第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題

[O2] 鎮痛・鎮静管理

Sat. Jun 11, 2022 11:20 AM - 12:20 PM 第4会場 (国際会議場 21会議室)

座長:渡海 菜央(日本大学医学部附属板橋病院)

11:44 AM - 11:56 AM

[O2-03] 心臓血管外科術後患者に対する熟練ICU看護師の痛みの管理の看護実践

○青野 沙織1、齋藤 信介1 (1. 国立循環器病研究センター)

Keywords:鎮痛管理、熟練看護師

〔目的〕日常的に何らかの痛みを感じているといわれる重症患者に対して、一貫した痛みの管理を提供することは、様々な合併症を予防する上で非常に重要である。先行研究において、経験年数の少ない看護師が患者の痛みへの対応に困難感を抱いており、看護師間において痛みの緩和のためのケアの質に差があるという実態があった。そこで、熟練看護師が行っている痛みへの看護実践を明らかにし、患者への適切なケアの提供へ繋げることを目的とした。
〔方法〕対象は経験年数10年以上の看護師とし、文書を用いて研究目的等を説明した。心臓血管外科術後の患者に対して痛みへの介入を行った1場面を想起してもらい、その場面における痛みのアセスメントや介入・評価について半構造化面接を行った。半構造化面接で得られた内容をもとに逐語録を作成して繰り返し読み、痛みへの看護実践について語られた部分を抽出し、意味内容を損なわないようにコード化した。類似したコードを集めサブカテゴリーとし、表現の修正を繰り返し、意味内容の類似するものにまとめてカテゴリーとした。本研究は所属施設の倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。
〔結果〕熟練看護師の痛みの管理の看護実践について抽出した42のコードから、類似したコードをまとめた結果、15のサブカテゴリーに分類された。さらに類似したサブカテゴリーをまとめた結果、【患者の回復意欲を育む】【多角的な視点で痛みを評価する】等の7のカテゴリーに分類された。
〔考察〕熟練看護師が痛みの管理の看護実践として行っていたことは、【患者の回復意欲を育む】ために【現状の疼痛管理に疑問を持ち】【多角的な視点で痛みを評価する】、【患者の痛みの個別性を捉え】【痛みの管理の継続性を確保する】、【痛みの増強を抑え、閾値を上げる介入を行う】ために【チームアプローチを図り】ガイドラインやエビデンスを遵守する、であった。効果的に痛みの管理を行うためには、痛みを多角的に捉えてアプローチし、個別的に介入することが重要である。また、回復意欲に関するコードが最多であったことから、痛みの管理には患者の回復意欲が鍵であり、その促進のためには患者の痛みの追求と連続的かつ包括的なケアリングが必要であると考える。
〔結論〕熟練看護師は、現状の疼痛管理に疑問を持ち痛みを多角的に捉え、連続的かつ包括的なケアリングにより、患者の回復意欲を促進する実践を行っていた。
O2-03