第17回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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プラクティスセミナー(共催)

[PS21] COVID-19患者受け入れを経験して(呼吸管理を中心に) 共催:コヴィディエンジャパン株式会社

[PS21-01] [プラクティスセミナー] COVID-19患者受け入れを経験して(呼吸管理を中心に)

○五十嵐 義浩1 (1. 聖マリアンナ医科大学病院 クリニカルエンジニア部)

Keywords:呼吸管理

【背景】
 当院では、COVID-19感染患者が日本で確認された当初からマニュアルやエビデンスもない中、重症患者の受け入れを行ってきた。現在では、各種ガイドラインから提言されている内容を元に、各病院で様々な工夫をし、COVID-19に対する呼吸管理や対策を行っていると思われる。本ランチョンセミナーでは、当院での経験を元に、COVID-19感染患者に対する臨床工学技士としての経験を含めた、ガイドラインやエビデンスに基づいた対策・呼吸管理と実際の臨床現場での対策・呼吸管理について説明を行う。
 『臨床現場でのCOVID-19に対する対策』として、災害モードでの多職種の『情報共有』は必須であり、当院では医療情報通信アプリJOIN(アルム(株))や遠隔モニタリングのような様々なデバイスを活用し、迅速な対応を求められる中、災害拠点病院としての役割を果たしてきた。
 COVID-19肺炎による『感染対策』は、慣れない環境下のもと、感染対策をしながら個人用防護具 (Personal Protective Equipment)着脱やゾーニングを行っており、受け入れ当初より、日々変化している。また、『院内での取り決め』で、人工呼吸器を管理するにあたり特に重要となったのは、ME機器全般の清拭を含めた管理方法、患者移動、閉鎖式吸引の交換、人工呼吸器回路交換の方法は、多職種で関わり決定した事項であり、その方法を説明する。
 COVID-19肺炎患者に関する『呼吸管理』では、病態に応じたCOVID-19肺炎患者の臨床症状にも特徴があり、アセスメントが重要である。呼吸管理の中で、挿管前に『高流量酸素療(High Flow Nasal Canula) 』を使用する施設も出てきており、適応や取扱いも施設により使用機会が異なるため、その使用基準や認識も様々で、文献をもとに、当院での見解を内容に示す。
 また、COVID-19『肺炎のタイプ』には、Type LとType Hがあり、挿管後の呼吸管理では、患者の過度な自発呼吸の出現により引き起こされる、P-SILI(Patient self-inflicted injury自発呼吸誘発肺障害)を予防することが、COVID-19の呼吸管理に有用とされており、通常の『肺保護換気による呼吸器設定方法』の他に、食道内圧を用いた『経肺圧測定』や『閉塞圧(P0.1)測定』をすることで、自発呼吸の強さの指標に用いる方法があり、当院での症例をもとに症例提示をおこなう。さらに、COVID-19重症症例では、酸素化改善のために、『腹臥位療法』『人工心肺装置ECMO(Extracorporeal Membranous Oxygenation:体外式膜型人工肺)』が用いられ、呼吸管理で重要な方法の1つである。
 これらのCOVID-19患者を受け入れにあたり、当院での経験したこと、特に呼吸管理に関して、最新の論文や当院の経験をもとに説明を行う。