9:00 AM - 9:25 AM
[PD7-01] Quality Indicatorを用いて看護の質を可視化する −持続可能なQI活動について考える−
Keywords:Quality Indicator、看護の質、持続可能
クリティカルケア看護は、急激な生命の危機状態に対して専門性の高い看護ケアを提供することで、生命と生活の質(Quality of Life, QOL)の向上を目指すことと定義されている。患者への最善を考え、看護を計画し、実施、評価、改善を繰り返すことで持続的な看護を実現している。 チーム医療の推進により、個人で一連のプロセスを展開することは少なくなったが、直接的に提供される看護はやはり個人に委ねられるのが現状である。個人の考える最善は、既存の知識や経験、価値観、過去の体験等に大きく影響される傾向にあり、必ずしも質の高い看護であるとは限らない。また、看護は個人で完結するものではなく、メンバーを交代しながらバトンを繋ぐリレー形式で連鎖的に展開され、その構造・過程・成果が看護の質を決定することとなる。その中で、Quality Indicator (QI)を用いた看護の数値化は、最善の看護の方向性を示し、チームとして提供する看護の質評価・改善活動に大きく役立つ。 当院では、2015年よりICUで、2021年よりHCUでQuality Indicator (QI)による看護実践の数値化による質改善活動に取り組んでいる。導入の契機は、自分達のつなぐ看護実践の評価が主観的かつ不確かであり、水準さえ明確になっていないという現実に直面したことである。当院のQI活動の特徴は、ケアチームという小規模での主体的活動により、ベッドサイドレベルでの小さな質改善活動がタイムリーかつ効率的に展開されることであり、これらの活動の集積により組織としての看護の質向上を目指していることにある。QIには、抑制実施率や離床到達率等があるが、Richmond Agitation- Sedation Scale(RASS)やConfusion Assessment Method for the Intensive Care Unit(CAM-ICU)などアセスメントや情報共有に用いるスケール評価の信頼性をみるものや、患者-医療者の短期目標共有率なども設定している。 医療の高度化や複雑化、Evidence-Based Medicine(EBM)の概念の普及により、様々なガイドラインやプロトコール、バンドル介入が推奨されている。看護実践に取り入れることで最善の看護を試みることは可能であるが、QIを用いることでその効果を可視化し、質の向上を図ることが期待できる。近年、QIを活用した質改善活動は注目されているが、難しそう、面倒、周囲との熱量に差があるなど様々な課題を抱いている方も少なくない。当院の活動の実際と課題を共有することで、サステナブルなQI活動について考える機会としたい。