第17回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

特別講演

[SL2] “医療をする”から“医療をつくる”、そして世界へ 演者:渡邊嘉行先生(総合川崎臨港病院)

[SL2-01] [特別講演] “医療をする”から“医療をつくる”、そして世界へ

○渡邊 嘉行1 (1. 総合川崎臨港病院)

キーワード:新型コロナPCR検査、医療とAI、NEDO


 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」採択プロジェクトのご紹介

 新型コロナウイルス感染拡大は、ヒトが生きてゆくのに「医療」だけでなく「医学・研究」「経済」「政治」という、オーバーラップしたゴールではあるものの、少しづつ目的に違いのある多角的見地からなる「バランスある考察」の重要性を教えてくれた気がします。医療現場では「PCR陽性です」、「症状消失から○○日経過したので問題ありません」のようなマニュアル知識だけの独り歩きを残念に感じます。

 世界では、新型コロナウイルス関連の疫学、診断、治療、予後の進歩に留まらず、どの医療現場においても日々、様々な医療・医学の進歩を見受けます。「最新医療機器○○を使用した一例」の発表や、新型呼吸器のマニュアル熟知は確かに重要な取り組みではありますが、医療職がもつライセンスを、医療現場だけに費やすのではなく、とくにアカデミアにおいては、医療を創る側にもエフォートを置くことが重要に思います。もちろん訪問診療などの現場から医療を創ることも可能です。一緒に医療の「シーズから創る」を考えませんか?

 「難しそう、出来そうにない」で括るのではなく、「自らのもつ可能性と探求心」をもとに視野を広げて「“医療をする”だけから“医療を創る”」を一緒に考えてゆきたいと思います。近年、渡航手段、情報技術(IT)だけでなく、ICT、IoT等のインフラ整備がすすむなか、討論や行動に国内外の壁を作る必要はありません。医療関係のライセンスをひとつのツールとして活かし、企業とのマッチングの場を構築、大学TLOとの伴走を実現することで、自治体、振興財団、厚生労働省、経済産業省の助成金を活用することが可能になります。

 本講演では、日本全国で行われている自治体「胃がん検診事業」を検査・術中にリアルタイムで自動診断(AI診断)補助するだけでなく、読影作業もクラウド化させることで、自施設だけでなく他県の内視鏡写真を遠隔読影可能に。さらには国外(現在は国立シンガポール大学)の遠隔読影も実現するという、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」をご紹介させていただきます。