第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題

[O8] 看護教育

Sun. Jun 12, 2022 9:00 AM - 10:10 AM 第4会場 (国際会議場 21会議室)

座長:園田 拓也(一般財団法人平成紫川会 小倉記念病院)

9:00 AM - 9:12 AM

[O8-01] A病棟における新人看護師の教育支援
−看護提供方式の変更に伴う課題への取り組み−

○石井 結花1、高橋 祐樹1、植木 玲1、渡邊 好江1、内田 真由美1 (1. 杏林大学医学部付属病院)

Keywords:新人看護師教育、パートナーシップナーシングシステム、評価指標

【目的】A病棟での新人看護師教育支援として、臨床看護実践能力のうち、知識、技術は、習得状況を確認できるチェックリストを活用しているが、受けもち人数を増やすタイミングは、統一した指標や評価方法がなく、支援者の評価に差異が生じていた。受けもち人数を段階的に増やしていくための指標として、STEP表と評価表を作成し、支援者が統一した視点で新人看護師の成長を評価できるようにしたが、パートナーシップナーシングシステム(PNS)が導入されることになり、1.新人看護師の到達目標、2.目標評価と個別支援方法、3.主体性の育成について検討が必要になった。今回はその取り組みと今後の課題について報告する。
【研究方法】取り組みの評価として、新人看護師4名と新人看護師支援に携わる3年目以上の看護師19名に、新人看護師の進捗状況の把握、目標や課題の明確化、主体性の育成に向けた支援の達成度について、リッカートスケールを用いた5段階評価と自由記載式のアンケート調査を実施した。回答は、単純集計および、自由記載は類似した意味内容でまとめて課題を抽出した。アンケートは無記名で実施し、所属大学の倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】新人看護師3名、3年目以上の看護師15名、計18名(回収率78.2%)から回答が得られた。3年目以上の結果は、1.新人看護師の到達目標については、60%が「進捗状況が明確になった」、80%が「目標が明確になった」と回答していたが、個別の課題把握が難しかったという意見があった。2.目標評価と個別支援方法については、80%が「達成内容が明確になった」、60%が「課題が明確になった」、93%が「進捗状況を共有することで課題達成に向けた支援が出来た」と回答した。3.主体性の育成については、60%が「どちらでもない・できなかった」の回答であり、主体的に受けもちをさせる方法がわからないとの意見があった。新人看護師の結果は、STEP表や評価表を用いることで66%が課題や達成した内容が明確になったと回答したが、評価表をみても現状把握や課題がわかりにくいという意見もあった。
【考察】PNS導入に伴い見直したSTEP表と評価表で、受けもち人数を増やすタイミングについて、新人看護師の進捗状況を統一した視点で評価し、課題に対する具体的な支援を検討できたことは、STEP表および評価表が新人看護師支援に有用であったと言える。しかし、3年目以上の看護師からは、「個別課題の把握が困難なこともあった」、新人看護師からは「現状把握や課題がわかりにくい」という意見もあったため、個別課題の把握方法については工夫が必要である。
 主体性の育成については、3年目以上の看護師の半数以上が支援できていないと評価していた。新人看護師にはどのような主体性が求められているのかについて、スタッフ間で共有する場を設けていたが、主体性が広い概念であることから、主体性の捉え方に差異が生じてしまい、具体的な支援方法につなげられなかったことが要因ではないかと考えられた。PNSでは主体性が希薄になるとも言われているため、主体性がどのような意味をもち、新人看護師がどのような行動をとれれば良いのかを提示し、認識を統一した上で具体的な支援方法を検討していく必要がある。
【結論】
・STEP表、評価表は、新人看護師の教育支援に有用であったが、個別課題の把握については見直しが必要である。
・PNSにおける主体性の育成は、主体性についての認識を統一し、具体的な支援方法を検討する。