第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題

[O12] 運動と休息

Sun. Jun 12, 2022 2:00 PM - 3:10 PM 第7会場 (総合展示場 314-315会議室)

座長:藤岡 智恵(飯塚病院)

2:00 PM - 2:12 PM

[O12-01] A病院ICUにおける早期離床介入の実態
−疾患別リハビリテーション導入前の人工呼吸器装着患者を対象として−

岩本 浩輔1、○川畑 瑠花1、中野 祐樹1、井野 朋美1 (1. 熊本赤十字病院)

Keywords:早期離床、人工呼吸器、リハビリテーション

【目的】A病院ICUにおける疾患別リハビリテーション処方の無い人工呼吸器装着患者の早期離床介入の実態を明らかにする。【方法】2019年1月1日~2019年12月18日までにA病院ICUに入室した人工呼吸器装着患者で、疾患別リハビリテーションの処方が出ていない患者、また疾患別リハビリテーションの処方が出されるまでの患者を対象とした。調査内容は、基本属性(年齢、性別、診療科)、ICU入室日数、呼吸器装着日数、離床チャート内の項目(立ち上げの有無、入室から初回立ち上げまでの時間、入室期間中に正確な入力がされているかの有無、対象期間内の最終到達レベル)を診療録より抽出した。離床チャートの到達レベルは、レベル0:体位変換、レベル1:ヘッドアップ、レベル2:座位、レベル3:立位、レベル4:車椅子、レベル5:歩行を示す。各項目の結果を単純集計し基礎統計で分析した。倫理的配慮に関しては、すべてのデータを匿名化し、対象者個人が特定されることがないようにした。また、所属施設の研究倫理審査委員会による承認を得た。【結果】対象患者の選択基準を満たした患者は486名であった。年代の内訳は、60代91名(19%)、70代130名(27%)、80代128名(26%)で全体の約7割を占めていた。診療科の内訳は、心臓血管外科が131名(27%)、脳神経外科が92名(19%)、循環器内科が79名(16%)の順で多かった。ICU入室日数は、最短1日、最長46日であり、入室日数は平均7.2±6.3(平均値±SD)日であった。呼吸器装着日数は平均3.9±4.9(平均値±SD)日であった。離床チャート立ち上げありの人数は390名(80%)、立ち上げなしの人数は96名(20%)であった。立ち上げありの人数のうち、正確な入力の人数は102名(26%)、入力が不正確な人数は288名(74%)であった。最終到達レベルは、レベル0、1が383名(98%)、レベル2が7名(2%)であった。離床に制限が必要なデバイスが挿入されていた人数は90名(19%)であった。疾患別リハビリテーションの処方が出された患者は183名で、そのうち、処方されるまでの日数は、最短で0日、最長で20日であり、平均は4.1±4.3(平均値±SD)日であった。【考察】離床チャートの立ち上げが48時間以内にできていなかった2割と、ルール通りの入力が不正確であった7割の要因としては、スタッフへの入力方法の周知が十分でなかったことが考えられた。この点に関しては、今後離床チャートの入力方法を周知し、入力の徹底や活用を意識づけることが必要である。最終到達レベルがレベル0とレベル1で98%を占めた要因としては、1つ目に、予定手術の患者が約6割と多く、離床チャートを使用する期間が短くなるといった患者の選定の問題があると考えられた。2つ目の要因としては、患者の循環管理やデバイス挿入患者の離床に関する看護師の知識・スキルの問題が挙げられた。この点に関しては、ケアカンファレンス等の際に複数人で離床のレベルを評価することや、多職種を含めた教育のサポート体制を強化することで、知識やスキルを向上、均一化させ、離床のレベルを段階的に進めることができると考える。さらに、離床時の循環動態の変動への対応に関しては、講義形式での知識の付与を検討していきたい。【結論】本研究結果で、離床チャートの入力が正確に出来ていたのは26%、入力が不正確であったのは74%であり、到達レベルは、レベル0とレベル1が98%を占め、レベル2は2%という現状であった。