皮膚障害発生群で褥瘡ハイリスク患者ケア加算項目の該当数が有意に高かった。すべての患者に該当した「麻薬・鎮痛剤使用」「特殊体位」「医療関連機器装着」の外的要因に、「ショック状態」「末梢循環不全」など内的要因の該当項目が加わると皮膚障害発生リスクがさらに高まること予測された。
【結論】腹臥位療法中の皮膚トラブルは先行研究と比較して低い発生率で抑えることができた。腹臥位療法時の空気流動型ベッド、シリコンジェルドレッシング、シリコンゲルシート、多層性フォームの使用と、再現性のあるケア方法の構築と手技獲得までのベッドサイドでの指導が効果的だった。皮膚障害ハイリスク患者を理解し予防ケアを強化する必要がある。