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[SL6-01] クリティカルケア領域の未来予想図 −AIと遠隔ICUと看護の可能性
Keywords:AI、遠隔診療、遠隔ICU、画像解析
高齢化が進む本邦では、合併症を持った重症患者の増加が予想され、重症系病床のニーズは高まっていく。一方で、重症系病床に従事する集中治療医は不足しており、遠隔診療やAIを用いた診療支援に期待が寄せられている。横浜市立大学附属病院では複数施設と連携して遠隔ICUによる診療支援を開始した。遠隔ICUでは50人以上の患者を同時に観察するため、患者の選定が必要になる。選定した重症患者に対してプロトコルなどの導入などを含めて標準治療の提供を行なっている。現状の遠隔ICUでは看護師によるマニュアルでの患者選定を行なっているが、より効率的に行うためにAIやビッグデータの活用が望まれる。 当院の取り組みとして、患者選定に関連する患者の意識レベルの自動化を手掛けている。現状、患者の意識や鎮静レベルは看護師のマニュアルによる観察で評価をされている。しかし、日々刻々と容態が変化する複数の重症患者へのマニュアルでの判断には限界がある。そのため、意図せぬチューブやカテーテルの事故抜去などのインシデントが絶え間なく生じている。こうした患者の多くは事前に不穏な行動の兆候が出ている。しかし、看護業務の負荷から、患者観察絶え間なくし続けることは困難である。こうした状況を解決するために、ICUベッド上に設置したカメラで収集した動画像をAIで解析することで自動的に患者の意識レベルを判定するアルゴリズムの開発をおこなっている。意識レベルの判定には、AVPU (Alert, Verbal, Pain, Unresponsive)による評価を用いた。AIを用いて構築したアルゴリズムと看護師による評価を比較したところ、83%の一致率であった。現在、眼の開閉に加えて危険行動を察知する姿勢分析、興奮した不穏行動に関連する大きな動きを加速度分析などで解析している。 今後、AI、ビッグデータの活用が進んだ先には、遠隔ICUの世界も変わってくる。現状の課題であるマニュアルでのトリアージをAIがサポートすることで、刻一刻と変化する複数患者の複数情報をAIが解析をして、重症度判定を繰り返し、医療従事者に共有する。 それにより、早期発見、治療介入が可能になる。遠隔ICUに従事する看護師も患者のトリアージから、患者の看護ケアや現場スタッフとのコミュニケーションに重点を置くことが可能となる。これが集中治療領域でのAI活用の意義と思われる。