2:59 PM - 3:10 PM
[O12-06] 心臓血管外科術後患者の主観的睡眠評価による睡眠の質の変化について
Keywords:睡眠、主観的評価、心臓血管外科術後
【目的】
集中治療室における睡眠障害は指摘されているが、術後の睡眠の質の変化は明らかにされていない。本研究は、心臓血管外科術後患者における人工呼吸器離脱後(以下抜管後)の主観的睡眠評価による睡眠の質の変化を明らかにし、睡眠の主観的評価と看護介入への示唆を得ることを目的とした。
【方法】
対象者は心臓血管外科術後患者22名。データ収集は抜管後4日間、日本語版Richards-Campbell睡眠質問票(以下J-RCSQ)を使用し主観的睡眠評価を行った。データ分析は記述統計、睡眠の変化はFriedman順位付けによる双方向分析を行い、属性による比較はMann-WhitneyのU検定を行った。福岡大学医に関する倫理委員会の承認(承認番号U-19-06-008)を得た。
【結果】
対象者は平均年齢65.4±10.8歳、男性14名、入院前眠剤の使用8名、人工心肺使用18名。平均手術時間447.5±134.2分、平均麻酔時間559.3±134.0分であった。抜管後のJ-RCSQによる睡眠の質の平均は1日目45.5±29.8点、2日目52.2±30.2点、3日目47.5±24.1点、4日目51.7±23.2点で、抜管後の睡眠の変化は統計的な有意差を認めなかった。睡眠の質が高いのは4日が5名、3日が3名、2日が5名、1日が5名、0日が4名であった。属性の比較では、女性が4日目に睡眠深度、夜間覚醒、睡眠満足度、睡眠の質が有意に高かった。人工心肺を使用した人は1日目の睡眠満足度が有意に高かった。また、入院前の眠剤使用のない人は平均得点が4日間とも50点以上を示し、1日目と3日目に睡眠の質が高い傾向にあった。
【考察】
心臓血管外科患者の抜管後の睡眠の質は、毎日の変化が大きくばらついていた。対象者数が少ないこともあるが、睡眠は個人差が大きいことや重症患者の睡眠への影響要因が多様であることも推測される。また、本研究では、睡眠の質は男性であることや入院前に眠剤使用のある人が不良であり、影響を受けやすいことが確認された。睡眠不足は多くの重症患者の苦痛の原因であり、睡眠障害はICUせん妄や免疫機能の乱れとなり、術後の回復過程に影響を与え入院期間の延長にもつながりやすい。睡眠の質は主観的な評価でしか計り知れず、客観的に入眠しているように見えても睡眠の質と比例しているものではない。したがって、患者の主観的評価による睡眠の質を把握することや、男性の患者、入院前に眠剤を使用していた患者では、特に睡眠を整える援助が必要である。疾病からの回復過程にある患者において、睡眠覚醒リズムを整え睡眠の質を高めることは重要な役割がある。患者の睡眠の質が1日でも早く担保できるよう、入院前の睡眠習慣を把握し慨日リズムが戻るよう環境や薬剤調整を行う必要がある。また睡眠深度は浅く、夜間覚醒回数が多い結果であり夜間の看護ケアは最小限とするなど睡眠促進への援助方法を検討する必要がある。
【結論】
心臓血管外科術後患者は、抜管後の睡眠の質は毎日の変化が大きく、男性・入院前の眠剤使用の経験があることが睡眠不良に影響する可能性がある。睡眠評価は看護師の客観的評価のみで判断せず、患者の主観的な評価をもとに評価し環境や薬剤の調整を行っていく必要がある。
集中治療室における睡眠障害は指摘されているが、術後の睡眠の質の変化は明らかにされていない。本研究は、心臓血管外科術後患者における人工呼吸器離脱後(以下抜管後)の主観的睡眠評価による睡眠の質の変化を明らかにし、睡眠の主観的評価と看護介入への示唆を得ることを目的とした。
【方法】
対象者は心臓血管外科術後患者22名。データ収集は抜管後4日間、日本語版Richards-Campbell睡眠質問票(以下J-RCSQ)を使用し主観的睡眠評価を行った。データ分析は記述統計、睡眠の変化はFriedman順位付けによる双方向分析を行い、属性による比較はMann-WhitneyのU検定を行った。福岡大学医に関する倫理委員会の承認(承認番号U-19-06-008)を得た。
【結果】
対象者は平均年齢65.4±10.8歳、男性14名、入院前眠剤の使用8名、人工心肺使用18名。平均手術時間447.5±134.2分、平均麻酔時間559.3±134.0分であった。抜管後のJ-RCSQによる睡眠の質の平均は1日目45.5±29.8点、2日目52.2±30.2点、3日目47.5±24.1点、4日目51.7±23.2点で、抜管後の睡眠の変化は統計的な有意差を認めなかった。睡眠の質が高いのは4日が5名、3日が3名、2日が5名、1日が5名、0日が4名であった。属性の比較では、女性が4日目に睡眠深度、夜間覚醒、睡眠満足度、睡眠の質が有意に高かった。人工心肺を使用した人は1日目の睡眠満足度が有意に高かった。また、入院前の眠剤使用のない人は平均得点が4日間とも50点以上を示し、1日目と3日目に睡眠の質が高い傾向にあった。
【考察】
心臓血管外科患者の抜管後の睡眠の質は、毎日の変化が大きくばらついていた。対象者数が少ないこともあるが、睡眠は個人差が大きいことや重症患者の睡眠への影響要因が多様であることも推測される。また、本研究では、睡眠の質は男性であることや入院前に眠剤使用のある人が不良であり、影響を受けやすいことが確認された。睡眠不足は多くの重症患者の苦痛の原因であり、睡眠障害はICUせん妄や免疫機能の乱れとなり、術後の回復過程に影響を与え入院期間の延長にもつながりやすい。睡眠の質は主観的な評価でしか計り知れず、客観的に入眠しているように見えても睡眠の質と比例しているものではない。したがって、患者の主観的評価による睡眠の質を把握することや、男性の患者、入院前に眠剤を使用していた患者では、特に睡眠を整える援助が必要である。疾病からの回復過程にある患者において、睡眠覚醒リズムを整え睡眠の質を高めることは重要な役割がある。患者の睡眠の質が1日でも早く担保できるよう、入院前の睡眠習慣を把握し慨日リズムが戻るよう環境や薬剤調整を行う必要がある。また睡眠深度は浅く、夜間覚醒回数が多い結果であり夜間の看護ケアは最小限とするなど睡眠促進への援助方法を検討する必要がある。
【結論】
心臓血管外科術後患者は、抜管後の睡眠の質は毎日の変化が大きく、男性・入院前の眠剤使用の経験があることが睡眠不良に影響する可能性がある。睡眠評価は看護師の客観的評価のみで判断せず、患者の主観的な評価をもとに評価し環境や薬剤の調整を行っていく必要がある。