第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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Pro-Con

[PC4] ICUでPNSは有効か?

Sun. Jun 12, 2022 10:10 AM - 11:10 AM 第7会場 (総合展示場 314-315会議室)

座長:剱持 功(東海大学)
演者:清水 正子(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
   増居 洋介(北九州市立医療センター)

10:10 AM - 10:40 AM

[PC4-01] ICUでのPNSは有効である。

○清水 正子1 (1. 横浜市立大学附属市民総合医療センター)

Keywords:PNS、ICU、有効性

我が国における看護方式はこれまで様々開発され、その時代において診療報酬の影響を受けながら、看護の専門性を追求しながら各施設にて採用されてきた経緯があると言われている。そして2009年に福井大学附属病院でPartnership Nursing System(PNS)という新たな看護方式が開発された。近年PNSを扱った論文が全国的に増加しており、急速な勢いで臨床現場に拡大していると想定される。看護方式に関しては、有効性の評価方法が確立されておらず、それぞれの看護方式のメリット、デメリットを踏まえて、各施設が選択しているのが現状である。PNS導入施設の報告を見ていくと、一般病棟での調査が多いものの、一定の効果を得ている。その為PNSはICUでも当然有効であると考えるし、ICUの特性から、ことさらPNSが有効であると考える。 ICU看護は重症度や緊急度が高く、生理学的な知識とそれに基づいた臓器不全を発症した患者の看護に精通した看護師が必要である。看護師の力量によって患者の観察・状況判断に差が出る。また多くの医療機器を取り扱うため、機器に関する知識習得も求められる。その上、一つのミスが患者の生命に直結する環境にあるにも関わらず、スピードを求められる場面も多い。多重かつ困難な事象を瞬時に判断し、実践しなくてはならない環境が存在する場所である。またICUではパートナー看護師が常に近い距離間で業務にあたるため、患者の状態を共有しやすく、相手の動きを認識しやすい環境にある。PNSはこのようなICUの特徴的な機能や環境にマッチし、不足していた部分を補える看護方式であると考える。
ここからは2016年からPNS研修を開始し、2020年4月より本格導入となった当ICUでの現状を踏まえ、有効性をお示ししたい。 元々、当ICUでは看護師1名が患者1名から3名を担当するスタイルを取っていた。リーダー看護師がサポートをしながら各看護師は自身の力量の中で看護を実践していた。しかし、リーダー看護師のサポート不足があれば、看護提供不足を招いたり、医師から処置の遅さを指摘されることもあり、特に若手看護師の業務遂行にはリーダー看護師の業務責任が非常に大きかった。また新人・異動者の定着率低迷や、看護師の疲弊感も存在していた。さまざまな課題がある中で院内の方針に則ってPNSを導入した。その結果、当ICUでは以下の効果を得ている。 1. OJTでの教育やディスカッションが毎日行われる環境となり、患者の病態理解がわかりやすくなった。よって机上での説明時間を短縮できた。 2. 看護実践を2名で行うことで、必要なケアをタイムリーに行うことができた。 3. 異動者や新人が心臓血管術後や小児、ECMOなど比較的看護の難易度が高い症例を早期に担当することができた。 4. パートナーと受け持ちをすることで、実践した看護行為の確認機会が増えた。 5. リーダーが指導的役割をとっていたが、パートナー間で実施できるようになった。 6. リシャッフルにより補完機能が発揮され、業務バランスがよくなった。 7. パートナー2人が協力して業務を進めることで効率が良くなり、時間外労働時間が短縮できた。 8. 看護師配置数が多い部署のため、継続的に関われる年間パートナーやグループが存在することは若手の安心感につながり、精神的支柱となること、また個人の進捗に応じた教育・指導が可能となった。以上の有効性が得られた結果、2年間の新採用者離職率低下につながっていることも非常に大きな成果である。
以上のことからICUでもPNSは有効であり、取り入れていくべき看護方式であると主張する。