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[SL2-01] ICU専従医が思う魅力あるICUとは-一人では何もできなかった-
演者は、以前は教育病院に所属し、複数名がICUで専従業務を行っていた。当施設に移り、所謂一人専従という形でICU業務を開始することになった。実体験を交え、なぜICUが魅力的でなくてはならないかを考えてみた。 医療を行うにはまず、患者の存在は当然として、例えば医師、看護師などの、特定の職種のみでは成立しない。重症度が高く、患者背景も多岐にわたるICUでは、必要な職種やその人数が多数必要である。 医師に関して考えると、集中治療学会の専門医研修施設では、医師は8ベッドあたり1名の専従がのぞましいとされる。特定集中治療室管理料1/2を算定している施設への聞き取りでは2018年度で80%の施設で医師が専従で勤務しているとされる。ただ、特定集中治療室管理を算定はしていないが、集中治療を行っている施設も全国には相当数あるが、専従医師がいる施設は少ないと思われる。 看護師に関して考えると、看護師は120万人以上、その内病院で働く看護師は60%程度である。本学会員は1600名以上と聞き及ぶ。集中治療部設置のための指針2022年版では、1日の平均で患者 1.5人に対し て看護師 1人以上の割合で勤務していることを推奨するとある。 2020年度 ICU機能評価委員会調査では平日日勤帯の看護師の配置の中央値は病床 1床に 1人で あ ったとされ、一見、集中治療に関与している人数は充足しているかに思える。しかしながら、施設によっては集中治療加算で可能な看護師の配置で業務を行っている施設もあり、ましてや、集中治療加算を取得していない施設では、看護師がより少ない人数のみが配置されていると想定される。 医師、看護師のみならず、他の医療スタッフや事務スタッフなども同様で、充足には道半ばである。 現状で日本において、ICUでは、医療スタッフが充足しているとは考えにくく、また、施設間でかなりの差が生じていると思われる。働き方改革推進や医療スタッフ配置の適正化のためにも、病院の統合などが話題になることがあるが、いまだ進んで居るとは言い難い。 ICUでは、医療スタッフの人数が少ないのみではなく、様々なストレスによりバーンアウトが多い職場であることも示唆されている。 診療報酬などで集中治療に適正な評価が必要なのは当然だが、たとえ、適正な評価がされたとしても、ICUが働く者に取って魅力があり、あらゆる職種がそこで働きたいと思う状態でなければ人を集める事は困難である。ICUでの魅力とは一体どんなものであろうかを考え整備していくことが、ICUが今後も発展していくためには、重要と思われる。