[PS17-01] [プラクティスセミナー] 重症患者の褥瘡予防 ー 今、まさに、EBPが求められる ー
キーワード:褥瘡予防、EBP
褥瘡は潜在的に予防可能とされていますが、頻繁に発生する有害事象です。
重症患者の褥瘡発生には、生命を脅かす疾患の病態とその治療に伴う合併症が関連しており、呼吸・循環・代謝等の急性機能不全に伴う組織の酸素化・血液灌流・栄養状態の不良に加え、侵襲に伴う生体反応によって生じる皮膚の生理機能や組織耐久性の低下が関与します。重症患者は、生命維持を最優先した治療を受けているという特徴があり、これらの治療は重要臓器を保護する一方、褥瘡発生の引き金にもなります。具体的には、30度以上のヘッドアップは、高い死亡率が報告されている人工呼吸器関連肺炎の予防に推奨されていますが、仙骨部や尾骨部の皮膚に圧迫やずれを生じやすい体位でもあります。鎮痛・鎮静療法や早期経腸栄養法は、侵襲に対するストレス反応の緩和・抑制効果があるとされていますが、鎮痛・鎮静薬の投与は患者の知覚反応や自発的運動を抑制し、また、経腸栄養剤の投与によって頻繁に生じる下痢は、でん部の皮膚に浸軟を生じます。いずれも褥瘡発生の高いリスクとなります。
では、患者の病態や優先される治療に対して、私たち看護師はどこまで対応できるのでしょうか。
コロナ禍にある現在、私たちの看護ケアの提供においては、患者との時間や距離(心理・物理的な側面も含む)に一定の制限があることから、これまで以上に、ケアの効果、効率、安全といった、いわゆる根拠に基づく質の高い実践=EBP:Evidence-based Practiceが求められています。
本セミナーでは、以上のような背景を踏まえながら、重症患者の褥瘡発生に関する基礎知識と予防のためのEBPの学習の機会を提供します。皆さんの実践の一助としていただきたく思います。