1:48 PM - 1:59 PM
[O11-05] 救命救急センターの集中治療室における患者の家族への関わり
:成人前期の患者の家族の事例を通して
Keywords:家族看護
【目的】救命救急センターの集中治療室で行われている家族への関わりについて成人前期の患者の家族の事例を通して明らかにし、成人前期の発達段階や特徴に応じて行われている関わりを具体的に言語化する。
【方法】本研究は、半構造化インタビューを用いた質的記述的研究である。分析方法は、研究参加者ごとに分析を行い、≪サブテーマ≫と<テーマ>を導いた。データ収集は、2020年4月~2020年11月に行なった。研究参加者は現在関東圏内の三次救急医療機関のEICUに所属している看護師で、看護師の経験年数が5年目以上でかつ、EICUの経験年数が3年目以上とした。本研究は、研究実施時に所属していた倫理審査委員会の承認(承認番号:2019-104)を得て、実施した。
【結果】研究参加者は現在関東圏内の三次救急医療機関のEICUに所属している2名の看護師で、看護師の経験年数が5年目以上でかつ、EICUの経験年数が3年目以上であった。1人2回ずつオンラインインタビューを行い、総インタビュー時間はそれぞれA氏108分、B氏120分であった。A看護師のテーマは<患者の危機に直面している妻の存在を大事にしながら患者の社会復帰を見据えた関わり>で、B看護師のテーマは<突然の死や患者の障害に向き合う家族を支える関わり>であった。A看護師は、妻が不安な思いを吐露したことをきっかけに、≪妻の不安な状態に気づき、患者を支える妻の思いを大事にする≫関わりを行なっていた。そして患者が生命の危機的状態を脱した後も予断を許さない≪不確実な状況の只中にいる妻を支える≫関わりを行なっていた。更にICUの特殊な環境を理解し≪患者と家族を繋ぎ家族が安心できるようにする≫関わりを行ないながら≪障害が残る可能性を受け入れようとする妻の気持ちの変化を捉える≫関わりを行なっていた。B看護師は、集中治療の甲斐なく患者の死を迎える≪終末期において家族が患者に触れる機会を作る≫関わりや≪避けられない死と向き合う家族が患者と一緒にいられるように後悔のない時間を作る≫関わりを意図的に行なっていた。また、集中治療を終えた≪患者の経過を予測し家族に少し先のことを伝える≫ことで家族が安心できるように関わりながら≪家族における患者の役割を捉え子どもを気遣う≫関わりも行っていた。
【考察】研究参加者は、子をなくす親の心情を捉えながら、家族が患者にできるICUでのケアを考え、患者がその人らしい自然な姿で逝けるようにケアをしていたと考えられる。Benner(1999/2018)は、家族員が子どもの悲しみと向き合えるようになるには、まだ生ききれていない生命への期待や望みを喪失する悲壮感が伴うと述べている(p. 609)。患者のその人らしさを大事にすることは、家族の心情を捉えたケアであることを看護師が認識し、意図的に行なっていたケアであったと示唆される。また、研究参加者は、家族がこの先の経過をイメージできるように準備をしておくことで、実際にその状況になった時の家族の不安を最小限にできるよう関わっており、ICU退室後の看護につながる関わりを行っていたと考えられる。更に研究参加者は、避けられない死を迎える家族にとって、患者を悔いなく看取ることが重要であることを認識し、残された患者と家族だけの時間を大事にしながら関わっていたと考えられる。研究参加者は家族のニードが充足されるように患者の家族との関わりを行ない、家族にとってかけがえのない時間を確保していたと示唆される。
【結論】本研究では、成人前期の患者の家族の事例を通して、患者の危機に直面している妻の存在を大事にしながら患者の社会復帰を見据えた関わりと突然の死や患者の障害に向き合う家族を支える関わりが明らかとなった。
【方法】本研究は、半構造化インタビューを用いた質的記述的研究である。分析方法は、研究参加者ごとに分析を行い、≪サブテーマ≫と<テーマ>を導いた。データ収集は、2020年4月~2020年11月に行なった。研究参加者は現在関東圏内の三次救急医療機関のEICUに所属している看護師で、看護師の経験年数が5年目以上でかつ、EICUの経験年数が3年目以上とした。本研究は、研究実施時に所属していた倫理審査委員会の承認(承認番号:2019-104)を得て、実施した。
【結果】研究参加者は現在関東圏内の三次救急医療機関のEICUに所属している2名の看護師で、看護師の経験年数が5年目以上でかつ、EICUの経験年数が3年目以上であった。1人2回ずつオンラインインタビューを行い、総インタビュー時間はそれぞれA氏108分、B氏120分であった。A看護師のテーマは<患者の危機に直面している妻の存在を大事にしながら患者の社会復帰を見据えた関わり>で、B看護師のテーマは<突然の死や患者の障害に向き合う家族を支える関わり>であった。A看護師は、妻が不安な思いを吐露したことをきっかけに、≪妻の不安な状態に気づき、患者を支える妻の思いを大事にする≫関わりを行なっていた。そして患者が生命の危機的状態を脱した後も予断を許さない≪不確実な状況の只中にいる妻を支える≫関わりを行なっていた。更にICUの特殊な環境を理解し≪患者と家族を繋ぎ家族が安心できるようにする≫関わりを行ないながら≪障害が残る可能性を受け入れようとする妻の気持ちの変化を捉える≫関わりを行なっていた。B看護師は、集中治療の甲斐なく患者の死を迎える≪終末期において家族が患者に触れる機会を作る≫関わりや≪避けられない死と向き合う家族が患者と一緒にいられるように後悔のない時間を作る≫関わりを意図的に行なっていた。また、集中治療を終えた≪患者の経過を予測し家族に少し先のことを伝える≫ことで家族が安心できるように関わりながら≪家族における患者の役割を捉え子どもを気遣う≫関わりも行っていた。
【考察】研究参加者は、子をなくす親の心情を捉えながら、家族が患者にできるICUでのケアを考え、患者がその人らしい自然な姿で逝けるようにケアをしていたと考えられる。Benner(1999/2018)は、家族員が子どもの悲しみと向き合えるようになるには、まだ生ききれていない生命への期待や望みを喪失する悲壮感が伴うと述べている(p. 609)。患者のその人らしさを大事にすることは、家族の心情を捉えたケアであることを看護師が認識し、意図的に行なっていたケアであったと示唆される。また、研究参加者は、家族がこの先の経過をイメージできるように準備をしておくことで、実際にその状況になった時の家族の不安を最小限にできるよう関わっており、ICU退室後の看護につながる関わりを行っていたと考えられる。更に研究参加者は、避けられない死を迎える家族にとって、患者を悔いなく看取ることが重要であることを認識し、残された患者と家族だけの時間を大事にしながら関わっていたと考えられる。研究参加者は家族のニードが充足されるように患者の家族との関わりを行ない、家族にとってかけがえのない時間を確保していたと示唆される。
【結論】本研究では、成人前期の患者の家族の事例を通して、患者の危機に直面している妻の存在を大事にしながら患者の社会復帰を見据えた関わりと突然の死や患者の障害に向き合う家族を支える関わりが明らかとなった。